黒執事・薔薇王の葬列クロスオーバー中世パラレル小説です。
ディズニー映画「ノートルダムの鐘」風のパラレルですが、一部キャラ設定や時代設定が違っていたりしますが、それでもいいよという方のみお読みください。
「一体何が起きているんだ?」
「ジプシー狩りだ、みんな逃げろ!」
何処からかそんな声が聞こえ、リチャードとケイツビーは素早く荷物をまとめ、隠れ家の裏口から外へと出た。
土砂降りの雨に打たれながら、2人は行く当てもなくパリの街を彷徨った。
「リチャード様、何処か雨風を凌げる場所を探しましょう。」
「あぁ、そうだな・・」
「居たぞ、あそこだ!」
「リチャード様、危ない!」
兵士がリチャードに向けて放たれた矢は、彼女を庇ったケイツビーの胸に突き刺さった。
「ケイツビー!」
「リチャード様、わたしに構わずお逃げください!」
「お前を置いてなどいけるか、馬鹿!」
リチャードは負傷したケイツビーの肩に手を回し、彼の身体を支えながら、再びパリの街を彷徨った。
「何だと、あの娘が逃げただと!?」
「はい、そのようです。」
「そうか・・」
バッキンガム判事は暖炉の炎を眺めながら、部下の話に耳を傾けていた。
「宿屋で例の娘を見つけ、捕えようと脅しのため矢を放ちました・・」
「わたしは生け捕りにしろと命じた筈だ!」
「娘は負傷した従者を連れて何処かへ消えました。」
「そうか・・」
娘の傍に仕えるあの忌々しい従者は何処かで野垂れ死んでくれればいいが、あの娘だけは必ず手に入れたい。
「あなた、どうなさったの?」
「いや、何でもない・・」
「何か気に病んでいる事でもあるのかしら?」
キャサリンはそう言うと、夫が全く手をつけていない夕食を見た。
「ねぇあなた、もうそろそろ子どもをつくりたいの。」
「申し訳ないが、その話は後にしてくれ。」
「あなた・・」
子どもの話となると、決まってバッキンガムは必ずそう言っては自室へと引き上げてしまう。
その時、夫が何を考えているのかが、キャサリンは女の勘でわかった。
「そう・・あの娘にあなたの夫は夢中なのね、キャサリン。」
「お姉様、わたしどうしたらいいの?」
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