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カテゴリ:PC『G線上の魔王』
『G線上の魔王』
野獣感想 第十一回 取り逃したイベントCGの回収が完了した。 これで『G線上の魔王』コンプリートか…。 作品中で、京介は様々な悪を見せてくれた。 少女達を絶望から力強く救い出し、 一方で、時には冷酷に破滅させる、 獣の王、浅井権三に躾けられた京介は、自らが宿す悪魔の赴くままに力を揮った。 しかし、その暴虐な意志にも関わらず、彼の行動は往々にして他者に優しかった。 「優しい悪」など矛盾している。 俺はそう思っていたが…。 ※以下、ネタバレの成れの果て 権三が答えをくれた。 悪とは、いまだ人の内に残っている動物的な性質にこそ起源がある。 動物的な性質、つまり人の本能や欲望の根源。 それこそが、悪だという。 ならば一時的とは言え、椿姫が見せた強欲。 花音が自身を苦しめた傲慢。 水羽がしがみついていた甘えや媚。 京介が抱いた他者の幸福への嫉妬。 ユキと、ハル、そして鮫島恭平が囚われた、復讐を果たさんとする憎悪。 それらの醜い感情こそ悪であり、各人が身に宿す魔王の正体だと言えるだろう。 …しかし、それだけではない、はず。 動物的な本能が悪だと言うなら、自分の大事な人を守りたいという感情、 つまり、愛すらも悪と呼べるのではないか? というか、絶対に呼べる。 そうでなければ、説明が付かない。 権三が、自分の命を懸けて京介を庇ったことが。 権三は、最初から最後まで悪人だった。 実は善人だったとか、あの一瞬だけ良心を思い出したとか、そんな描写は無かった。 権三は、最期の瞬間まで金の話しかしなかったんだから…。 だから権三はあくまで、悪人として、京介を守る為に命を投げ出したのだ。 同時に、京介も間違い無く悪人だった。 椿姫を騙し、花音を利用し、水羽に取り入ろうとした。 その一方で、愛した女性であるハルの夢を守るために、自分の人生すら放り投げた…。 京介の叫びが印象に残っている。 この悪は、ただの悪ではない! 確かに、京介と権三が土壇場で見せた悪は、ただの悪ではなかった。 何故ならそれこそ、当に愛と呼ばれるべき代物だったのだから。 「おとうさん、頭なでて」 最終章、自分の罪の結晶を前にして泣き崩れる京介だが…、 それでも、その娘の頭に置いた手の平が離れることは無かった。 これはかつてない神EDだと言っていいんじゃないか。 極めて印象深い…印象深過ぎて、ちょっと解釈に困るくらいだ。 殺人犯の娘と家族がこれからどういう目に遭うか、そんなのは解り切ってる。 だから、京介は泣いたんだ。 込み上げる一時の幸せを甘受することもなく、愛する家族を想い、ただ獣のように慟哭した。 本当に残酷で、悲劇的で、底意地が悪くて、 それでも、暖かさに溢れる結末だった…。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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