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November 7, 2013
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みなさん、こんばんは。
いびつな家族を少年の目から描いた小説を紹介します。

夜の鳥
Nattfuglene
トールモー・ハウゲン
河出書房新社

「階段は音をたてずに、そっとのぼるんだ。(中略)
ヌースン・ツースン、ぼくはつかまんないぞ。最初の踊り場までは、息を殺してのぼるんだ。そこまで来れば、シミの魔力はもうおよばない。」


 随分と穏やかじゃない始まりだ。呪文っぽい文句が出てくるし、「魔力」ときて、次には同じアパートに「魔女のアンダセンおばさん」までいるという。ファンタジーなのか?と思わせる要素もあるが、おおかたは現実の出来事である。

 パパとママと3人でアパートの3階に暮らしている小学生のヨアキムには、恐いものがいっぱいだ。先のシミ、魔女のおばさんの部屋から覗いているという片目、そして表札は出ているけれど、中には妖精が住んでいるという部屋。でも、これは皆、家の外の話。じゃあ、ドアを開けて自分の家の中に入れば、不安な空気は一掃されるかと思いきや、そうじゃない。家の中には片付いていない洗濯物、転がっている掃除機。それに思いっきりヨアキムが呼びかけたその相手、パパも部屋にいない。がらんとしている。遠くへ行くときは履いていかない木靴と、遠くへ出かけるときに着ていくウインドヤッケがなくなっていた。

 何かおかしい。いや、ちぐはぐだ。
中学校へ教えに行って3日目に、
まるでぼくと生徒の間にはガラスの壁があるようだ。と言い、不登校の状態が続くパパ。自らの力の限界を悟りながらも、一家を明るくしようと必死なママ。どちらかと言えばいじめられっ子で、夜の鳥に怯えるヨアキム。最初から危うさを抱えたこの一家を中心に、物語は、近所の人達・ヨアキムの友達のエピソードを交えて進む。 リフレイン・体言止め・倒置を使い、まるで詩の一節のような文章が続く。

「近くか、遠くか、パパはどこへ行ったかわかりゃしない。
そう考えるのは、つめたくて、さびしいことだった。
秋の風と、闇と、窓ガラスをたたく雨のように。
ひとりぼっちで、さびしく。
パパはウインドヤッケを着て、木靴をはいて、いま、そんな姿でどこかに立っているにちがいない。」


 ヨアキムが最初抱えている孤独な心情が、想像上の父のそれにシフトしていく、「うまいなぁ」と思わせる描写が随所に登場する。そんな文章が少しずつ積み重なり、登場人物達の向かう方向が、見えてくる。だが、普通なら、先が明かされてゆく事で見出せる希望の光が、ここにはない。ちらちらと気配を感じる夜の鳥がその大きな翼で覆うからだ。唯一の柱だったママの偽りの笑みも、励ましの言葉も力を失ってゆく。彼等は一体どうなるのか。ガラスの心を持った人達の行く末は、続編「ヨアキム」で明らかになる。

 1975年ノルウェー児童文学賞、1979年ドイツ・ユーゲンバッハ賞受賞。1982年旺文社より刊行され、1991年に福武文庫に再録、今度が3度目の刊行となる。訳山口卓文。
酒井駒子絵。






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最終更新日  April 11, 2019 08:09:16 AM
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