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2010.02.24
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『星空のメモリア』感想 第三十回

“小河坂千波”編



ついに記事数が三十件を超えてしまった。

一つのゲームに関して、これだけ多くの記事を書くのは久し振りだな…。

それだけ楽しいのだけど、やはり千波ismを以ってしても、これだけシリアスになってしまうのか。

ヒロインが抱える病理の解消を目的とする以上、この辛気臭さは一種の宿命かも知れない。



※以下、ネタバレ注意














































前回のあらすじ。

メアが天クル秘蔵のカレイドオルゴールを華麗に三分割。



【8月20日】

バラバラになったオルゴールを見て、最も過敏に反応したのはマスターだった。

「あ、お父さんって部長やってたんだよね。じゃあ知ってて当たり前かあ」

「このオルゴールは、僕が卒業したあとに作られたものだけど……。いや、それよりなんでこんな無惨な姿に……」

平謝りするしかねえ。

マスターは、オルゴールを修理できる人を知っていて、掛け合ってくれると言う。

「僕が天文部に入っていた頃の顧問……キミらの言う、元顧問さ」

元顧問……衣鈴がこの単語に反応していたことがあった気がする。



洋は、明日歩と岡泉先輩と一緒にオルゴールのお店へ。

店員によると修理は可能とのことで、修理を頼んだ時の元顧問の説明と矛盾する。

「元顧問が僕らになにか隠しているのは、確実だろうね」

では、オルゴールの中にペンダントを隠したのは元顧問か。



【8月22日】

朝、洋の言う通りにしてどれだけ早寝しても、洋より早く起きられない千波が、朝っぱらから癇癪を起こしている。

「見当違いの作戦指示したお兄ちゃんが全責任を負うべきだよっ」

「ごめんなさいでした」

「ぐりぐりしながら謝るより千波に朝食作らせることで責任取ってほしいよお兄ちゃん!?」

無理。

せめて人の食い物が作れるようになってからにしてくれないと、洋が死ぬ。



ミルキーウェイでバイトしていると、飛鳥がヒバリ校内での宇宙人目撃情報を携えてやって来た……ってまたかよ。

野球部が練習後、特別教室が並ぶ区画から謎の音楽が漏れているのを聞いたが、様子を見に行くと曲は止んでしまったそうな。

「きっと逃げられたんですねっ、宇宙人は恥ずかしがり屋さんだからっ」

「お化けなのか死神なのか宇宙人なのか、目撃してねえからわからんけどな」

前回は衣鈴だったが、今回は誰かな…。



夜の校舎に侵入した洋たちは、天クル部室に明かりがついているのに気付く。

聞き耳を立てていると、ドアが開いて、人が出てきた。

「…………」

ザ・レンちゃん。

と、もう一人、見覚えのない長身の男性がいる。

二人は黙ったまま、連れ立って校外へ歩き去っていった……こいつが“元顧問”か?



