イラスト素材提供サイト:薔薇素材Mako's様
西本願寺の屯所を謎の男達と共に後にした歳三は、彼らと共にアメーシア王国へと向かった。
「お前らが言う女王陛下の元には、どうやって行けばいいんだ?」
「それはお前が知らなくても良い事だ。」
金髪紅眼の男は、そう言うと歳三を睨んだ。
やがて彼らは、京の町外れまで来た。
そこには、一本の桜の木が生えていた。
「下がっていろ。」
金髪紅眼の男は部下にそう命じると、木の幹に手を置いた後、素早く呪文を唱えた。
すると桜の木が紫の光に包まれ、やがてそれは鋼鉄製の扉へと姿を変えた。
「行くぞ。」
歳三は目の前で起きた現象を信じられずに呆然とした様子でその場に立ち竦んでいたが、男達が扉の中へと入っていくのを見て、慌てて歳三も彼らの後を追った。
扉の向こうには、西洋の街並みが広がっていた。
石畳の道、煉瓦造りの建物。
(ここが、総司が話していた異世界・・)
「おい、何を呆けている、行くぞ!」
「わかったよ。」
歳三が男達と共に街を歩いていると、自分達が道行く人々から厳しい視線を浴びている事に気づいた。
―ほら、あいつらが来たよ。
―頭から取って食われちまうから、近づくんじゃないよ
幼い子供を連れた母親達は子供の手を取って歳三達の前から足早に立ち去り、そのまま自分達の家の中へと入っていってしまった。
「随分とてめぇらは嫌われているようだなぁ?」
「うるさい、黙って歩け。」
暫く歳三達が歩くと、白亜の宮殿が彼らの目の前に現れた。
「中で女王陛下がお待ちだ、行くぞ。」
「ああ、解ったよ。」
男達に両脇を固められ、歳三は宮殿の中へと入った。
広間はフレスコ画で描かれた天使の絵で彩られた天井が広がり、射す光の隙間で白亜の大理石の床が時折硝子のように輝いていた。
「レオン様、お帰りなさいませ。」
広間の廊下を歳三達が歩いていると、彼らの前に深緑のドレスを着た一人の娘がやって来た。
「女王陛下はおられるのか?」
「はい。レオン様、そちらの方は・・」
「余計な詮索はするな。」
「わかりました・・」
娘は金髪紅眼の男に睨まれると、恐怖に顔を引き攣らせて彼に道を譲った。
「陛下、レオンです。例の男を連れて参りました。」
「入りなさい。」
玲瓏とした声が白い扉の向こうから聞こえた。
「失礼いたします。」
扉が開き、男達と共に部屋に入った歳三は自分と瓜二つの顔をした異世界の女王と対峙した。
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