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2010.02.15
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『星空のメモリア』感想 第二十二回

“姫榊こもも”編



星天宮、許すまじ。

諸悪の根源は連中だ。



※以下、ネタバレ注意

































前回のあらすじ。

悪夢に苦しむこももを助けたいが、どうしたらいいかわからん。


【9月10日】

こももを助けるために情報収集。

こさめに聞いてもはぐらかされるだけで、今度はメアの元へ。 

メアは「昔、展望台で泣いている女の子の悪夢を刈った」というが、それ以上のことはわからない。  

「メアさんに助けてもらわなくても、わたしのことは小河坂くんが助けてくれるんでしょ」

「……この子の今の態度見たら、胸がムカムカした」

何をムカついてるの…。

もしかして嫉妬なのか。

「もこもこのくせに生意気」

こももに対して、ジャイアニズム全開の罵倒を繰り返すメア。 

というか、メアがここまで露骨に嫉妬心を見せるのってこれが初めてじゃないか?

 

星天宮、雪菜と万夜花さんが密談している。 

「こももはいずれすべてを思い出すでしょう。過去の悪夢を見るに、それはそう遠いことじゃない」

「よってあなたに命じます。『彼女』を送り還しなさい」

「私の娘は、もう、その現実に向かいあう時期に来たのだと思うから」

神妙に頷く雪菜。 

……。 

『彼女』と露骨にボカしているが、ボカす時点で答えは決まったようなものだ。 

送り還されるのは、恐らくこももではない。 

 

【9月11日】

悪夢の先。

夢の中、死体が横たわる光景に死の冷たさを知覚し、こももは怯える。

「誰か……誰かあ……」

「助けてよ、小河坂くん――――」

……。

 

学校で、こももを探す洋。 

「そんな小河坂さんに残念なお知らせです」

「生徒会が滅亡したの?」 

明日歩の脳内だけ大番長的世界観になったらしい。

こももが体調不良で休んだと聞いた洋は、こさめの手を引いて廊下に連れ出す。

急に触れられて、こさめは顔を赤くしている……。 

「男子と手を繋いだのは、初めてですよ」 

「子供の頃にはあるだろ。小学生の男子とか」 

「わたしは小学校にはほとんど通っていませんから」

この娘、何者なんだろう…………と言いつつ、実はもう解りかけているんだが。 

こさめは、展望台の事故のことを詮索しようとする洋を警戒して、情報を与えない。 

「詮索は悪趣味です」 

いつもいつも、詮索して欲しくない事情が多いから、こんな口癖になっちまったんだろうな。 

しかし、今となってはそうも言ってられまい。 

 

星天宮の社殿にて、御神体の隕石を見つめるこももに、万夜花さんが話し掛ける。

星天宮は“まつろわぬもの”或いは“星神”と呼ばれる存在を送り還すが、その仕事は完璧ではない。 

「だから、ひょっとしたら、この社会にはそんな存在が解け込んでいるかもしれない」

「何食わぬ顔で、生活しているかもしれない」

その全てが人に害を為すとは限らないが、それでも星天宮は容赦しない。 

「問題が起こってからじゃ遅い。星天宮の総意だからね」

……やばい、ちょっと怒ったぞ俺は。 

ふざけていやがる。 

要するに、メアが悪さをするとは限らないけど、何かよくわからない存在だからとりあえず殺すってんだろ?

“まつろわぬもの”なんかより、そんな暴力組織の存在の方が人にとって百倍有害なんだよ。 

星天宮は今すぐ滅びた方がいい。 

 

洋はこもものお見舞いに行く途中、雪菜に待ち伏せされる。

一体何の用なんだよ暴力組織の手先めが…。

「キミは私の敵だ。だがこさめはキミを敵とは思っていない。このもどかしい心境をわかって欲しいものだな」 

む……どういう意味だろう。 

雪菜は、メアの正体について教えてくれた。

「こさめも言ったと思うが、アレは幻覚だ」

「と言っても人が生み出した幻覚じゃない、違うモノが生み出している幻覚――夢幻だ」

「そして、『彼女』もそれと同質の存在だ」 

洋は、『彼女』に該当する人物に思い当たる。 

俺も目星はつけているんだが、正直、まだ半信半疑だ。

 

