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つまずく石も縁の端くれ

つまずく石も縁の端くれ

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2007年08月09日
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カテゴリ:アート
せっかく京都に来たのだから、このあと東京都美術館に巡回す
る展覧会をあえて見る必要もないと思った。しかし、都美の大
混雑を想像すると、京都で見ておいた方が空いているかもとい
memeさんの言葉も思い出し、ちょうど通りかかった出町柳
の画材展で前売り券を見つけた偶然もあって、意を決して出か
けた。さすがに夏休みのせいか、そこそこの人出。それでも、
一枚の絵の前に、たたずんで眺めることもできるくらい快適で
あった。

「印象派と20世紀の美術」とあるように、内容は定番中の定
番。おまけにアメリカの絵画が10点ぐらい紹介されている。
シュルレアリスムの画家たちの絵を除けば具象画ばかりで、難
解な抽象画はなく、それぞれ珠玉の作品のオンパレード。絵の
解説もしっかりとついていて、親切な展示でもあった。

1章 写実主義と近代市民生活

クールベの作品に目を奪われる。たとえば、「スペインの女」な
どは、批評家に醜すぎると非難された作品であるが、現在の視
点で見ると充分に美しい。昨年、森美術館で見たクリーブラン
ド美術館展での肖像画を思い出す。「海辺に横たわる裸婦」も写
実的過ぎて嫌われたということだが、やはりこちらの裸婦も美
しい。

美術史的には、理想化された裸婦像や肖像画がもてはやされた
時代において、写実主義が批判されたということだろうが、私
の目にはどちらも美しく見える。(裸婦像が好きというのが本音
だが)

マネの「キアサージ号とアラバマ号の海戦」。黒煙を挙げて沈む
船。迫力ある海戦の光景。上野のオルセー展のマネの絵を見て
も思ったのだが、このようなマネの社会派的な絵も19世紀末
の時代の雰囲気を感じさせられる。

2章 印象派とポスト印象派

 ドガ、ピサロ、モネ、ルノワール、セザンヌ、ゴッホ、ゴー
ギャン、ルソーと美術の教科書的に展示されている。

ラクロワ島、ルーアン(霧の印象)」.jpg
 
ピサロの「ラクロワ島、ルーアン(霧の印象)」は、海面と空が
白い霧に閉ざされ、建物のシルエットがパステルカラーで薄っ
すらと浮かび上がるというステキな絵。今まで見たピサロの中
ではいちばんの作品。

ドガの「室内」。ランプの灯りで浮かび上がる部屋の光景。描か
れた男女の心理的葛藤を感じる。

ルグラン嬢の肖像.jpg

今回のチラシになっているルノワールの「ルグラン嬢の肖像」。
こういう絵画展のポスターチラシは、必ずルノワールの女性像
がメインになるものだ。つややかな肌と魅惑的な瞳がステキ。

3章 キュビズムとエコール・ド・パリ

 こちらも、ピカソ、ブラック、レジェ、カンディンスキー、
マティス、ルオー、ユトリロ、シャガール、モディリアーニ・・・
とお馴染みの画家ばかり。

マティスの「青いドレスの女」(別バージョンの作品が、目の前
の京都国立近代美術館に展示されてあって、あとで驚くことに
なった。)何度も書き直すうちに、写実的な作品がこんなにシン
プルで美しい絵となったそう。シンプルな美しさ。構図力の素
晴らしさ。

クレーの「魚の魔術」も魚が時計台のある空を泳いで行くとい
う童話的光景のすばらしい絵。クレーの絵を見ると、私はどう
も古賀春江の作品を思い起こす。

モディリアーニの「ポーランドの女の肖像」。モディの作品の中
でも首の長さはピカイチではなかろうか。


4章 シュルレアリスムと夢-不可視の風景

キリコとマグリットは今ひとつ出会ったが、ミロの「月に吠え
る犬」は、お気に入り。とぼけた犬が絶妙な味わい。お月様も
ふざけていると言ったら失礼か。

5章 アメリカ美術-大衆と個のイメージ

誕生日.jpg

アメリカ美術には疎いのだが、最近、名前を覚えたばかり画家
の作品が続く。中でもドロテア・タニングの「誕生日」という
絵にびっくり。この画家は、埼玉県立近代美術館のシュルレア
リスム展で知ったばかり。エルンストの妻。永遠に続くドアの
前に立つ半裸の女性。木の枝のような衣装は実はトルソー。禍々
しい怪物。「ローズマリーの赤ちゃん」のサバトに集まる女性た
ちを連想した。

オキーフの「ピンクの地の上の2本のカラ・リリー」。ピンクと
白と黄色の色彩が何とも美しい。ウキウキした気分で会場を後
にした。きっと上野でもう一度見ることになるだろう。






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最終更新日  2007年08月11日 08時20分26秒
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京都編?   mizdesign さん
こんにちは。
いつから京都編になったのかと、エントリーを読み返してしまいました(笑)。

今京都に行くとしたら、本展と細見のリクエスト展は必見ですね。
秋の狩野永徳展があるので、今夏は我慢して秋の機会を待ちます。 (2007年08月11日 11時31分35秒)

そして京都   Tak さん
残暑お見舞い申し上げます。
暑かったのではないですか?京都。

このルノワールは良いですね。
ボヤボヤしていなくて。
初期の頃が個人的には好き。
イタリア行って帰って来てからどうも。。。

日曜日宜しくお願いします! (2007年08月11日 11時47分36秒)

古賀春江とクレー   meme さん
取り上げていただいて有難うございます。
私は勝手に古賀春江を日本のクレーと呼んでいます。
クレー共々古賀春江も大好きです。

モディリアニの女性像の首の長さについての所感、
思わずにんまりしてしまいました。
確かに長かったかも。 (2007年08月11日 12時22分47秒)

京都では空いてましたか…   RICARDO さん
なかなか楽しみな絵が多いですね。ピサロいいですねえ。東京では必ず見に行かねば! (2007年08月11日 19時43分36秒)

mizdesignさん   一村雨 さん
秋の永徳展も必見ですね。
紅葉の時期と併せて、一石二鳥と行きたいところですが~
(2007年08月13日 00時06分08秒)

Takさん   一村雨 さん
京都は、相国寺の若冲展、行きそこなったので
悔しい思いでいっぱいでした。
(2007年08月13日 00時08分20秒)

memeさん   一村雨 さん
memeさんのおかげさまで、いい展覧会に行くことが
できました。これは、上野では、混雑必死ですね。
情報ありがとうございました。 (2007年08月13日 00時10分28秒)

RICARDOさん   一村雨 さん
今年のオルセー展同様、素晴らしい展覧会だと
思います。分かりやすいです。
(2007年08月13日 05時12分29秒)

残暑お見舞い申し上げます   遊行七恵 さん
初日に出かけましたが、まだ開館10分目くらいなのに、もう先行客がいました。
出たときには並んでたから、夏休みの今は推して知るべしという感じです。
本やはがきが高いのが痛くて、画像はフィラデルフィアのhpから直リンしました。(そのせいかしてウィルススキャンの時間が長くなりました)
いいものをみたなぁ、と思います。
上野でも再度行かれるとのこと、ガンバレ!です♪ (2007年08月13日 13時12分12秒)

遊行七恵さん   一村雨 さん
絵葉書150円は、ボッタクリですね。
ガソリン1リットル代か~と思いました。
ちょっと図録に心が動いたのですが、
遊行さんのブログの写真で良しとします。 (2007年08月15日 06時06分19秒)


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