一部性描写が含まれますので、苦手な方は閲覧なさらないでください。
「セーラ皇太子の客室は何処だ?」
「21―Dだ。」
「チッ、少し遠いが、獲物は仕留められるな。」
密かに一等車両に乗り込んできた数人の男達は、セーラとリヒャルトの客室へと向かい始めた。
彼らの目的地である客室の中では、セーラがリヒャルトの股間に顔を埋めていた。
「いけません、セーラ様・・このような場で・・誰かに見られでもしたら・・」
リヒャルトは羞恥で顔を赤く染めながらセーラを退かそうとしたが、セーラは彼のものを口に含んだまま離そうとしない。
セーラは舌でリヒャルトのものを愛撫すると、それがやがて容量を増してゆく感覚がしてますますそれを奥までくわえこんだ。
「セーラ様・・」
自分を時折上目遣いで見つめる恋人の顔がとても艶やかで、リヒャルトは低く呻いて彼の口に己の欲望を吐きだした。
「も、申し訳ございません!」
ポケットチーフを取り出したリヒャルトは、慌ててセーラの口端を汚す白濁液を拭った。
「そんなに俺に舐められて感じたの、リヒャルト?」
セーラはそう言って妖艶な笑みを恋人に浮かべた。
「あなたも大胆なことをなさる。こんな人目のつくような場所でなさるとは。」
リヒャルトが溜息を吐くと、セーラは彼の隣に座った。
「昨夜の火照りが鎮まらなくて、ついな。リヒャルト、本当にわたしと結婚してくれるのか?」
「わたしはあなたには絶対嘘を吐きませんよ。たとえどんな困難がわたし達の前に立ちはだかろうとも、あなたを愛し守ります。」
「ふん、どうだか。」
リヒャルトの言葉を聞いても、セーラはそれに不服そうな顔をしていた。
数年前、彼と初めて会った時はまだ皇族としての自覚も何もなく、自分に対してはいつも敬語で話していたが、今では高飛車な物言いだけでなく、皇族として相応しい立ち居振る舞いを身につけている。
セーラが皇太子として認められるまでの数年間は、短いようで長く感じた。
その間セーラは様々な困難に襲われ、砂漠の王宮で囚われたこともある。
幾度も身が引き裂かれるような思いをした末にセーラと結ばれた。
「セーラ様は、わたしの事をどう思っていらっしゃるのですか?」
「どうって・・そんな事、言わなくても解るだろう?」
セーラは突然リヒャルトからそんな事を尋ねられ、少し戸惑った。
リヒャルトの事は心から愛しているし、その事を彼に直接伝えなくても彼は解ってくれるだろう。
「気持ちを言葉にしなければ解らない場合もあります。」
「リヒャルト、俺はお前の事を愛している。絶対にお前の手を離すつもりはないからな。そ、それに、責任を取って貰わないとな!」
「はいはい、解っておりますよ。」
リヒャルトはそっとセーラの顎を持ちあげると、己の唇とセーラの唇を重ねた。
セーラの唇は昨夜も味わったが、一度味わったら病みつきになってしまうほどの感触だった。
舌でセーラの口腔内を犯しながら、昨夜の情交を思い出したリヒャルトはセーラの華奢な腰を弄り始めた。
「こんな所で、駄目・・」
「今更何をおっしゃる。わたくしをその気にさせたのは、あなた様でしょう?」
そう言った彼は、セーラを座席に横たえるとドレスの裾を捲り、その中に潜り込もうとした。
その時、一等車両の廊下から突然銃声がした。
「一体何が・・」
セーラがさっと座席から立ち上がった時、勢いよく客室の扉が開いた。
「やっと見つけたぜ、セーラ皇太子。」
薄汚い服を着た数人の男が客室に入って来たかと思うと、その中のリーダー格と思しき男がセーラの手首を掴むと、彼の頸動脈にナイフを突き付けた。
「ちょっと俺らに付き合って貰うぜ、皇太子様。」
「お前達、一体何者だ?」
「別に名乗るほどの者じゃねぇよ。」
「そうか、丁度退屈していたところだ。」
ナイフを突き付けられているというのに、セーラは泣き喚きも命乞いもせず、淡々とした口調でそう言うと笑った。
(セーラ様・・)
(リヒャルト、今は動くな。)
やがて賊達はセーラと共に客室から出て行った。
第9話です。
突然客室に乱入した男達の目的とは?
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