素材は
NEO HIMEISM 様からお借りしております。
悪口大会の主役は、国王陛下の愛人だった。
「あの女は一体何を企んでいるのかしら?」
「胡散臭い女よねぇ。」
「胡散臭いと言えば、最近王宮に妙な団体が入り浸っているのですって。」
「妙な団体?」
「“太陽の母”とか言う、自然派食品を売っている団体だそうよ。」
「“太陽の母”?」
リリスがそう言いながら友人を見ると、彼女はリリスに一枚のチラシを見せた。
そこには、自分達の農場で作った無農薬の野菜を販売するという“太陽の母”の活動内容が書かれてあった。
「普通の方達に見えるけれど、一体何が問題なの?」
「この方達、健康食品を隠れ蓑にしているカルト団体だという噂よ。」
「最近、内臓と眼球を抜かれて惨殺された娼婦の事件があったでしょう?あの事件に“太陽の母”が関与しているんじゃないかという噂があるのよ。」
「それと、陛下の愛人と一体どんな関係が・・」
「あの団体とあの女は、真羅国から来たでしょう?何か深い繋がりがあるんじゃないかしら?」
「深い繋がり、ねぇ・・」
「さてと、もう帰らないと。」
「そうね。夜盗に遭わないように、夜になる前に帰らなきゃ。」
「えぇ。」
リリス達が福祉会の集まりがあったホテルから馬車でそれぞれの自宅へ帰るまで、外は土砂降りの雨が降っていた。
「酷い雨ね。」
「もうすぐ着きますので、それまでの辛抱です、奥様。」
帰宅したリリスは、自分を出迎えてくれたアウグストから、クリスティーネが道端に倒れていた少女を保護したという報告を受けた。
「そう、その子は今どこに?」
「客用の寝室で寝ております。」
「そう。あの子の素性はわからないのね?」
「はい。ですが、彼女はお嬢様と同じように育てられたようです。」
「クリスティーネは今どこに?」
「ご自分の部屋でお休みになっておられます。」
「ご報告ありがとう、アウグスト。あなたも自分の部屋で休みなさい。」
「お休みなさいませ、奥様。」
翌朝、クリスティーネが夜着姿のままダイニングルームに入ると、そこには昨日自分が助けた少女が朝食を取っていた。
「あなた、怪我はもう大丈夫なの?」
「はい。肩の傷は痛みますけど。」
「そう。そういえば、あなたの名前、まだ聞いていなかったわね。」
「自己紹介が遅れました、わたしはスンヒと申します。」
「スンヒさん、昨日は何故、雨の中あんな所に居たの?」
「わたしはある方に命じられて、あの場所に居たのです。」
「そう、肩の傷が治るまで、うちに居て頂戴。」
「ありがとうございます。」
「さぁ、みんな揃ったからコーヒーでも頂きましょう。」
「はい、お母様。」
ファウジア邸が朝の爽やかな空気に包まれている頃、あるホテルの客室では、一人の少女が不機嫌そうな顔をしながらコーヒーを飲んでいた。
「あの子はまだ戻らないの?」
「申し訳ありません、お嬢様。」
「もういいわ、さがりなさい。」
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