「刺青」、ベルリン映画祭テディ賞を受賞
いつの間にやら旧暦正月に入り世間は9日間の大型連休を謳歌しているらしいものの当方は秘密コンテンツ発信基地にて通常のコンテンツに加え正月特別コンテンツなどというものを例によってギリギリになってから毎日朝までかかって作らなければならずほとんど死に掛けているわけだが、それはともかく、ベルリン映画祭のパノラマ部門へエントリしていた台湾映画「刺青」が、18日、テディ賞を受賞した。【台湾における報道の一例(周美玲監督の写真あり)】聯合新聞網(2007/02/18 15:50)「柏林影展 「刺青」抱走泰迪熊獎」ベルリン映画祭の「テディ賞」(あるいは「テディベア賞」)つうのは、どうもゲイ関連の映画の中から選ばれる最高の賞であるらしい(本稿では、用語「ゲイ」には女性の同性愛(者)も含めるものとする)。前回のエントリで書いたように、ベルリン映画祭では「コンペティション部門」、「短編コンペティション部門」、「パノラマ部門」などがあるようだが、テディ賞はこれらの部門の枠を取っ払って「ゲイ関連」と見なされる全てのエントリ作品の中から選ばれるという。上掲「聯合新聞網」の記事によれば、今年のベルリンでテディ賞の選考対象となった作品は32本、競争は激烈だった、とのこと。「刺青」は非常に好評で、上映の後、観衆の拍手が5分間続いた、と書いてある。テディ賞について、同記事は、「同性愛映画のものとしては『位置づけが世界で最高の賞』と呼ぶに足る」としている。ちなみに、この賞の第1回が行われたのは1987年度で、受賞作品はペドロ・アルモドバル監督の「欲望の法則」。その次の1988年度にはデレク・ジャーマン監督の「ラスト・オブ・イングランド」が受賞している。「聯合新聞網」の記事が言うように、テディ賞は非常に権威があるようだ。だいたい、ゲイ関連映画の世界最高賞、なんてもんは、獲ろうと思ってもなかなか獲れるもんではない。いくら予算があっても、また、映像を生み出す技術がいかに優れていても、それだけではどうしようもない。この賞を選ぶ審査員は8人いるらしいが、これらの人々の琴線に触れるようなもんでないといかんのである。それは分かった、しかしいくら世界最高でも、「同性愛映画」では、興行的にどうか、と御心配の向きもあろうかと思うが、その心配は全くないと思われる。ここでは詳述しないが、台湾では、金熊賞よりテディ賞を受賞したほうがロングランする可能性が高い。これホント。近くは同じ台湾人のアン・リー監督が撮った「ブロークバック・マウンテン」の例がある。この作品は、テディ賞とは関係ないが、描かれているのはやはりゲイ関係だ。台湾出身者がアジア人として始めてアカデミー監督賞を撮った、ということもあるが、台湾でロングランとなった理由はそれだけではない、と俺は見ている。ここでは詳述しないが。というわけで、(旧暦)正月と受賞とが重なった周美玲監督にはおめでとうと申し上げたい。