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Manachan's World-東京下町日記

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2005年09月04日
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カテゴリ:エッセイ集
第一子誕生を間近に控えた今日この頃ですが、今回もまた、アメリカのハリケーンの話題でいきたいと思います。

超大型ハリケーン「カトリーナ」がもたらした被害によって、大惨事に見舞われたニューオーリンズ。一体どうして、こんなに被害が大きくなってしまったたのか??ネットで調べてみたところ、これは天災というより、どう考えても人災の部分が大きいと思えてきました。

まず第一に、ニューオーリンズの受けた人的・物的被害のほとんどは、8月29日から30日にかけて起こった、堤防の決壊(計3ヶ所)によって引き起こされたようです。仮に堤防の決壊がなく、単純に風雨による被害だけだったとしたら、これほどの大惨事にはならなかったでしょう。

そこで、堤防の設計や安全性が問われてきます。ニューオーリンズ市街地の大部分は、海面下2m程度の「ゼロメートル地帯」に位置していますが、隣接するポンチャートレイン湖の水面は、海抜プラス2mあります。両者には約4mの差があるため、一旦、湖水から水が溢れ出したら、市街地が水浸しになるのは必然!

その危険性に関しては、歴代市長も十分理解していたようで、1960年代から、ニューオーリンズとその周辺で、堤防の強化が順次行われてきました。その結果、できあがった堤防システムは、強度「カテゴリー3」のハリケーン直撃に十分耐えられるものとされていました。ですが、もっと危険な「カテゴリー4」や「カテゴリー5」のハリケーンが、ニューオーリンズ周辺を直撃して長く滞留した場合の安全性は保障の限りではない!という警告が、科学者などから出されていたようです。ですが、そのレベルのハリケーン襲撃に耐えられる堤防システムの建設には、当然、莫大なお金がかかることもあり、一朝一夕には進みません。当然、連邦政府による財政支援も必要になってきます。

で、その連邦政府の財政支援が、なんと今年2005年の春から、過去に例を見ない規模で大幅削減されてしまったのです。昨年2004年が、過去数年で最大の「ハリケーンの当たり年」だったにも関わらずです。ブッシュ政権が、なぜこの種の「安全経費」を大幅削減したのか、イラク戦争と関連があるのか、その辺の事情はよく分かりません。が、皮肉なことに、大幅削減したその年に、カトリーナがやってきて、ニューオーリンズは水の底に沈んだのです!

第二に、ニューオーリンズ市長から避難命令が出ていたにも関わらず、なぜこれだけの人数が避難できず、大惨事の犠牲者になってしまったのか、という点です。これには、ニューオーリンズ地域を重苦しく覆う、貧困問題が関連してきます。

避難命令が出たのは、米国中部時間で8月28日の午前10時。そして、堤防が最初に決壊したのが翌29日の午前11時ですから、それまでに、25時間の「余裕」があったわけです。避難命令自体、ニューオーリンズ市はじまって以来のことだったそうですから、これを出した市長の決断は、賞賛されていいでしょう。

ところが問題は、「避難したくてもできない」人が大勢いたことです。ニューオーリンズは、貧困人口の割合が38%を占め、これは全米の大都市でトップの数字です。また驚くべきことに、ここの市民でマイカーを持たない人は、全体の27%を占めており、これも全米トップ。完全にクルマ社会の米国において、マイカーのない暮らしは著しい不便を伴うものですが、ニューオーリンズでは、市民の約4分の1が、「クルマを買いたくてもお金がなくて買えない」階層に属しているわけです。そして、この階層はアフリカ系(黒人)が多くを占めています。

そういう状況を考えれば、市当局は、自前の移動手段をもたず、長距離バスのチケットさえ買えない貧困市民をいかに避難させるかを、最優先で考えるべきだったのですが、空前絶後の自然災害ということもあって、そこまで対応が回らなかったようです。その結果、堤防が決壊しても家から一歩も出られなかった、貧しい人々の多くが犠牲になったのです。また、「運良く救出された人々のほとんどが黒人だった」ことが、TV映像を通じて全米に伝えられたことにより、改めて米国南部における黒人の貧困問題がクローズアップされることになりました。

第三に、イラク戦争との絡みがあります。ニューオーリンズを含む米国南部諸州は経済的に貧しいこともあり、兵士の輩出率が高いのですが、彼らがイラク戦争に駆り出された結果、ニューオーリンズの災害復興や治安維持に必要な兵士が不足してしまい、その結果、略奪や暴行が起こっても、それを抑える人がいない、という無法状態を現出してしまいました。ブッシュ政権は今後、イラク戦線から米兵の一部を引き上げてハリケーン被害復興に回すかどうか、難しい選択を迫られることになるでしょう。

また、これは間接的な要因ですが、地球温暖化がハリケーンの異常発達と関連している、という話もあります。私自身、台風には昔から興味があって、よく調べてきたのですが、今回の「カトリーナ」の場合、ニューオーリンズの南方海上、北緯27~28度前後のメキシコ湾上で大発達して、わずか一日で945ha(ヘクトパスカル)から一転して906haの猛烈な勢力になったそうです。日本近海の台風に関していえば、この緯度帯で発達することは稀で、よくて現状維持がせいぜいですから、カトリーナの発達ぶりはまさに異常で、当時、メキシコ湾の水温がよほど高かったことが推測されます。

科学者のなかには、地球温暖化によって、アメリカを襲うハリケーンの回数と、それが異常発達する頻度が多くなっていると指摘する人も大勢います。何より、アメリカは世界最大のCO2排出国ですから、地球温暖化防止に大きな責任を負っているはずなのですが、今のブッシュ政権はこれに冷淡で、京都議定書も批准していないし、また、年々温暖化ガス排出量が増えているのにも関わらず、それに歯止めをかける有効な対策がとられているとも思えません。

以上のことを考えるにつけ、今回のカトリーナの一件は、ハリケーンの襲来という自然現象が、アメリカの社会システムやブッシュ政権の政治路線が抱える根深い問題を、一気に、見事に露呈してしまったような気がしてなりません。具体的にいえば、なぜアメリカは、イラク戦線に回すお金があっても、それを国内の貧困問題解決に使うことができないのか?或いはアメリカ国民の生命を守る堤防システムに使うことができないのか?そして、原油高でアメリカ全国のドライバーが困っているのに、なぜ、地球温暖化防止やエネルギー効率の良い社会づくりに冷淡なのか?

もし今のアメリカがブッシュ政権でなく、もっと上記の問題にコミットする政権であったならば、ニューオーリンズの被害は、これほど大きくならなかったかもしれません。ディキシー・ジャズの都を水の底に沈めた張本人は、「アメリカ社会を蝕む病」だったのかもしれません。





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最終更新日  2005年09月04日 10時20分49秒
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