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2008年07月19日
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カテゴリ:創作

 かって、強大な力をとある世界で呼び出そうとしたのだが、呼び出した力があまりに大き過ぎて、一つだった世界ごと力は引き裂かれた。その力を呼び出す為に、アルカニムは世界から消滅し、ニーナは、世界と同化した。無数に生じた世界と同じだけ、彼女は存在する。だが、元は一つの世界、一人の人間だった…。

 

 「こんな人形に、お兄さまの器がつとまるとは思えないけれど、もう二度と、転生すらも不可能だと、奈落の女王…ニーナが言っていた。悔しいけれど、あたくしにできることは、いつの日か、原始の魂から創り出した人形の心に、お兄さまの心が目覚めるという可能性に賭けるしか…信じて、何度も…でも」

 

 気になることがあった。異世界の存在を知った時、アルカニーナは、自分一人ではなく、膨大な平行世界にも存在しており、他の世界に介入する者も少なくないらしいことも知った。あまりにも大きな力を制御できずに、世界は分裂した。それ故に、他の世界を滅ぼしながら、何らかの目的で力を強固にしている者は、微弱な力しか持たぬ世界とアルカニーナを狙っていることを悟った。そう、自分は、無力だと思えるくらい、他の世界のアルカニーナよりも微々たる力しか持たざる者であったのだ…。そう、奈落の女王と名乗る者、ニーナは教えてくれた。

 

 「恐怖…生きてる限り、あたくしは、自分の力に怯えている。ずっと、この力が憎かった。けれど、こんな力じゃ、他の世界のあたくしと戦っても勝ち目が無いなんて。でも、明日に殺されるかもしれないけれど、この研究は完成させる…例え、あたくしが死ぬ運命だとしても、お兄さまは、必ず、蘇らせてみせる」

 

 暗雲が立ち込める世界にも朝が来る。絶海の闇に囲まれた、扉を開けて中に入ると、永遠に変わらぬ光に包まれたポーチに咲く花が見下ろす庭の道。






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最終更新日  2008年07月19日 20時57分18秒
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