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2010.02.01
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『星空のメモリア』感想 第九回

 

 

メアを襲い、千波を傷付けた犯人と対峙。

驚いて顎が外れた。

それでも、洋は戦わなければならない。

何故なら、洋がロリコンだからだ。

ロリコンは、幼女をいじめる輩を絶対に許してはならないのだ。

幻覚だろうが悪夢だろうがフィクションだろうが、それは同じことだ。


※以下、ネタバレ注意

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前回のあらすじ。

千波、暴力巫女に襲われる。

 

【8月14日】

犯人を特定するため、メアから情報を得ようとする洋。

が、メアの発言は曖昧だ。

「洋くんのことしか、覚えないから……」

「…………」

「……今、きゅんってした」

「なんか俺もした」

馬鹿やってないで仕事しろロリコン…。 

メアが言うには、あの後犯人は再びここに現れたらしい。 

「またあなたの名前を出したけど、さすがに同じ手にはひっかからなかったわ」

なるほど、雪菜には現れたメアを拘束する力はあるが、隠れているメアを引きずり出す力は持たないようだな。

とりあえず安堵して、メアの頭をなでなでする洋。 

「……変な気持ちになるから、いや」

…メアが愛しくてたまらなくて思わずディスプレイに頭突きした。

メアに窮屈な想いをさせないためにも、早く雪菜を捕縛せねば。

 

一方の姫榊家では、こさめの嘘を看破したこももがいきり立っていた。

口篭るこさめを無理に問い詰めず、自分で展望台に向かおうとする。

「……姉さんは、展望台が苦手ですよね」

「展望台が苦手だからなんだっていうのよ」

「あなたになにかあるんなら……あなたが悩んでいるくらいなら」

「苦手意識くらい、簡単に蹴飛ばしてやるわ」

これは心強い。 

こももが動けば、雪菜は動き難くなるだろう。 

 

洋は、いつになくしおらしい千波の願いを聞き、彼女を胸に抱いて眠りにつく。

「お母さん……お母さん……お母さん……」 

繰り返し、母を呼ぶ千波。

……今、きゅんってした。 

千波も寂しいんだ。

勿論、洋も。

 

【8月16日】

千波襲撃から三日が経った。 

怪我の療養のためにゴロゴロする千波。 

千波に付き添ってゴロゴロする洋。

二人はゴロゴロし過ぎたせいで、ゴロゴロしか出来ない生物と化した。 

見舞いにきた蒼姉妹にも、ぞんざいな態度を崩さない。 

「具合、悪いんですか……?」 

「べつにー」

「べつにー」

「……イライラします」

SD絵でイラっとしている衣鈴は可愛いけど、まぁこういう時くらいゴロゴロしてもいいんじゃないの。

 

一方、星天宮。

どうしてもメアを見つけられない雪菜は、洋を利用してメアをおびき出そうとしている。

「そんな姿で、どうしたんですか?」

巫女装束姿の雪菜を、こももが見咎める。

雪菜は「星天宮きっての優秀な巫女」であるこももを警戒している……ってそんな凄い娘だったのかこももは。

「わたしはあなたの仕事に興味があるわけじゃない。ただ、あなたの仕事とやらで、誰かが迷惑をこうむっていないか知りたいだけなんです」

うん、メアと千波が迷惑をこうむっているぞ。

こももに「こさめのことをどう思っているか」と聞かれて、はぐらかすことが出来ない雪菜。

「私はな、友達なんてものは作りたくない」

「だが姫榊妹はこの雲雀ヶ崎で私の最も親しい相手に当たるだろうな」

それだけ聞くと、こももは雪菜を解放し、さっさと自宅に帰ってしまった。

 

