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2009.04.28
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カテゴリ:雑感
私の好きなものがまたひとつ、この世界から消えていく。

私の好きなものは大抵消えていってしまう。
まぁ、永遠に続くものなんて存在しないんだから、
どんなものでも遅かれ早かれ消滅の運命をたどることは自明なんだけれど。

こう大袈裟に書くと「一体何が消えたんだ?!」という感じだが、
実際のところ大抵それはほんの小さいものばかりである。
最近の例でいくと、ティファールの電気ケトルの初代モデルが代表例で、
多くの人にとってはいくらも代わりのある、どっちでもいいようなそんなものが殆どだ。

併し、今回のこれはかなりショックだった。

先週の24日、自分を慰労する為訪れた今出川の欧州料理店。
あえて「欧州料理」と云うのは、シェフがフランス、スイス、ドイツ、オランダで修業した方で
明確に何処の国の料理とは限定されていないからである。
良い材料を丁寧な仕事で調理し、適正な価格で美味しく食べさせてくれる。
いかにも欧州、と云った感じの質実剛健な料理は私の好みにぴったりで、
本当にかけがえのないお店なのだった。

注文を済ませて暫くすると、突然シェフがこう云った。

「実は8月くらいでお店閉めるんですよ」

不意を突かれて「え、そうなんですか」と間の抜けた返事をすると、シェフは
「レストランは儲からないんですよ。うちみたいなやり方してると特にね。
12年やったしもうそろそろええか、と思って。
料理を食べにきていない客に料理を出すのもアホらしいしね。」と続けた。
美味しいものを一生懸命手をかけて作っても、甲斐の無い客が多くなったらしい。

京都は人口の割に料飲店が多い。
数が多すぎて次々と潰れていっているのが今の現状である。
はやっている店を持つシェフの後輩などは、
「客が金に見える」と言い切って憚らないと云うが、
育ちが良くガツガツしていないシェフは、
そんな風に割り切った商売は出来ないししたくもないのだろう。

シェフの話によると、彼はこれから「ソーセージ屋さん」を京都市内で開店するそうだ。
京都には現在神戸のデリカテッセンの様な店は無い上、
観光客も多いので商売になるのではないか、とのことだった。
そしてそれに向けて着々と準備を進めていらっしゃると云う。
来月にはオランダへ行って知り合いからソーセージの機械を譲り受けるのだとか。
これからの計画を話すシェフは楽しそうである。
元々欧州でソーセージの修業をされた方だけにソーセージ作りが好きなのだろう。
過剰に儲からなくても好きなことをして生きていけるのは幸せだろうなーと思う。

私のお気に入りが無くなることはとても寂しく残念であるが、
無責任に「せっかくの腕が勿体無い」なんて云うことは出来ない。
物事には引き際ってものがあるし、それを逸するとどうしようも無くなるということは、
今の私が身をもって理解しているところだからだ。
何はともあれ、シェフの新たな事業の成功を心より願っております。





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Last updated  2009.04.28 17:23:12
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Re:引き際(04/28)   コタロン さん
そうなんだ。

お気に入りの外食店を持たないコタロンにとってあんちゃんのその哀しみは量れないけれど
通っていたお店がしまってしまうさびしさはよくわかります。
その方とたとえ個人的交流が続いたとしてもさびしさ、残念さは消えない。
経済活動というのはプライベートとはまた違うその方の一面の魅力も滲み出ているから。

>感覚人間なんでとっさに「なんだか変だ」と感じ、
後から何が変だと思ったのか論理的に考えなおす、という状態です。

そういうことのできる人って素敵だと思う。
だいたいが考え直したりしない、
ただただ同じツボや不快感を漠然と感じているだけだもの、ふつう。

>風邪だから、で会社を休むのは私の場合アリですね。
なぜなら「風邪にかこつけて会社にいかなくて済む」から。
会社の私は屍なんで、風邪でも家で生きていられるのは嬉しい。

うん。そっか。そこにあんちゃんが生きているんだネ!
でもさ、あんちゃんの能力を活かせない会社ってなんだろ??と思ってしまう。
まさに宝の持ち腐れですね。
後輩がくさらないようにあんちゃんならではの言葉をかけてあげてくださいネ。
すぐに記事が読めて嬉しかった。。

・・なんて書くとまた一ヶ月くらい待たなければならなくなりそうなので嬉しくない、待ってなんかいない、、と書いておきます。
(2009.05.01 18:46:05)

Re:引き際(04/28)   コタロン さん
待ってなんかないぞぉ、待ってなんかない、、 (2009.06.15 00:44:02)

Re[1]:引き際(04/28)   anan4 さん
コタロンさま

お返事が遅くなって申し訳ありません。

最近本当に馬鹿になっていて、ロクな文章を紡げないんです。
今までロクなことを書いていたのかどうかはともかくとして。

私なりに推敲を重ねて更新しましたので、また講評など頂けると幸いです。
あ、打たれ弱いので程々で。
(2009.06.17 17:17:41)

Re:引き際(04/28)   ricecocoa さん
おいしいお料理を食べる楽しみはなくなってしまうけれど、今度はもしかしたらソーセージを買いに行く楽しみが出来るかもしれませんね。私はイベリコバルで働いていますが、料理はシェフの仕事、それをサービスする上で必要となってくるのが、接客の仕事。お互いいざこざありつつ、それぞれがベストを尽くすのがお客さんにとって料理もサービスも味わうということになるのですが、確かにお客さんによっては何の為にお店に来たのかわからない人とかいます。ワインしろ、服にしろ、料理にしろ、情報が人々の欲望を左右している気がして、本当に人々は着たいものを着たり食べたいものを食べているのかしら?満足や幸福って、何が欲しいかわかっていればちょっとは簡単なはずだけど。何年もお店をやってきて、その仕事が与えてくれた幸福もきっとそのシェフにはあるのでしょうね。あなんさんのように、そのお店が好きで来てくれる人がいれば、そのシェフにとっては幸福なことなのでしょうけれど、新しい未来を語るシェフにとっては、もう思い出なのかしら?シェフのこれからの健闘を祈ります。 (2009.06.20 01:41:25)

Re:引き際(04/28)   ricecocoa さん
おいしいお料理を食べる楽しみはなくなってしまうけれど、今度はもしかしたらソーセージを買いに行く楽しみが出来るかもしれませんね。私はイベリコバルで働いていますが、料理はシェフの仕事、それをサービスする上で必要となってくるのが、接客の仕事。お互いいざこざありつつ、それぞれがベストを尽くすのがお客さんにとって料理もサービスも味わうということになるのですが、確かにお客さんによっては何の為にお店に来たのかわからない人とかいます。ワインしろ、服にしろ、料理にしろ、情報が人々の欲望を左右している気がして、本当に人々は着たいものを着たり食べたいものを食べているのかしら?満足や幸福って、何が欲しいかわかっていればちょっとは簡単なはずだけど。何年もお店をやってきて、その仕事が与えてくれた幸福もきっとそのシェフにはあるのでしょうね。あなんさんのように、そのお店が好きで来てくれる人がいれば、そのシェフにとっては幸福なことなのでしょうけれど、新しい未来を語るシェフにとっては、もう思い出なのかしら?シェフのこれからの健闘を祈ります。 (2009.06.20 01:42:48)

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コタロン@ あるいは、アンジーの下唇の割れ目にきすを。 文字制限をはるかに超えてしまいました。 …
ricecocoa@ Re:引き際(04/28) おいしいお料理を食べる楽しみはなくなっ…

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