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April 1, 2017
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みなさん、こんばんは。一年の四分の一が終わってしまいましたね。
ところでみなさん、愛って怖いところもありますよね。
たとえばこんな話の場合は…。

トリスタンとイズー
Tristan and Iseult
ローズマリ・サトクリフ
沖積舎

コーンウォール王マルクの妹と、ロシアンの王リヴァリンとの間に子供が生まれた。しかし母親がその子を生んですぐ死んだため、父親はその子を「悲しみの子=トリスタン」と名付けた。16歳になったトリスタンは、父王に旅に出る許可を求めるのだったが…。

本作は、『アーサー王物語』の一逸話として語られる事の多い『トリスタンとイゾルデ』の悲恋を、全く独立した形で描いているので、トリスタンを主人公にした貴種流離譚のイメージが強くなっている。中世ものというと、韻を踏んだ言葉で愛を語るなど、近寄りにくそうな印象が強いが、どうしてどうして、既知の作品との共通点は多い。
まず、トリスタンが最初にアイルランドの王族モロルトと対決するシーン。二人は小島で一対一の果たし合いを行うわけだが、その際後からやってきたトリスタンは、自分の乗ってきた船を海に放置する。モロルトが理由を訪ねると、トリスタンはこう答える。
「この島に来たのはわれら二人。だが、舟に乗ってもどるのは一人のはず。」
どうだろう?孤島・厳流島で、「小次郎、破れたり!」とまず言葉で前哨戦をしかけた宮本武蔵に似ていないだろうか?

 アーサー王伝説の中に含まれると、ランスロットとギネヴィア王妃の影に隠れてしまいがちだが、トリスタンとイズーもまた、王妃とその夫である王の信頼厚き臣下というカップルだ。男同志の友情を男女の恋愛感情が凌駕し、禁じられた恋路に踏み込む理由として、大概の場合、媚薬が用いられてきた。つまり、媚薬を二人が飲んだ事で、許されぬ恋に落ちてしまったというわけだ。道徳面を厳しく取り締まる教会サイドの制約もあって、さだめし中世時代に付け足されたのだろう。しかしサトクリフはこの説を排し、恋はあくまでも彼等自身の自然な感情によるものとした。そして実際この選択の方が、登場人物達の恋愛感情が生々しい。流行の韓流にも、友情と愛情の板挟みになる、この種の組み合わせは、何度も出てくる。しかし勿論理由に媚薬なんぞ出てこない。それでも人々の共感を得るのは、恋愛とはそもそも理屈で制御できる性質のものではない類いのものである事を、現代人は良く知っているからだ。

 クライマックス、瀕死の床で、必死に身を起こそうとするトリスタン。愛する王妃イズーの乗る船を、一目見んがためである。しかし彼の側には、これまでずっと看病してきたもう一人のイズーがいる。彼を深く愛している妻イズーが。それなのに彼は、自分を愛する人の目の前で、自分が愛する人への愛を見せてしまう。この時のイズーの心中は、察するにあまりある。知っていて、知らないふりをずっとしてきた。それなのに、一番知らせて欲しくない時に、一番知らせて欲しくない人に、一番残酷な形で知らされてしまう。この人は私を愛してなぞいなかった、と。一瞬、ほんの一瞬、今までの愛が、別のものに変わる。その危うさ、その脆さ。

 トリスタンと二人のイズー。皆それぞれに愛しているのに、その愛は、必ず誰かを傷つける。眼前に浮かぶ風景は、美しいどころか、恐ろしい。
でも、人をこんなに変えてしまうものが、愛なのだ。



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最終更新日  April 1, 2017 12:00:14 AM
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