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テーマ:辛口映画批評(354)
カテゴリ:マスコミ試写
DVD シューテム・アップ 映画の話 ある晩、バス停に座っていたスミス(クライヴ・オーウェン)の前を大きなお腹の妊婦(ラモーナ・プリングル)が慌てて通り過ぎる。その後を車で追ってきた人相の悪い男の様子が気になり、彼が2人を追いかけて廃虚に入ると男は妊婦にナイフをかざしていた。スミスはとっさに彼女を救うが、男の仲間たちが次々となだれ込んできて……。 映画の感想 これは面白かった! 香港映画監督のジョン・ウーをリスペクトするマイケル・ディヴィス監督が、香港からウー監督「狼/男たちの挽歌・最終章」の撮影監督ピーター・パウを招いて製作したコミックスタイルのガンアクション映画だ。 以下ネタばれあり 映画は冒頭から飛ばしまくりで、男に追われる訳ありの妊婦を助ける為に、訳ありのクライヴ・オーウェン演じる一匹狼・スミスがギャング団と廃屋の倉庫で戦うシーンから映画はハイテンションな銃激戦となる。映画のストーリーボードを書いていたと言うデイヴィス監督は絵作りの面白さを熟知していて、何かにつけて主人公にスライディングさせながらに銃を撃たせる、実に面白い。産気付いた妊婦を敵からの銃撃に応戦しながら出産させるスミス、ありえないシーンの連続である。無事出産した女は流れ弾に当り死亡。スミスは産まれたばかりの赤ん坊を守る為に敵と闘うことになる。 訳ありの赤ん坊を追ってくるギャング団のボス・ハーツを演じるのは「幻影師アイゼンハイム」のポール・ジアマッティだ。珍しく悪役を演じるジアマッティも実に楽しそうに役を演じている。そんな中、スミスの元には次から次へと刺客が現れる。スミスと刺客のトイレでの一騎打ちはある物を利用したコミカルなアクションで、続いて公園の遊具を使ったガンアクションと見せ場が満載である。 赤ん坊を守る為にスミスは昔なじみの娼婦・ドンナに助けを求める。ドンナを演じるのはモニカ・ベルッチだ。ドンナの役は母乳クラブで働く娼婦と言うとんでもない役をベルッチは演じ、劇中にはスミスとドンナの合体中のガンファイトも出てくる。 執拗に赤ん坊を取り戻そうとするギャング団の目的は映画後半に明らかにされるが、その目的は本作の流れの中では意外なSF的な発想で、ちょっとマイケル・ベイ監督「アイランド」を思い出しまうが、映画はSF的要素はそっちのけで徹底したガンファイトを見せる。何十人の黒ずくめのギャング団との階段から落下しながらのガンファイトや、銃会社の倉庫でのガンファイト、飛行機から落下しながらのガンファイトなど、ありえないガンファイトの連続で見てるコチラもハイテンションに笑い転げると言う凄いアクション映画だが、裏を返せば銃社会アメリカならでは恐ろしい娯楽作とも取れる作品だ。 しかしひとつだけ難点は、スミスがアクションシーンでも片時も離そうとしなかった防弾チョッキに包まれた赤ん坊を見ていて「凄いなぁー」なんて思って見ていたのだが、あるシーンで赤ん坊のダミーが出てくるシーンがあり「何だ、そんな風に映画を撮影していたんだ」と、種明かしをしてテンションを下げてしまうシーンを作ってしまったのは監督のミスである。 最後に本作の衣装を担当したデニース・クローネンバーグは、映画監督のデビッド・クローネンバーグの姉で、クローネンバーグ監督「イースタン・プロミス」でも衣装を担当していて、この映画の中に出てくる黒ずくめのチェチェンマフィアの衣装と本作のギャング団の衣装がそっくりなので注目して見て欲しいです。 映画「シューテム・アップ」の関連商品はコチラ オリジナル・サウンドトラック シューテム・アップ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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