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カテゴリ:PC『星空のメモリア』
『星空のメモリア』感想 第三十六回 “???”編 ……存在自体がネタバレ過ぎて、名前を呼ぶことすら出来ないのか? いよいよ以って、このネタバレ無しゾーンの存在理由がわからなくなってきた。 一応の途中経過を書けば、ヒロインが可愛くて可愛くてニヤニヤニヤニヤしてる。 ニヤニヤする以外に為す術が無い。 ※以下、ネタバレ注意 前回のあらすじ。 病院の一室で、洋と夢は再会を果たした。 【10月13日】 子供の頃の約束から、七年経った。 夢はどう変わっただろうか。 「びっくりしたな……。うん、びっくりした」 「いきなり入ってくるんだもの」 言われて、洋はノックを忘れていたことに気付く。 受験生のような緊張ぶりだ。 「キミが……小河坂洋くん?」 ニコニコしながら、洋に話し掛ける夢。 ……「再会」って雰囲気じゃないぞ。 「私、この病院に来て初めてだよ。お見舞いされるの」 洋が初めての見舞い人……って、ご両親は除いてか。 夢は笑顔で、饒舌に話し続ける。 あのさ、これって……。 ……というか、俺のこと忘れてるんじゃないか? そう、俺も今そう思ったところだ。 「俺のこと覚えてないか?」 「……えっと」 「ほら、小学生の時に一ヶ月だけ遊んでた……」 「……遊んでた?」 「ああ。俺と、展望台でさ」 「展望台って?」 話がまるで噛み合わない。 ……いや、待て待て。 「あの日、展望台で約束したじゃないか……」 「七夕の日に、誓ったじゃないか」 「俺たちは、再会するって」 「再会して、そして……」 必死に言い募る洋。 夢は困惑している……ように見える。 「……多分、それ、人違いだよ」 「雲雀ヶ崎には初めて来たんだよ」 ……。 そうか……。 苦い再会になっちまったな。 そもそもガキの頃の思い出なんて、忘れていても無理はないというか、むしろ覚えている方が珍しいのかも。 但し、少なくとも二ヶ月前まで、夢は洋のことを覚えていた。 可能性としては「メアかレン、或いは他の星神が夢の記憶を刈った」ということが有り得るか。 でも、そうか……。 こうなってしまったか。 俺も夢との再会を我が事のように楽しみにしていただけに、ショックがでかい。 病院を出ると、姫榊姉妹が待ってくれていた。 二人は洋を冷やかすが、洋は失意のドン底でそれどころではない。 「夢が前に入院してた病院ってどこかわかるか?」 「……お父さんに聞けばわかると思うけど」 「悪いんだけど、聞けるようならお願いできるか?」 いや待て、洋自身が姫榊父に会いに行った方が早い。 事情を話して、夢の健忘症状について聞き出せ。 「夢さんがどこの病院から転院してきたのか。昔、夢さんはどこに住んでいたのか」 こももがやけに協力的だ。 ……でも、流石に住所までは教えてもらえないだろ。 「ほかにも手助けが必要でしたら、いつでもご相談くださいね」 「こさめさん、好きだ」 「えいっ」 久し振りにチョップを喰らう。 なんでお前は暇さえあればこさめさんに告白したがるの? 「変なお礼はいりませんから、ご相談くださいね」 「……こさめよりわたしがびっくりしたじゃない」 「姫榊」 「どがっ」と、擬音だけだが蹴られたことは明白。 吹っ飛ばされ、大の字に倒れる洋。 「そっ、そそそそんなお礼なんかいらないわよ!」 「なにも言ってなかっただろ……」 正当防衛だな。 ……二人のおかげで、少し元気が出た。 夜、展望台でメアに会う。 メアはいつにも増して不機嫌だ……不機嫌な顔も可愛いけど。 「俺、夢と会ってきたんだよ」 「……そのわりに、うれしそうじゃないのね」 膨れっ面でずんずんと近付いてくるメア……を、思いっきり抱き締める洋。 