2002年8月まで 楽天に有った 華昇さんのワインのHPから ドイツワインの部分を 抜き出しました 華昇さんの承諾を得ています
味のレッスン16 ドイツワイン1 5月8日(水) 甘口白ワインのレッスンから、ワインを出す順序とお料理との相性のお話にそれました。再度、甘口白ワインのレッスンをいたします。思いつくままに甘口白ワインのご紹介をしてきましたが、大御所のドイツ・ワインに手をつけておりませんでした。ドイツ・ワインに関しては、甘口だけではなく、全般にわたってお話していきたいと思います。
以前に掲示板にも書きこみをいただきましたが、わたしも含めて、ある程度の中年層の方は、ワインの入門にはドイツの甘口白ワインを飲まれていたんじゃないでしょうか。流行りましたね、ドイツ・ワイン。フルーティな香りと味で、甘味と酸味がうまく調和して、飲みやすくアルコール度数も低いために、ワインを飲みなれない初心者の方や女性にもお勧めのワインですね。ドイツは8割弱が白ワインを生産していますので、白ワインのイメージが強いのですが、勿論、赤ワインも生産されています。
ドイツ・ワインのことで、まず理解しなくてはいけないのは、世界のワインの産地の中で、もっとも北限でブドウが栽培されているということです。北限ということは、ブドウを栽培するにあたり、気温が低くや日照時間も短くなりますので、黒ブドウなどの色付きなども温暖な地方に比べ、薄くなります。白ワインの生産量が多いのもご理解いただけたと思います。赤ワインの色も淡くなります。ドイツ・ワインの特徴はしっかりとした酸味でしょう。寒い地方のワインは酸味が強いということを頭に入れましょう。では、赤ワインのタンニンは?そうです。黒ブドウが熟れないので渋みは少なくなりますね。酸味がお好きで、渋みが嫌いな方にはドイツ・ワインを試してみてください。
もともとのドイツの白ワインは辛口だったらしいのですが、酸味も強いし、飲みやすくするためにズースレゼルヴェという方法で、収穫後の果汁の一部を0℃で保存して、25%以内のブドウ果汁を仕上げに使い、あのほのかでエレガントな甘味があるワインを造りました。近年では、食事との相性や辛口ワインの流行もあり、辛口ワインの生産量も増えてきているそうです。また、赤ワインもこくがあるタイプでお肉料理にも対応できるワインが生産されています。
最近は、わたしもドイツ・ワインを飲む機会が減っておりますので、レッスンというものができるかしらと心細い限りですが、避けては通れないドイツ・ワインです。ご一緒に勉強させていただきます。
味のレッスン17 ドイツワイン2 5月9日(木) このレッスンのために、久しぶりにドイツの白ワインを飲みました。モーゼル・ザール・ルーヴァ-地方のドイツの代表的な白ブドウ品種リースリングで造られたうす甘口白ワインに挑戦。アイテルスバッハー カルトホイザーホーフベルク シュペトレーゼの88 年のヴィンテージのクリストフ・ティレルという生産者のワインでしたが、購入価格は2000円ぐらいですから、現地ではもっと手ごろなスタンダードなワインでしょうか。
ドイツのワインというと、あの細長い瓶を思い浮かべますが、緑色の瓶と茶色の瓶がありますね。わたしが昨夜飲んだモーゼル・ワインが緑色、ラインガウが茶色の瓶のワインです。ドイツ・ワインの特徴であるフルーティな香りや味、エレガントな酸味については基調は同じですがワインが造られる地方の土壌により、ワインの味にも個性的な違いがあります。
