2011年1月3級学科試験(55)不動産「3,000万円の特別控除」
独学 3級FP技能士 試験 解説 中野克彦 なかじまともみ 三沢恭子(55) 「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」につ いて,( )である場合は,その適用を受けることができない。 1)譲渡の相手が生計を一にする親族 2)課税譲渡所得の金額が6,000万円超 3)譲渡する居住用財産の所有期間が5年未満 解説者:三沢 恭子 (宅地建物取引主任者、CFP(R)、1級FP技能士)(55) 正解:1 【3,000万円の特別控除】3,000万円特別控除の適用要件の1つに、譲渡の相手が「夫婦や親子、生計を一にする親族でない」ことがあります。【過去の出題】2008年9月3級学科試験(25) 不動産「3,000万円特別控除」 2008年5月3級学科試験(25)不動産「3,000万円の特別控除」 2008年1月3級学科試験(53)不動産「3000万円控除」 2007年9月3級学科試験 (23) 不動産「3,000万円特別控除」 問54に次いで、譲渡所得の税金計算に関わってくる問題ですね。最近は、譲渡所得の税率(短期・長期・長期の軽減)に絡む問題が多く、3,000万円の特別控除からの出題は久しぶりでした。この論点も定番です。きっちり押さえましょう。では、概要から確認していきましょう。自分の住んでいる住宅や土地を売って儲けがでた場合、儲け分(譲渡益)3,000万円までは税金はかけませんよ。という居住用に限っての特例です。次に要件です。 1.居住用財産(自分の住んでいた土地や家屋)であること。 2.夫婦や直系血族(親子・孫など)、生計を一にする親族への譲渡でないこと。 3.譲渡した年、前年または前々年にこの特例や買換え特例を受けていないこと。 3年に一度しか使えない 詳細はこちら!なお、この特例に所有期間(5年以下・5年超・10年超など)の制限はありません。選択肢2)3)は、譲渡所得の計算をする際の税率選択の要件で下記のとおりです。譲渡所得の計算をイメージしておきましょう。 納付税額=(総収入金額-取得費-譲渡費用-3,000万円)×税率 ☆短期譲渡(所有期間5年以下)┌───────── 総収入金額 ─────────┐├────┬────┬─────────┬─────────┤│取得費 │譲渡費用│3,000万円特別控除 │ ここに課税39% │└────┴────┼─────────┴─────────┤ └────── 譲渡益 ────────┘☆長期譲渡(所有期間5年超)┌───────── 総収入金額 ─────────┐├────┬────┬─────────┬─────────┤│取得費 │譲渡費用│3,000万円特別控除 │ ここに課税20% │└────┴────┼─────────┴─────────┤ └────── 譲渡益 ────────┘☆長期譲渡(所有期間10年超)┌──────────── 総収入金額 ──────────┐├────┬────┬─────────┬─────────┬───┤│取得費 │譲渡費用│3,000万円特別控除 │6,000万円まで14% │超20%│└────┴────┼─────────┴─────────┴───┤ └────── 譲渡益 ────────┘┌─────────┬─────────────────────────┐│1月1日の所有期間 │ 税率(所得税+住民税) │├─────────┼─────────────────────────┤│短期譲渡 5年以下│39%(所得税30% 住民税9%) │├─────────┼─────────────────────────┤│長期譲渡 5年超 │20%(所得税15% 住民税5%) │├─────────┼─────────────────────────┤│長期譲渡 10年超 │6,000万円以下の部分 14%(所得税10% 住民税4%)││ 軽減税率の特例 │6,000万円超 の部分 20%(所得税15% 住民税5%)│└─────────┴─────────────────────────┘自分の家を売った→利益がでた→3,000万円の特別控除が利用できるかな(要件確認)→利用できる→所有期間は何年だったかな(短期・長期で税率が異なる)→税額確定居住用財産について、譲渡所得の計算に至るまでの過程をしっかり整理しておきましょう。────── COPYRIGHT (C) 2011 Kyoko Misawa All Rights Reserved. ──────