久しぶりのDVD映画鑑賞記。
出会いや別れを連想させる桜の舞い散るこの季節に、どうしてもまた見たくなってしまったので。
「旅立ちの時」はリバー・フェニックスが17歳の少年を演じた青春映画。
彼はあふれる才能がありながら、これといった作品に恵まれないまま急逝してしまいましたが、これは隠れた名作だと思います。(隠れてないかな? 一応アカデミー助演男優賞を取ってるし。でも世間的にはかなりマイナーな気がします。。。)
リバー演じる17歳のダニーの両親(ジャド・ハーシュ&クリスティン・ラーティ)は、過激な反戦運動家で、かつてベトナム戦争への抗議行動として兵器工場を爆破したためにFBIに追われています。
そのため、ダニーとその弟は生まれたときから逃亡生活を送る日々。名前を変えながら各地を転々とし、正体を明かすことはできません。
そんな中でダニーは成長していきます。
ある学校で音楽教師にピアノの才能が認められ、また、その教師の娘ローナ(マーサー・プリンプトン)と恋に落ち。。。
十代のピュアな恋。将来の夢や進路。家族の絆。
それらの狭間で揺れ動く少年を、リバーが瑞々しく演じています。
(この設定は彼自身の生い立ちとの共通点も多く、かなり共感できる役柄だったかも知れませんね)
リバーだけでなく、シナリオや他の家族の演技も大変魅力的で心を打たれます。
両親の追い求めた理想と挫折。貫き通したい信念と、自分の轍を我が子にも踏ませるかどうかという葛藤。
子どもへの愛情にはいろんな形があることに改めて気付きます。
清々しく前向きな気持ちになれるエンディング。新たな気持ちで向かいたいこの季節にオススメです。
(シナリオ自体は、ね。リバーに想いを馳せちゃうとついつい感傷に浸ってしまいますが・・・)
ちなみに監督は「十二人の怒れる男」などで知られる社会派の巨匠シドニー・ルメット。「十二人の怒れる男」は、ある殺人事件をめぐる陪審員たちを描いた作品で、彼ら一人一人の人間性をえぐり出した傑作。
<余談>
吉田秋生さんの「BANANA FISH」を初めて読んだとき、主人公のアッシュを「リバーだ!」と思いました。特にこの映画の中のダニーとはかなりイメージが重なるんですよね。
その後、どこかで作者自身がアッシュのモデルがリバーだと語っているのを読んで、しみじみ納得。
コミックの方を先にご存じの方は、この映画を見たら「アッシュだ!」と思うのかも。
BANANA FISH も本当に面白い作品。リバーが健在で、ハリウッドで映画化されていたら・・・と、叶わぬ夢を見てしまいますね。
本編ももちろん好きですが、個人的には番外編の方が泣けます。
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