OZchanさんのブログで、ウィリアムスタイグの絵本について紹介しておられたのを見て、
そういえば、サバトが2006年に現在の位置に移転した時、
セーラー出版の小川悦子社長が来館し、この絵本を寄贈してくれたのを思い出した。
昨日、サバトにこの絵本を借りに行くと、小川悦子社長のサインと、
「みにくいシュレック」翻訳出版にあたってのコメントが貼り付けてあった。
せっかくなので、紹介したいと思います。
みにくいシュレック
小川悦子
ウィリアム・スタイグ作『みにくいシュレック』(セーラー出版刊)の原書に出会ったのは、90年春でした。それまでにスタイグの絵本を5冊続けて出していたので代理店の方が、最新作をまず当社に紹介してくださったのです。
編集担当のYが、表紙をみたとたん「あ、これ、イヤ!」と身震いしました。
手にとってみると、緑色の顔の奇妙な主人公が両足を踏ん張り、赤い目をむき、こちらをにらんでいました。
顔はイボだらけ、頭にはコブ、左右に突き出した耳はラッパのよう。
でも、なんとなく愛嬌があって、わらってしまいます。グロテスクに感じないのは、あっさりとした色彩のせいでしょうか。
手にとるのもイヤというYの気持ちが、私にはわかりませんでした。
版権取得の返事を保留したまま日を過しました。
出張の折も原書を持ち歩き、静岡のこどもの本とおもちゃの専門店「百町森」に伺ったとき、代表の柿田さんに感想をきいてみました。
すると、おどろくべき反応があったのです。
柿田さんはその二、三日前、FMラジオのジャズ番組で、スタイグというフルート奏者の演奏をきいたのだそうです。
「荒々しく息が洩れるほどのド迫力。これはスゲーと思っていたら解説が入り、“このミュージシャンは交通事故で顔半分を失うという大けがをしたが、立ち直った。彼の父親は絵本作家である”つまり、スタイグの息子なんだ。『シュレック』は、息子を意識した作品かもしれないな」
私はやっぱり『シュレック』を出したい、と、思いました。
スタイグ作品に現れるいくつかのテーマの中に「家族の愛」があります。
スタイグはフルート奏者となったひとり息子のジェレミーを深く愛し、ふたりは不思議な感応で結ばれている、というはなしをきいたことがあります。『シュレック』はジェレミーへの応援歌ではないかと思うと、『シュレック』のテーマが急にはっきりするような気がしました。
みにくいシュレックは、どんなにきらわれようが、こわがられようが、へっちゃら。誇り高く、思いのままに生きて、ついに、おとぎばなしの常識をくつがえす痛快なハッピーエンドを手に入れるのです。
表紙をみたとたん「イヤ!」と叫んだYは、まもなく体調を崩し退職しました。
いま思うと、当時かなりぐあいがわるかったのだなーと、切ない気持ちになります。
『シュレック』の迫力が、彼女には耐えられなかったのでしょう。
こどもたちは『みにくいシュレック』をよむと、とにかくよろこびます。
「うわぁ、きったなーい!」「こわーい」「ヘビだー」「げっぷ、いやだー」「おっもしろーい!」などと叫びながら・・・
こどもたちは感動しているのです。シュレックのエネルギーにこころがわきたつのです。
この絵本をベースにしてつくられたアニメーション映画『シュレック』はアメリカで大ヒット。日本でも12月から公開中ですが、映画には絵本とはちがったエネルギーがあふれていました。
そして映画のシュレックはコンプレックスを持ち、原作よりおひとよしかもしれない、と、思いました。
(セーラー出版)
寄贈された絵本の見返しに残されたサインの日付は2006年7月27日でした。
シュレック2が公開された頃、私も小学校で読んだような・・・読もうと思ってやめたかも・・・?と記憶が定かでないのですが、近々小学校で読んでみようかな・・・と思ってます。
それにしても、始めから終りまで、ずーっと醜い、汚い・・・なんだよね。このお話