昨夜のモーゼルでお勉強しましょう。アイテルスバッハ村(ルーヴァ-タール地区)のカルトホイザーホーフベルク(カルトハウス中庭山)という畑でクリストフ・ティレルという生産者が造ったワインです。シュペトレーゼというのはドイツ・ワインのテーブル・ワイン(ターフェルヴァイン)から始まるワインの品質の分類(4つ)で最高の格付けであるQmPの中の格付けの6つあるうちの2番目の格付けシュペトレーゼ(遅摘み)というクラスのワインです。ちなみに最高の格付けは前に紹介した貴腐ワインのトロッケンベーレンアウスレーゼということになります。QmPの6つの分類はブドウの糖度により分けられるもので、ワインの甘口、辛口の問題とはまた別のものです。
モーゼルとラインガウの違いだけでなく、モーゼルのワインの中でも地域や畑により、味の個性は細かく分かれるということになりますし、それに生産者、格付けが加われば、とても微妙な違いがあります。それにドイツ・ワインの難しさはドイツ語の地方名とか、畑名の覚えにくさにあります。モーゼルで有名なベルンカステル地区(村名も同じ)のドクトール(医者)というワインは病気の人に薬効があったということからその名がつけられたと聞いてますが、他にもツエル地区(村名も同じ)のシュヴァルツェ・カッツ(黒猫)などは有名なので、ご存知の方も多いでしょうが、みなさまも正確に名前と格付けを覚えるのには一苦労ですね。
ワインと和風料理との相性を探ってみました。その感想はまた、明日にでもお話いたしましょう。
味のレッスン18 ドイツワイン3 5月10日(金) ワインはモーゼル・ザール・ルーヴァ-地方のアイテルスバッハー カルトホイザーホーフベルク シュペトレーゼ88。さて、うんと冷やして食前酒。88のヴィンテージにしては、ほんのり色づいたぐらいの黄色。例えば、ブルゴーニュの白ワインの88年と比較すると、とても淡い色です。先日からレッスンしていますが、寒い地方のワインの色合いは、とても淡い無色に近い色。そのことが頭に入っていれば、14年の年月の重みを考えさせる色合いですね。香りは白ブドウ品種リースリングにある白い野バラやりんごなどの花の豊かな香りが、ふんだんに残っていますし、また、マスカットの香り、熟成するにつれでてきたトロピカルフルーツの香り、ナッツ香、蜂蜜香といろいろないいブーケで魅惑します。
いつも食前酒にはシャンパンを飲むのですが、ドイツワインというのも、たまにはいいですね。度数も低いですし、ほのかな甘味でうまく食事へのお誘いができます。特に疲れているときなどにはお勧めできそうです。さて、味のほうは、甘味と酸味のバランスがとても上品です。ラインに比べ、モーゼル・ワインの特徴は生き生きとした酸味にあります。まず、もずく酢と合わせましたが、いい感じです。酸味同士の組み合わせで、上品な甘味が効いてきます。空豆のゆでたものはどうでしょうか。ダメですね。豆の味がくどくなります。次は切干大根を薄味で炊いたもの。なかなか、いいです。大根の甘味にうまく合います。根菜には合いそうです。蓮のきんぴらなどにもいけるんじゃないでしょうか。ライン・ワインには厚みとこくがありますから、また別かもしれません。若いライン・ワインなどは個性が変わりますので、合わせるお料理も微妙に違ってくると思います。
冒険をしてみましょう。生うにと合わせます。勿論、何もつけずそのままでぶっつけました。案外いいですね。やはり、うにの甘味を引き立てます。次はしめ鯖です。やはり、モーゼルの酸味といい相性になります。生臭くならないのはなぜでしょう。バランスがよい甘味で目立ちませんが、相当な酸味なのですよ。88のヴィンテージなのに、まだまだ若々しいワインです。モーゼル・ワインを食事と合わせるには甘味と酸味を意識することですね。日本酒のやや甘口ぐらいの扱いをしたら、よさそうです。これからの季節に食前酒から、ちょっとした和風のおつまみまでに使うというのは如何でしょう?
