Hilary Hahn:Mozart 5 & Vieuxtemps 4 Violin Concertos
ヒラリー・ハーンの新譜は協奏曲集。モーツァルトの「トルコ風」とヴュータンの4番の組み合わせ。バックはパーヴォ・ヤルビ指揮のドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン。彼女にとっては、どちらも初レコーディングだと思う。モーツァルトを聴いていたら鈴の音が聞こえてきた。ハイフェッツかと思って、本家の録音を聞いたら、酷似している。繊細でありながら、力強さも感じられたところは本家とは少し違う。ただ、3楽章はか細い感じがする。実はネットワークプレーヤーで聴く前に、iPadのWAVファイルをヘッドホンで聴いていたのだが、その時の印象は否定的だったのだ。音が違うのか私の体調が悪かったのか、こんなに違う印象を持ったのもあまり記憶がない。第1楽章のカデンツァはヨーゼフ・ヨアヒム。第2楽章も清冽な美しさが光っている。比較のためにクレーメルの新盤も聴いたが、これはもともとあまりいい印象を持っていなかった。少しやりすぎのところがあり、フォームも崩れていて、以前聴いた時よりも印象が悪くなってしまった。ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメンバックのバックはかっちりしているが、堅苦しさはなく、清潔さが感じられる。ヴュータンは名前こそ知っているが、曲は聴いたことがない。こういう機会でなければ聴くこともなかったと思うが、悪くなかった。ヴュータンはベルギーの作曲家で、イザイの先生だったことは知らなかった。そのため、グリュミオーが得意としていたらしい。ロマン派らしい熱気と激しい感情の起伏が感じられる。この曲ではハーンのいつもの流麗なサウンドが楽しめ、何故か安心してしまった。ただ、カロリーがあまり高くないため、このような情熱的な曲はユリア・フィッシャーに向いていると考えてしまった。ハーンに対するアプローチは客観的な面があり、この曲でも曲とは少し距離があるように感じられるからだ。Hilary Hahn:Mozart 5 & Vieuxtemps 4 Violin Concertos(DGG 479 3956)1.Wolfgang Amadeus Mozart:Violin Concerto No.5 In A, K.2194.Henri Vieuxtemps:Violin Concerto No.4 In D Minor, Op.31Hilary Hahn(vn)Pavo JarviThe Deutsche Kammerphilharmonie BremenRecorded:4 & 5 December 2012,Kammer-Philharmonie,Bremen(Mozart)7 & 8 August 2013,Gut Varrel,Stuhr(Vieuxtemps)