黒執事・薔薇王の葬列クロスオーバー中世パラレル小説です。
ディズニー映画「ノートルダムの鐘」風のパラレルですが、一部キャラ設定や時代設定が違っていたりしますが、それでもいいよという方のみお読みください。
今日もパリの街に朝の訪れを告げる、ノートルダム大聖堂の鐘の音が鳴り響いている。
大小の鐘が美しい音色のハーモニーを生み出しているが、誰もそれを奏でている者の名も正体も知らない―
「今日もあのうるさい鐘の音で起こされた。」
主の不機嫌な顔を見ながら、彼の従者は紅茶色の瞳に優しい光を宿した。
「坊ちゃんは、あの鐘を鳴らしている者が誰なのかご存知ですか?」
「そんなの、僕が知る筈がないだろう。」
「そうですか、ではわたしが坊ちゃんに教えて差し上げましょう。鐘を鳴らしている者は、顔に醜い大きな傷がある怪物だそうです。」
「怪物だと?」
「えぇ。その怪物は光り輝くような金髪、宝石のような蒼い瞳、雪のような白い肌を持った怪物の名は、ヘンリーというそうですよ。」
「怪物らしからぬ高貴な名だな。まだラテン語の授業まで時間がある。セバスチャン、退屈しのぎにもっと僕にその怪物の話を聞かせろ。」
「御意、ご主人様。」
セバスチャンはそう言って軽く咳払いした後、ノートルダムの鐘楼に棲む怪物の話を始めた。
同じ頃、その怪物・ヘンリーは朝日を浴びながら鐘を鳴らしていた。
その時、風が吹いてヘンリーの焼け爛(ただ)れた顔があらわになった。
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