さて、ドイツにお住まいのG-panさんが応援のエールでしょうか。昨日のHPでドイツのワイン産地の情報をご紹介してます。写真のブドウ畑を見て、久しぶりに胸が高鳴りました。しばらく、続くそうなのでとても楽しみです
味のレッスン19 ドイツワイン4 5月11日(土) ドイツ・ワインの格付けを簡単に説明いたしますと、1 ドイツ国内で生産されたテーブルワイン(Tafelweinn)、2 地酒(Landwein)、3 上級ワイン(QbA)、4、高級ワイン(QmP)の4つに分けられ、さらに高級ワイン(QbA)を、1 カビネット(良質ワイン)、2 シュペートレーゼ(遅摘み)、3 アウスレーゼ(房摘み)、4 ベーレンアウスレーゼ(粒選り)、5 アイスヴァイン(アイスワイン)、6 トロッケンベーレンアウスレーゼ(貴腐ワイン)の6種類に分けています。
実際的な比較をするために、先日からご紹介しているモーゼル・ワイン(シュペートレーゼ)と同じワインのアウスレーゼを、引き続き試してみました。アイテルスバッハー カルトホイザーホーフベルク アウスレーゼ89です。ヴィンテージが1年若くなります。購入価格はシュペートレーゼ1980円、アウスレーゼ2690円でした。本当は、同時に比較すべきだと思いますが、甘口ワインはどうしても少人数では持て余してしまいますので、二日ほどずれています。ご了承ください。
色はほとんど変わりませんでした。香りはより豊かになり、シュペートレーゼにあったかすかな蜂蜜の香りが強くなっています。アウスレーゼ以上は貴腐ワインに近い香りがしますがこのアウスレーゼに関してもシュペートレーゼより、濃厚な甘い香りがあります。味にも違いがみられました、シュペートレーゼの甘さより厚みがある甘さで、味にまろやかさとこくがあります。酸も丸く感じます。
シュペートレーゼには合わなかった茹でた空豆との相性がいいのには驚きました。豆の味に負けないような強さがあるのでしょうね。お刺身はひらすと鮪の中とろです。やはり、甘すぎますね。ただし、絶対に駄目だということではありません。まあまあ、いいです。お刺身などにはシュペートレーゼの少しきつめの酸の方がすっきりしそうですね。あとは茶碗蒸とか、巻き寿司とか、母の日に使えるようなお料理と合わせましたが、全般的な相性はいいです。掲示板にROSEさんが書きこみされていましたが、母の日にはドイツの白ワインは最高の選択ではないでしょうか。
格付けだけでワインを判断するのは、浅はかな考えだと思います。ワインの個性を理解し、どういう場面でどう飲むのかが問題です。アウスレーゼのほうがワイン単独で飲めば、シュペートレーゼに勝っているといえるのかもしれませんが、お料理によっては、バランスよいまろやかな甘味が、くどく感じられることもあるでしょう。700円の差をどう感じるのかは、貴方しだいです。どちらもおいしかったというのがわたしの感想でした。
味のレッスン21 ドイツワイン5 5月14日(火) ドイツワインにはアイスワイン(アイスヴァイン Eiswein)という貴重なワインがあります。他にもアイスワインはカナダのオンタリオ州などが有名な生産地です。飲まれたことがありますか? 試飲したのはのラインラントファルツ地方のリッヒ・ベンダー家葡萄園詰めのビッサースハイマー・ヘルト・アイスヴァイン98 375ml。ブドウ品種シルヴァーナ。アルコール度数9.5度。購入価格3700円。 DLG農産物大賞金賞エクストラ(10点満点)、ラインラントファルツ州品評会金賞受賞。この賞の権威はドイツワインに不案内なわたしにはよくわかりません。購入先の酒屋さんの情報です。
甘口ワインの醸造法にはブドウの水分を蒸発させることにより、ブドウをしぼませて糖度を上げ、ワインを造る方法があります。アイスワインは完熟したブドウを木に放置したまま、気温が下がるのを待ち凍結させ、マイナス6℃という厳しい寒さの中で凍ったブドウを収穫し、ワインを造ります。人為的な造りかたは認められていません。あくまでも、ブドウが完熟し、凍結する自然の気候のうえで生産されます。寒いなかのブドウの収穫ということだけではなく、ブドウが水分を含んでいませんので、果汁の量もほんの少ししか搾れません。高価にになるのも納得ですね。
貴腐ワインについては、前にもレッスンしました。ブドウにかびの菌(ポトリティス・シネレア菌)が付いて、ブドウのロウ質を溶かします。そうするとブドウの水分が蒸発して、ブドウがしぼんでレーズン状態になります。その分、ブドウの糖分も凝縮されます。貴腐ワインのブドウがしぼんだ状態とアイスワインのブドウが凍ってしぼんだ状態は一緒のようで、特徴は違います。かびの菌で貴腐状態になって、あの風味がでるんです。貴腐菌はブドウの房の全体につくわけではなく、ブドウの粒にまばらに付くのでこれも1個づつ収穫するという気の遠くなるような作業があります。ところで、世界の三大貴腐ワインを覚えてますか?答えはこちら
試飲したワインの説明は明日のレッスンにさせていただきます。ドイツのG-panさんは、日記にていろいろなドイツワインの紹介をされています。現地ならではの素晴らしい情報です。G-panさん、がんばってくださいね。
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