The John Wilson Orchestra:Cole Porter in Holly Wood
数年前から注目しているジョン・ウイルソン・オーケストラのコール・ポーター集を聴く。ジョン・ウイルソン・オーケストラといえばカテゴリーからいくとライト・クラシックの部類に入る。昔だと、ボストン・ポップスとかシンシナティ・ポップス、ハリウッドボール・オーケストラなどが思い浮かぶ。個人的にhこのようなジャンルの音楽は好きでよく聴いていたが、最近はとんとご無沙汰をしていた。というのも、殆んど新しいアルバムがリリースされなくなったからだ。その中で偶然に見つけたのがこの団体。このアルバムを含めて4枚のアルバムをリリースしていたはず。わたしは今回のアルバムで多分二枚目だ。一枚目はデビュー・アルバムで昔のMGMのサウンドを再現したアルバムだった。これもなかなか良かったが、今回のアルバムもとてもいい。コールポーターのミュージカルからのナンバーを集めていて、どの演奏も生き生きとしてる。初演当時のサウンドに近いが、スコアに手を入れているため、サウンドはとてもフレッシュで引き締まっている。聴いていると元気が出てくるようだ。このアルバムではオケの演奏もさることながらゲストの歌手たちの歌が良い。まさに、これらのミュージカルが初演された当時を思い起こさせるようなスタイルのヴォーカルを聴かせてくれる。イギリスでこの手のポップス・アルバムに出てくる歌手は、こういう折り目正しい歌を歌う方ばかりだが、なにか独特の教育をしているのだろうか。気に入ったのはAnna-Jane Casseyという女性歌手をフィーチャーしたナンバー。彼女のディクションのはっきりしたコケティシュなヴォーカルがとても魅力的だ。Matthew Fordの歌う「Easy To Love」もべたべたしない叙情が心地よかった。彼らの歌う「Who Wants To Be A Millionaire!」は最初に台詞が入っていて歌になるというミュージカルの構成を取り入れていて、ミュージカルを聴く楽しみを味わえる。彼らのセリフとユーモアあふれる掛け合いがとても楽しく、昔見た「プロデューサーズ」を思い出した。「プロデューサーズ」と言えば、最初の「Stereophonic Soud」は「プロデューサーズ」のナンバーにそっくりの雰囲気もっていてウキウキしてくる。というか「プロデューサーズ」がこの曲を参考にしたのだろうと思うが。。。懐かしくなってアルバムを引っ張り出して聴いてみた。「プロッデューサーズ」の方がかなりバタ臭かった。ビッグバンドということもあるが、アメリカとイギリスの違いも分かりなかなか興味深かった。2管編成のフルオケにビッグバンドが付いたような編成でとても充実したサウンドが聴かれる。特にポルタメントをかけた弦のサウンドが実にノスタルジックだ。このようなライト・クラシックのアルバムでは、演奏はいいのだがサウンドが貧しいとがっかりすることがある。今回はそういう心配をすることもなかった。このアルバムを聴いていて、絵画は長い年月を経て物理的に変化していくが、音楽が何故変化していくのかということを考えてしまった。もっと良くしようとして次第に厚化粧した演奏になっていくのだろうか。それが何十年、何百年を経て何かのきっかけで原点に返るということなのだろうか。何かを変えずにいられないという人間の習性のためだろうか。The John Wilson Orchestra:Cole Porter in Holly Wood(Warner 0825646276806)1. Stereophonic Sound (From "Silk Stockings")2. Begin The Beguine (From "Jubilee")3. Love Of My Life (From "The Pirate")4. From This Moment On (From "Out Of This World")5. Always True To You In My Fashion (From "Kiss Me, Kate")6. Wunderbar (From "Kiss Me, Kate")7. Easy To Love (From "Born To Dance")8. Josephine (From "Silk Stockings")9. High Society Overture (From "High Society")10. Who Wants To Be A Millionaire? (From "High Society")11. My Heart Belongs To Daddy (From "Leave It To Me!")12. It's Alright With Me (From "Can-Can")13. Let's Do It (From "Paris")14. Les Girls (From "Les Girls")\15. Now You Has Jazz (From "High Society")The John Wilson OrchestraRecorded 27-28 May 2004,No.2 Studio,Abbey Road,London & 30 May 2014,Angel Studios,London