俺と代わってくれ、頼む。 「……いっ」 「いやあっ!」 鎌で殴られる。 メアは、この「……いっ」の時の表情がヤバいくらいに可愛いんだよなぁ。 「夢はさ、俺のこと覚えてなかったんだよ」 「……うん」 若者が恋に空回って何が悪い。 それに、まだ負けと決まったわけじゃないだろう。 「わたしも、悪いことしたかもしれないけど……彼女のことを諦めなかったのは、洋くんのせいだから」 「よくわからないな」 「わからなくていいわ」 ……俺もよくわからないな。 とにかく、姫榊姉妹とメアにセクハラしたおかげで元気が出たぜ。 【10月14日】 昼過ぎ、病院に向かうと姫榊姉妹……だけでなく、明日歩と千波まで居た。 ぞろぞろとお見舞いにいけば、暇を持て余している夢は喜ぶかもしれないな…。 「夢さんがどこの病院から転院してきたか。お父さんに聞いたから、伝えに来たわよ」 流石もこもこ、仕事が早い。 いわく、夢は都会の病院からここに転院してきたとのことだった。 夢も出戻り組なのか…。 あぁ、だから雲雀ヶ崎の小学校も卒業していないのね、なるほど。 「……もうちょっと、待ってくれ」 そうだな、洋は今のままじゃ夢の知り合いを名乗る変な人でしかないからな。 病室。 「あ……洋くん」 夢は窓際に立ち、海を眺めていた。 この儚げな美しさだけは、昔の彼女とは似ても似つかないが…。 「……ダメだったか?」 「ううん。ずっと暇してたし。海の景色を眺めるくらいしかすることなかったし」 そう言って、屈託の無い笑顔を見せる。 くらっ☆ あ……マジで鼻血が。 違うから、板チョコ食ってただけだから。 「俺のこと……覚えてないんだよな」 「覚えてないよ。うん、覚えてない」 「過去に俺と出会ってる可能性は否定しないんだな」 「あ、間違った」 「出会ってないよ。うん、出会ってない」 ……。 ん? 夢は顔を紅潮させ、何か必死な様子だが…。 「……なんかいきなり怪しいな」 「怪しくないよ。うん、怪しくない」 「実は昨日俺が帰ったあとに思い出してくれたとか」 「そんなわけないよ。うん、そんなわけない」 段々しどろもどろになってきた。 おいおい。もしかして忘れたフリしてるだけなのか。 「やっぱり怪しいな」 「キミ、お姉さんの言う事が信じられないの?」 終いには、眉を吊り上げて怒り出す夢。 あ、これは昔の夢っぽい。 彼女は昔から理不尽なことで突然怒り出す娘だったし、それが大きな魅力だった。 「私とキミは、昨日が初対面。お姉さんの言う事が聞けない?」 「……聞けないな」 「なんでそんなに意固地なんだろ」 思い出が大切だからに決まってる。 夢との繋がりを無くしたくない、という気持ちはわかる。 しかし、この娘面白ぇ。 つついたらもっと面白いことになりそうだ。 「キミ、今年の七月にここに転院してきたんだよな」 「そうだよ」 「その七月に、俺たちもう出会ってるだろ?」 「……え?」 息を呑む夢。 完全に想定外という様子だが……むしろなんで突っ込まれないで済むと思ったのか、俺は不思議で堪らないよ。 「それも、覚えてないのか?」 「……うん」 「本当に?」 「ほんとに覚えてないよ」 「信じられないな」 「お姉さんの言う事が聞けないの?」 それやめてくれ、可愛くて笑っちまう。 なんで薄っぺらなウソをつくのか知らないけど、安心した。 夢は夢だ。 天の川をあげパンとか言ってた頃の無邪気な面影が残っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.03.03 05:16:14
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