※BGMと共にお楽しみください。
「進撃の巨人」の二次創作小説です。
作者様・出版者様とは関係ありません。
二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。
リヴァイが両性具有設定です。苦手な方は閲覧なさらないでください。
クシェルは、未婚のままリヴァイとミカサを産んだ所為で、故郷の村人達から迫害を受けた。
だが、それは新興宗教団体の代表・宇佐見が現れた事により、終わりを告げた。
「クシェルさん、あなた達は今まで、村人達から酷い目に遭わされて来たんでしょう?」
「えぇ・・」
「今の時代、未婚の母など珍しくも何ともないというのに、彼らの脳は江戸時代から退化したまま止まっている。」
ある日、クシェルは村内会の集まりに出た時、宇佐見と会った。
彼は髪と髭を長く伸ばし、白の上下のトレーナー姿だった。
「あなたはこのまま、黙って村人達からの嫌がらせに耐えるおつもりですか?」
「わたしは、近々この村を離れます・・」
「村人達を、懲らしめてやりたいと思いませんか?」
「・・えぇ。」
「わかりました。」
宇佐見はそう言って笑うと、その場から去っていった。
その後、あの秋祭りの惨劇が起きた。
上京した後にそれを知ったクシェルは、宇佐見とのやり取りを思い出し、暫く震えが止まらなかった。
上京後、クシェルは昼のスーパーで、夜はスナックで働き、リヴァイ達を育てた。
独身時代にスナックで働いていたクシェルは、長年のブランクなどものともせず夜の世界でたちまちトップに君臨した。
そんな中、クシェルの元に一人の男がやって来た。
「わたし、こういう者です。」
そう言って男は、クシェルに一枚の名刺を見せた。
“週刊スクープ 石川”
「実は、葡萄酒毒殺事件の真相を探っていましてね。あなた、あの宇佐見とは生前親しかったようですね?」
「ただの、ご近所さんでした、彼とは・・」
「また来ます。」
その後、石川は何度も店に来ては、クシェルにしつこく付きまとった。
「あいつ、また来ていますね。追い払いましょうか?」
「えぇ、お願い。」
クシェルはママに事情を説明し、店を辞めた。
これで恐怖は終わると思っていた。
だが―
「また、お会いしましたね。」
スーパーのパートを終え、クシェルが店の裏口から出て来た時、彼女を待ち伏せしていた石川がクシェルの前に現れた。
「やめて、離して!」
「お話を聞くだけでもいいじゃないですか~」
石川はそう言いながら、クシェルを人気のない倉庫の中へと引き摺り込もうとした。
「やめて!」
クシェルは近くに置いてあった鉄パイプで石川の頭を殴った。
「あ・・」
地面に倒れた石川が動かないのを見たクシェルは、その場から暫く動く事が出来なかった。
「おいクシェル、そこで何してんだ?」
「兄さん・・」
ケニーは、地面に倒れたまま動かない石川と、鉄パイプを握り締めて蒼褪めている妹を交互に見た後、瞬時に状況を把握した。
「こいつは、俺が殺した。」
「兄さん?」
ケニーは妹から鉄パイプを奪うと、そこについていた指紋を綺麗に拭い取った。
「誰か、お前ぇとその男が揉めているのを見た奴は居ないな?」
「えぇ、居ないわ。」
「そうか。いいかクシェル、お前は誰も殺していねぇ。わかったな?」
「わかったわ、兄さん。」
こうしてケニーは、妹の罪を被り刑務所で服役した。
「何てことだ・・」
全てが真実ならば、リヴァイ達はどうなってしまうのだろう?
「ハンジ、頼みたい事があるんだ。」
翌日、エルヴィンは休みを取って、ある場所へと向かった。
そこは、飲み屋街の一角ある雑居ビルの二階にある、“純喫茶 シーナ”だった。
「いらっしゃい。」
エルヴィンが店の中に入ると、そこは何処か20世紀初頭の欧州を思わせるかのようなレトロな雰囲気で、椅子やティーカップはアンティークのようだった。
「ご注文は?」
「コーヒーを。」
「かしこまりました。」
暫くエルヴィンがコーヒーを飲みながら読書をしていると、テンガロンハットを被ったマスターと思しき男が店に入って来た。
「クソ、今日は2万負けたぜ。たく、パチンコはなんかするもんじゃねぇな。」
「馬鹿ですか、あなた?それよりもマスター、あなたに客です。」
「あん?」
「ケニー=アッカーマンさんですね?わたしはエルヴィン=スミスと申します。」
「エルヴィン?あぁ、リヴァイの別れた旦那か。一体俺に何の用だ?」
「・・あなたが起こした事件の事を、お聞きしたくて・・」
「おい、店を“準備中”にしておけ。」
「わかりました。」
「俺に何の用だ?」
リヴァイの伯父・ケニーは、そう言って溜息を吐いた。
「クシェルさんの・・妹さんの手紙を読みました。」
「そうか。なら、話が早ぇな。」
ケニーはそう言って笑うと、テンガロンハットを脱いだ。
「あの事件は、俺がやった。それだけだ。」
「嘘を吐くのは、妹さんの為ですか?」
「あぁ、そうさ。それ以外に何があるっていうんだ?」
ケニーはそう言うと、ソファから立ち上がった。
「話はもう済んだから、“準備中”の札を外せ。」
「わかりました。」
「コーヒー代は俺の奢りだ。わかったんなら帰りな。」
「失礼します。」
エルヴィンは、何の収穫も得られずに、“純喫茶 シーナ”を後にした。
にほんブログ村