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カテゴリ:ローズマリー・サトクリフ
みなさん、こんにちは。母の日をいかがお過ごしですか?
今日はこの本を紹介します。 ギリシア神話の世界に興味がある方は美しい挿絵も魅力ですのでぜひご一読下さいね。 【楽天ブックスならいつでも送料無料】トロイアの黒い船団 [ ロ-ズマリ・サトクリフ ]楽天ブックス トロイアの黒い船団 Black Shipd Before Troy-The Story of The Iliad ロ-ズマリ・サトクリフ ホメロスの『イーリアス』に名高いトロイア戦争のそもそもの始まりは、スリーピング・ビューティののオープニングと似ている。とある人間と女神との結婚式で一人だけ招かれなかった不和の神エリスが当の式に現れて“最も美しき女神に”と書かれた黄金のリンゴを投げ入れる。そこで名乗りを上げたのがアテネ、ヘラ、アフロディーテ。神々の間で決着がつかなかったため、とうとう羊飼いだが実はトロイア王子のパリスが最も美しき女神を決めることになった。そして女神達はそれぞれ自己アピールのみにとどまらず、ヘラは「世界を支配する力=権力と富」アテネは「いかなる戦争にも勝利を得る力=知力」を差し出すとアプローチ。結局最も美しい美女を与えると約束したアフロディーテが勝つ。若いパリスだから実質的な利を選んだが、もし彼が壮年であれば富や権力を選んだかもしれない。そう考えると、運命のいたずらは恐ろしい。但し、アフロディーテも間が抜けているといえば抜けていて、最も美しい女性ヘレネは既にスパルタ王メネラオスの妻であり、約束だけはしたものの、そこから巻き起こる騒動になど全く配慮はしていない取り決めだ。彼女が愛を象徴するものであるとすれば、かほどに恋愛は自己中心的かつ人騒がせ、そして厄介なものと言えよう。 さて、こうして始まったトロイア戦争は映画『トロイ』でも描かれたように知将、猛将が多数活躍する一大絵巻であるが、サトクリフは全てのエピソードを描くということはせず、主要人物にのみスポットを当てて物語をコンパクトにまとめている。 その中の一人アキレウスは、ご存じの通りアキレス腱の元になる人物である箇所のみが不死ではないという弱点を持っている。そのため母親が幼い彼を女装させようとしたり、彼がギリシアの王と不和になった時には率先して身を隠すよう進めたりしているが、最後には戦場に赴き弱点を突かれて亡くなる。どんなに運命を変えようとしても抗いようのない人間の定めを象徴しているようで哀れでもあり恐ろしくもある。 また、それぞれに加勢している神々が自分方が劣勢になると、相手方の心の中にある考えを吹きこんだり勝手にキーになる人を殺してしまったりとフェアプレイ精神まるでなし。ギリシアの神々の自己中心っぷりには呆れるばかりだ。そもそも誰が美しいかという難しい判断を、神々の間で決定していればこのような戦争は起きなかったのに。 映画界でも活躍しているアラン・リーの挿画(ケイト・グリーナウェイ賞受賞)が素晴らしい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
March 24, 2017 10:19:55 PM
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