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2008.11.20
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カテゴリ:森のようちえん

 保育園の民営化・市場原理にまかせた保育園経営は、
子供たちを豊かに育む保育を保障できるか。

保育サービスを受身に受けるだけの若い親たち

 現在、厚生労働省の社会保障審議会少子化対策特別部会で、保育制度改変を議論している。公的責任で保育の質を保証する現在の制度をくつがえし、保育を市場にまかせる方向で年内に結論を出そうとしている。

  「小泉改革」の地方財政三位一体改革で、04年度から都道府県からの保育園への補助金が廃止され、公立保育園の運営費は一般財源化された。
このような改変により、今、日本の保育園で何が起こっているか。
コスト削減のため、公立園を民営化する自治体が全国的に急増。例えば名古屋市。定員120人の園を民営化した場合、2億5千万円かかる施設整備費のうち、建築費で約6500万円、運営費で年に約2400万円の補助が国から交付される。そのために、既存の園の増改築を機に、市立園を民営化しようと進行中。16年度をめどに20~25園を民営化する方針。
(民営化の場合のみ、国から交付金がでるしくみ。これにむらがって保育園をつくり儲けをもくろむ企業が続出)

 これらの改革は、要するに、保育を望む子どもたちが多くなり、その需要をみたすには、現状の制度では多額の公費投入が必至なので、従来の国の定めた保育園設置基準を低くして、営利企業が参入しやすいようにして、保育所を増やして、父母の要求を満たそうというものである。
さらに、今回の審議会が結論を出そうとしている内容は、介護保険や障害者自立支援法などで、先行して導入された市場原理に基づく制度を保育に持ち込み、営利企業中心の多様な事業者が顧客獲得を競い合う市場で、利用者がサービスを選択する仕組みに変えようとしている。

参入した業者が、初期投資や土地建物の賃貸料などを回収できる仕組み、運営費を株主配当や他事業にまわせる仕組みまで検討している。営利企業は、国から補助金と父母から徴収する保育料収入から、利益と事業拡大費用に吸い上げようともくろんでいる。

教育や保育はその本質において、利益が出るものではない。
それどころか、十分なる豊かな保育は、お金がかかる。
この基本を無視して、もうけに走れば、一番、しわ寄せがくるのは、保育者の人件費の切り詰め、劣悪な労働条件で、安価に雇うしかない。
教育や保育の根幹は、教師や保育者の優れた人材の確保にあるというのに、このような市場原理にまかせた、利益追求の制度で、まともな保育が保障されるはずかない。(介護の現場でも熱意のある優秀な人材はどんどん辞めている。)

国がこの保育改革のモデルとして、高い評価をし、国の制度に格上げしよとしているのが、東京都の認証保育所制度である。
東京都は、すでに市場原理にまかせた理念での保育所を展開しているのである。認証保育所は、国の保育基準を大幅に緩和し、保護者が園に直接入所を申し込み契約する(直接契約・従来の認定保育所は自治体に申し込む)。保育料は園が自ら設定。(従来の認定園は、国や自治体が定めた基準に基づいて徴収。)

東京都の調査では、自治体が監督する認定保育所の保育料が月3万6千円なのに対して、認証保育所は、ゼロ歳児で7万2千円、4歳以上で6万6千円。
割高である上、保育内容は劣悪。 
例えば、経営者が携帯電話販売などを手がけた株式会社エムケイグループが首都圏中心に展開していた29の保育所は「経営難」を理由に10月29日に一斉に閉鎖した。その中には9月に開園したばかりの園があり、閉鎖が保護者に伝えられたのは、その前日の夜中なのである。

昨年11月には、株式会社日本保育支援協会が設置運営する「じゃんぐる保育園」(荒川区)では、職員の数が足りず、架空の名前を申請。この9月には、株式会社小田急ライフアソシエの「小田急ムック成城園」でも、正規職員8人中6人が架空であること発覚。1年間で14人も職員が退職。

「ハッピースマイル」のエムケイグループは、都市部で保育所をやればもうかると見て、03年に参入。「保育園を経営する株式会社のトップに立つ」「施設数で最低30ヵ所」を掲げ、急激に店舗を拡大して、この9月に経営難で閉鎖した。(まさに店舗感覚の保育園)

国が公的制度で保育することの責任を放棄した結果がこのありさまである。 

このような認証保育所では、まともな保育ができるとはとうてい思われない。子どもは、まさに儲けを生み出すサービスを受ける商品。
高い専門性と豊かな経験のある保育者が配置されてこそ、保育は充実する。そのためには、高い人件費が必要である。
べらぼうに高い保育料を支払える金持ち階級が、独自の理念で保育所を開設し、自分の子弟を預けるのは自由としても、大多数の庶民が通う保育園では、適切な保育料の設定と保育の質の保証は欠かすことが出来ない。これを公的に保障するのは、国がもつ義務のはずだ。

 私たちの世代は、自分の子どもを、親たち自身が自らの力で、保育所を開き、保母と父母が共同で保育の実践と理論を作り上げてきた。そして、自治体に支援を求め、その基準を認めさせてきた歴史を持っている。
日本はその意味でも、高いレベルの共同保育の歴史と蓄積をもっている。
この実績をさらに未来に向けて継承し発展させることは、子どもを育てる観点からも重要だ。

そのなかで育ってきた子供たちは、今、社会で活躍している。社会に貢献しているものたちも多い。
(30余年前、私たち女は専業主婦となり、、子どもを育てることが社会の推奨する価値観であった。幼い子どもを保育所に預けて働くなど、犬猫にも劣る女と自民党は攻撃していた。)

 お金を出して、預ければ、至れりつくせりのサービスを受けることが当たり前の若いママやパパたちが、お金と引き換えに子どもの保育サービスを受けているのが当然と思っているとしたら、子どもは、そのような受身のサービスでは絶対に育たないと断言したい。 
子どもが豊かな感性を育て、力強くいのちを育み、人格を育てる為には、親と保育者との共同の労苦や勉強のなかでしか生まれない。
そのような高い専門性が必要だ。
保育のなかから、利潤など生まれない。利潤を求めて競争原理に任せる保育には、受身のサービスだけを求める保育だ。

今、政府が12月中に結論をだそうとしている「厚生労働省の保育事業者部会」の動向を、若い親たちはもっと関心を示して、注視すべきだ。
自分たちの子どもの未来にかかわる事柄が、国民の知らないところで着々と進められている。

色々な形態、考え方の保育が競い合う事はとてもいいこと。でもそれは、利潤追求を目的として、競争してサービスする保育ではない。幼子はそれでは育たない。現に、育っていない。

少子化で、何とかしなければといつつ、もっとも幼い子供たちの保育や教育に国がお金をかけていない国、それが日本。
教育への公的支出は、OECDに加盟国中最下位の国、日本。
とりわけ、高等教育と幼児教育の親負担は、世界でも類を見ない高さなのである。
保育所を充実したものにするお金など、インド洋でじゃんじゃんガソリンを給油している費用に比べたら微々たるもの。

未来の社会の為にどちらが肝心なことか。






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最終更新日  2008.11.21 15:54:19
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