姫榊家。

見舞いに来た洋の前で、こももは悪夢の詳細を語り、激しく取り乱す。

「わたし、死んでる……もう死んでるの!」

「いやっ……死にたくないっ……死にたくないのにぃ!」

……。 

こもも、辛かったんだなぁ。 

そりゃそうだ、毎朝自分が墜落死する夢を見せられて、正気でいられるわけがない。 

 

こももを落ち着かせて階下に行き、万夜花さんから話を聞く。 

転落事故は七年前の夕方、『あの子』は木に登って転落し、ちょっとしたケガをした。

それがトラウマになっている……とのことだが嘘を吐け。 

まだ何か隠していやがるな。 

「こももにとって、あんたは逃げ道じゃなくて、道しるべになっているわけか」

「なにがあっても、あの子のそばについていてあげて」

言われなくてもそうするよチクショー。 

でも俺は星天宮なんて大嫌いだからな。 

 

夜、展望台でメアに会う。 

メアは、こももは洋と話している時だけは元気になる、と不機嫌そうに言う。

「だから、洋くんは、助けてあげられるんじゃないの」 

「わたしに頼らなくたって……」

「……バカバカ」

メアの言うことは、実はいつも的確だ。

どのルートでも、洋はメアに頼りっぱなしだな。

 

【9月12日】

昼休み、こももの手作りお弁当を頂く。

料理は万夜花さんに習ったという。 

「……お、おいしかった?」 

「ああ。及第点」

死んだらいいと思います。 

なんでお前が偉そうなんだよ。 

子供の頃から家事手伝いをしていた洋は、料理に関して拘りがあるらしい。 

そんなのどうでもいいから、ただ黙って美味しい美味しい言いながら食っとけばいいんだよ、この幸せ者が…。 

洋は、今夜、こももと展望台に行く約束をする。

「ご希望とあらばお姫さまとして丁重に抱っこして連れていく」

「……い、いいわよ、別に」

いつものようにこももが怒ってくれないので、洋は寂しそうだ。 

こもも、ずっと抱っこして欲しそうにしてたもんな……。

 

夜、展望台。

洋とこももはメアに頼み、こももの悪夢を刈ってもらおうとする。

「あなたの気が変わらないうちに、一息でやってあげる」 

鎌を持ち上げるメア。 

しかし、それが振り下ろされることはなかった。 

「――――待て」

近くで様子を窺っていたのか、飛び出してくる雪菜。 

焦る雪菜の声を始めて聞いた。

「その者にとって従えたいのに従わないもの、それがまつろわぬものだ」

「悪夢と呼べるものだ」

「今、悪夢を刈れば、取り返しのつかないことになるぞ」

悪夢=まつろわぬもの。 

では、洋にとっての“まつろわぬもの”が、夢との記憶だったということになるが…。

「これで、仕事は失敗だ」

「『彼女』を送り還すという任務は失敗だ」 

晴れやかな笑顔を浮かべる雪菜は、はっきり言って可愛い。

それほど『彼女』とやらを送り返したくなかったのか。

 

帰り道、本人の希望でこももをお姫さま抱っこし、駅まで歩く洋。

冷静に考えたら洋の腕力すげえ。 

途中、こももは洋に告白する。

「……頼っても、いいの?」

「恋人として頼ってもいいの?」 

う~む…。 

「じゃ、今から恋人だ」

毎度思うんだけど、淡白な主人公だよなぁ…。 

明日歩ルートの時は、多少動揺していた気もするけど。

 

【9月13日】

こももとデートするが、特に行く宛もないので小河坂家へ。

「お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃーーんっ、お帰りなさーーい!」

千波、お久し振り。

あぁ、なんか今まで寂しいと思ったら千波がいなかったのか。 

詩乃さんもお久し振りです。

「いらっしゃい、こももちゃん」 

「お邪魔してます」

おぉ……これは地味に面白い表現だ。

“名前で呼ばれたら怒る”というひたすら繰り返してきたパターンを、大人が相手の時だけ引っ込めて、こももの分別の良さを印象付けているわけか。

 

そのまま部屋に連れ込むかと思ったら、詩乃さんを交えて談笑してるうちに日が暮れた。 

別れ際に、洋にキスをするこもも。 

「……ばいばい」

……一転して初々しいな。 

これは良いものだ。 






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Last updated  2010.02.15 02:36:20
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