解散した後、洋は展望台へ向かい、メアに会う。

「前にさ、いきなり消えて俺の後ろに回り込んだよな。あれって瞬間移動か?それとも消えながら歩いて俺の後ろに回ったのか?」

「歩いて回ったけど」

「つまり消えながら俺の姿を確認できるんだな?」

「そうなるけど」

単なる瞬間移動なら、雪菜に捕捉されることもなかっただろうしな。

「……結局なんなの」

「俺もよくわからない」

「……わからない話なんかしないで」

ごもっとも。

というか洋、そこは「メアのことをもっと知りたいんだ」くらい言っとけよ甲斐性無しめ。

壊したオルゴールのことを気にするメアをからかって、かーくんに火だるまにされる洋。

「おやすみだって」

ニコーっと楽しげに笑うメア。

この笑顔だけでご飯三杯はいける。

「かー坊じゃなくて自分で言えばいいだろ!?」

「今夜のあなたはバカバカバカだったわ」

かーくんを頭に載せて消えていくメア。

どのルートでも、メアは常に一定の存在感を示しているな…。



直後、千波が登場。

明日歩と飛鳥も坂の下で待っているらしいが、洋のヤツ一言声掛けもせずに無断で抜け出してきたのか。

「悪いことしたな」

「まったくだよっ、このせいで寝るの遅くなって朝寝坊して朝ご飯作れなくなったらお兄ちゃんのせいだからねっ、だから明日は千波モーニングを堪能してねっ」

「だから」の繋がりがおかしいよお兄ちゃん。

というか、お前はどのみち朝寝坊するじゃねーか。



【8月23日】

ミルキーウェイでバイト中、飛鳥出現。

怪しい人物の目撃情報を掴んだらしい。

「先生だ」

「怪談にもならなかったな」

「そろそろ肝試し飽きてきちゃった」

テンションだだ落ちの明日歩……今までの興奮振りが嘘のようだ。

「オカルト部長が言いたいことはわかりますっ、その先生が宇宙人エージェントだってにらんでるんですねっ」

「おうよ、そういうことだ」

呆れ果てる洋だが、あながち二人が間違ってるとも言い切れないぞ。

レンを連れ歩く男なんて、絶対ただ者じゃないしな。

「一度聞いてみたかったんだけどさ、飛鳥ってなんでオカルトが好きなんだ?」

「好き嫌いに理由なんていらねえだろ」

こももみたいなこと言ってるけど、こういうこと言う奴に限って理由があるはず。

「でもキッカケとかあるんじゃない?あたしが天文ファンになったのはお父さんの影響だし」

「オカルトファンになったキッカケか」

うんうん。

「妹が宇宙人にさらわれたからだ」

……。

これ、飛鳥伊麻の話だよな。

飛鳥伊麻は、星天宮に誘拐されたってこと?

どんだけ有害組織なの?

その後、“都市伝説の死神”の情報を求め、万夜花さんに話を聞きに神社に行くことになった。

「万夜花はずぼらだからね。すっぽかされる前に、早く神社に向かった方がいい」

「都市伝説の謎を解く気があるのなら、ね」

そんな飛鳥たちを楽しそうに見つめるマスターは、この件について何か知っているみたいだな…。



洋たちが去ったあと、詩乃さんがマスターを訪ねて来た。

洋と千波が、内緒でバイトしていることに気付いていたか。

「あの子たちは、私を家族と思っていないから、隠し通せると思ったのかもしれませんね」

……いやいや、考え過ぎでは。

親子の仲にだって遠慮くらいあるだろう。

「話しあってみなさい。キミの想いを伝えてみなさい」

「そして相手の想いも汲み取りなさい」

「きっとそれで解決する。それだけで解決するんだよ」

言うは易しですな、マスター。

明日歩ルートでの体たらく、俺は忘れてないぞ。



一方、洋たちは神社に到着。

「どうぞ、麦茶ですよ」

久々のこさめさんの笑顔に半端なく癒される俺。

万夜花さんによれば、“都市伝説の死神”の正体は“星神様”だという

「うちが祀ってる神さまのことよ。天津甕星に連なる神の総称みたいなものね」

「古来より信心深い民が星神様と呼んでいましたが、今では星神と簡単に呼ぶことも多いんですよ」

そういったものを、まとめて“まつろわぬもの”と呼んで殺して回っているのが星天宮だろコノヤロー。

日が暮れるまで万夜花さんの話を聞いた後の帰り際、洋は詩乃さんの調子を尋ねられる。 

「彼女は夢見がちで純粋だからね。だから、家族というものに対しても夢を抱いていた」

「得てしてそういう女は、現実を知って深く傷付いてしまうわけよ」

…そんなことを子供に言ってどうすんだ?

「だって詩乃は、子供を埋めない身体だから」

……。

マジですか。



夜、小河坂家の食卓。

衣鈴が、詩乃さんに今までの分の食費を差し出す。

「あ、あの、ご迷惑かもしれませんけど、これからもよろしくお願いします」

「迷惑なんてなにもないのよ。鈴葉ちゃんが嫌になるまで食べに来ていいんだから」

「蒼ちゃんもずっと一緒だからねっ」

「死ねばいいのに」

洋は、流れに乗じて、バイトで稼いだ食費を渡そうとする。

鈍い後悔を感じながら、話を切り出す。

「詩乃さん」

「なに、洋ちゃん?」

苦笑いを浮かべている。

詩乃さんは、次に洋が何を言うか理解している。

「俺も、詩乃さんに……食費を、渡したくて……」

……。

詩乃さんは、口元を引き締める。

「私は、頼りにならないかしら」

「家族として、あなたの頼りにはならないのかしら……」


自分の発言が、大切な何かを壊したことを実感しつつ、洋の回想が始まった。



洋の母の名は“小河坂歌澄”。

歌澄は、お腹に千波を宿すとすぐに家を飛び出し、赤ん坊の洋を抱きながら、アパートで暮らし始めた……って、父親はどうした?

当然、実家との仲はガタガタになり、殆ど勘当されたような状態。

そんな歌澄をこっそり支援していたのが、実の妹である詩乃だった。



「姉さんから聞いていたの……あなたは、甘えない子供だって」

「それはたぶん、自分が頼りないからかもしれないって、姉さんから聞いたことがあったの……」


仮の親になった今の自分には、その気持ちがわかると言う。

詩乃さんは微笑み、洋は悪くないと繰り返す。

「だって洋ちゃんは、とっても優秀なんだから」

「あなたは、姉さんの自慢の息子なんだから」


……。

洋の考え方は悪くは無いが、食費を渡す、というやり方はよくなかったのかも知れないな。

そんなことよりも、ささやかなプレゼントでも買ってやればよかった。

そうすれば、詩乃さんはきっと涙を流して喜んだだろう。






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Last updated  2010.02.24 01:41:08
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