夜、洋の元にメールが届く。

『今夜九時、展望台に来い

 メアと千波を襲ったのは、私だ

 キミに話したいことがある』

Oh、ナイストラップ。 

洋はそれなりの心構えをして展望台に向かうが……そもそも武器を持った相手を一人で何とかしようなんて、考えが甘過ぎるんじゃないか。

展望台に着いた洋は、まずメアに危険を伝え、姿を現さないように言い含めるが……。

「いや」 

「なんでだよっ!」 

「わたしが出てこなかったら、犯人はあなたを脅すかもしれない」 

「わたしを呼ぶようにあの長い刀で迫るかもしれない」

「あなたがケガをするかもしれない」

「だから、いや」

洋の思惑は外れ、メアは出てきてしまう。 

優しいのは知っていたが、この娘はいつからこんなに聡明になったんだ?

頼むから何も考えずに隠れていてくれよ……。

完全に雪菜の狙い通りの展開で、洋が道化に見えてくる。

そしてメアを説得する間もなく、背後から足音。

「お早いお着きですね、小河坂さん」 

…………。 

!?

薙刀を携え、巫女装束を纏ったこさめが、冷然として立っている。 

お、おちけつ、素数を数えろ1,2,3,4……。

あのメールの差出人は、雪菜ではなくこさめだった。

メアを襲う理由を問う洋に、こさめは嘲笑を浴びせる。

「襲う理由は、必要があるからです」 

「千波はどうなんだ?」

「困るんですよ、人に見られると。だからご退場願ったまでです」

「俺はいいのか?」 

「小河坂さんは警察沙汰にはしません。展望台が封鎖されるのは困るのでしょう」

「この場所には思い入れがあるようですからね」

こさめは冷徹な薄ら笑いを崩さない。

洋はメアに消えて逃げろと言うが、だからそれは無理だってメアが言ってたのに忘れたのかコノヤロー。

「メアと名乗る死神――ソレは、ある特定の電磁波量が一定以下になって初めて、人の目には映らなくなります」 

「逆を言えば、一定以上の電磁波量が照射されている限り、幻視することができるんです」

「わたしたち人と同じ存在として扱うことが可能なんですよ……」

「それを、この薙刀……『隕鉄』から作られた採物が補完しているんです」

隕石で日本刀が打てる、と言っていたのは誰だったか。

要するにこさめは、メアは幻覚に過ぎないのだと言っている。 

皆にメアが見えるのは、皆が同じ悪夢を見たから。 

写真に写ったのは、カメラが同じ悪夢を見たから。

「ソレは人だけじゃない、万物にとっての悪夢ですからね」 

……だからさ、万人に知覚されて、誰かに必要とされているんなら、幻覚でも悪夢でも何でも構わないって言ってんだろ。

そもそも薙刀振り回して千波を傷付けた暴漢風情が、自分を棚に上げて他者の有害性を指摘しようとは笑わせる。

「……メア」 

「違うよな……」 

「メアは、そんなものじゃないんだよな?」

「俺が抱きしめた時さ、自分で言ってたもんな」

「自分は、幻覚のわけないって……」

メアは俯いている。 

「……わからない」 

「わたし、自分が何者かなんてわからない……」

「わかるのは、洋くんと交わした約束と……」

「『彼女』と交わした約束だけ……」

「だから、あなたがわたしを死神だって言ってくれて……」

「うれしかったんだと思う……」

「別に死神じゃなくてもよかったけど……」

「なんでもよかったの……」

「わたしという存在を認めてくれるなら、なんでも……」

初めて自分という存在に対する不安を吐露するメア。 

洋がメアの存在を本気で認めるなら、命を懸けても護らなければならない。 

そもそも自分の不始末だ、戦え洋。 

こさめをぶちのめせー。 

……。

 

……ちょっと待て。

「メアさんは、あなたに、心から自分のことを死神だと思っていて欲しいんですよ」

メアの不安を誰よりも先に理解し、同情を示したのはこさめではなかったか。 

或いは、これも方便だったのか……?






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Last updated  2010.02.01 03:43:51
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