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カテゴリ:雑感
 昨日、夜中に仕事が終わってサイト巡りをしていたら、たまたま極東ブログというところで、作家の島尾敏雄の奥さんだったミホさんが亡くなられたということを知った。

 ミホさんの文章はまだ読んだことがないのだが、戦争末期、奄美の南の加計呂間島に、小型ボートに爆弾を積んで敵に体当たりする「震洋」特攻部隊の隊長として赴任した島尾とミホさんの話は、たとえば島尾の「島の果て」という短編で次のように描かれている。


 トエはうたをやめると中尉さんにしっかりつかまりました。
「敵が来る」
 そう言ってふるえました。
「トエ、何がこわいものか」
 中尉さんは笑ってみせてもトエはふるえていました。
「敵、敵が来る、みんな知ってる」
 そして中尉さんの顔を穴のあくほど見つめて言いました。
「行っちゃいや。みんな知ってる。洞窟の中に何がはいっているか知っているの。こわい。トエこわい。五十一人のことも知っている。トエこわい。行っちゃいやなの」


 
 この作品が発表されたのは、敗戦後間もない昭和21年のことである。つまり、長編『死の棘』に描かれたような、島尾の女性問題をきっかけにしてミホさんの精神が変調をきたす以前の作品ということになる。

 この小説は、「むかし、世界中が戦争をしていたころのお話なのですが― 」という一見のどかな童話風の文で始まるのだが、描かれているのは、沖縄戦の結末を当然知っていたであろう島の娘と、最初であると同時に最後になるであろう出撃命令を待ちながら生きていた若い隊長さんとの緊張に満ちた状況の中での恋愛なのである。

「トエはもう一度短剣を抱きかかえました。そしてひとまずは危機が通り過ぎたことを知ったのでした」という文でこの作品は終わっているのだが、二人にとっての本当の危機がこのあとに訪れることに、作者はなにか予感のようなものを感じていたのだろうか。それとも、それはその後の事実を知っている読者の深読みなのだろうか。


 ついでに気になって調べたら、二人の娘のマヤさんもすでに亡くなられていました。まだ50代に入ったばかりだったはずです。島尾の『マヤと一緒に』などの作品には、当時小学生ぐらいだったマヤさんが言葉を失っていく様子が描かれています。「失語症」という病気について、詳しいことは知りませんが、結局、マヤさんは最後まで言葉を取り戻すことがなかったということでした。





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Last updated  2007.03.30 22:34:28
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