源氏の君の母・桐壺更衣(画像あり)
「源氏物語」は、「桐壺(きりつぼ)」から始まります。源氏の君は、桐壺帝と桐壺更衣(こうい)の間に玉のように美しい皇子(みこ)として生まれました。しかし、帝に愛された桐壺更衣は、周囲の激しい嫉妬といじめにあいます。原文には、次のように記されています。(下の原文写真6行目末尾から7行目)「かず(数)志(し)らず、くるしきことのみまされは、いといたふ思ひわびたる」現代訳にすると、「桐壺更衣は、数えきれないほど、つらく苦しいことばかり増えているので途方にくれている」となります。 原文には、そのいじめの内容が具体的に記されています。(上の原文の写真1行目から3行目)「うちはし(打橋)、わたとの(渡殿)ここかしこのみち(みち)にあや志(し)きわさ越(を)しつつ、御をく(送)りむかへの人のきぬ(衣)乃(の)すそ(裾)たへがたき」現代訳にすると、「打橋や屋根のついた渡り廊下などのあちこちの通り道にけしからぬことをしてるので着物の裾が台なしにされている」となります。原文中の「打橋とは建物と建物の間をつなぐ取り外しのできる橋」のことであり、「あやしきわさ」とは、「汚物などを撒(ま)き散らす」ことです。宮廷中の女同士の嫉妬が頂点に達した感があります。昨日(30日)「ブルベリイさん」から掲示板へ「桐壺の帖から読み始めました」という感想を寄せられました。それで、今日は「桐壺更衣」という女性についての原文を公開しました。