カテゴリ:本の紹介
松谷みよ子さんの昔ばなし:「したきりすずめ」と「うらしまたろう」 お盆でも娘夫婦は仕事があり、お休みでないので、孫たちを、休園状態(他の園児たちの多くはお盆でお休み)の保育園に代わって、私たちジジババが預かり保育をすることになった。 常日頃、忙しくなかなか孫たちとゆっくり接することのない、このばあさん、久々に5歳のことねと向き合った。特に絵本をいっぱい読んだ。さすが5歳となったことねは、かなり高度な読書に耐えうる感性、知恵を身につけ始めているのがわかった。 文・松谷みよ子:絵・村上幸一の「したきりすずめ」はポプラ社の「むかしむかし絵本シリーズ」(30巻)の1冊である。 松谷みよ子さんの「したきりすずめ」は近世より更に前から、石川地方に伝わる民話をもとに再話したものである。 この「舌きり雀」に登場する、じいさまとばあさまは同じ家族の夫婦なのである。 雀を探し訪ねていく途中、じいさまががっぷがっぷ飲み干す馬の洗い汁や牛の洗い汁場面。じいさまの貰って来たみやげものに納得せず、自分で婆さまも雀のお宿をたずねることとなり、その途上でじいさまと同様にがっぷがっぷ馬の洗い汁や牛の洗い汁を飲み干す。 爺さまが「舌切られた雀」に逢いたさの一心から、「洗い汁」をがっぷがっぷと7杯も飲み干すのだけれど、婆さまが、「洗い汁」を飲むその姿の浅ましさ、凄まじさ。ただただ「どっさりと金銀の宝物」を手に入れたいがための強欲から。 爺さまの心ねの優しさと婆さまの凄まじい「根性悪さ」。 何が本質的で、何が真実であるか見抜く力が、今、現代の私たちに厳しく求められている。その意味からも、この「したきりすずめ」の民話は教訓に富んでいる。現代に脈打つものがある。 この本の絵も素晴らしい。 ことちゃんは馬の洗い汁の場面にきたら、馬を洗う百姓の姿、顔をつくづく眺め「この人意地悪な人?」と質問してきた。 メリハリのきいたドラマテックな筋の展開は幼い子どものこころもぐいぐい惹きつける。ことちゃんがこのお話から受ける面白さ感動は、もちろんこのバアバとは異なるであろう。 ばあばが60歳になっても、このお話から新たな感動を得ているように。ことちゃんにも生きる力になる日がやって来るはず。 「民話」のもつ凄まじいエネルギーがそこにはある。
さらにもう1冊、偕成社の「うらしまたろう」 文・松谷みよ子 絵・岩崎ちひろ 浦島の話が一番古く文献に残っているのは「万葉集」だという。「日本書紀」「風土記」「御伽草子」などにも浦島の話が残っている。 浦島説話が生まれたのは古代社会であるということは凄い。 その老いの凄まじさ。その孤独。 勿論、この龍宮は当時の支配階級「貴族」たちの「日常」そのままであり、ただ、働くことに明け暮れた貧しい庶民たちの憧れの天上の世界。そこに安住出来ない「太郎」のこころの故郷はあくまでも父母とくらした民のくらし。 岩崎ちひろさんの絵も素晴らしい。 この松谷みよ子さんの絵本は、私の娘(ことねのママ)が幼かった時、この婆が読み聞かせたものである。そのかなり傷んだ絵本をこんどは孫に読み聞かせることが出来るとは。しかも、婆は歳を重ねた分、あらたなものが見えてきた。 これが、千年あまりも人々のなかに生き、語り継がれた「民話」の持つエネルギーではないか。人が生きていく時に出会う真実がそこには秘められている。 このような「語り」絵本を大切に守り、次の世代に受け渡していくことは、とても大切なことではないか。 総選挙迫る いよいよ来週から総選挙戦が始まる 各党は「子育て支援」をそのマニュフェストのなかで、 重要な柱のひとつにして、あれこれ、国民に色目を使って、 調子よく金銭的な支援を宣伝している。 子育てが安心して伸びやかに行なわれるためには、 それなりの経済的な充足が必要なのは当然だ。 そのための支援が色々な形でなされることは結構なことである。 しかし、である。 一番、肝心なことは、 その金銭的支援の裏になにがあるかを見抜くことが大切だ。 どのような子どもを育てようとしているか? どのような教育を子どもにほどこそうとしているか? 今、自民・公明がめざしているもの、やってきたことの積み重ねの果に、 今の子供たちの姿がある。その親たちがいる。 それが、無残な状態になっている。立ち行かなくなっている。 子どもたちが自立して生きることの出来る知性、創造力を 育む教育や子育てとは程遠い現状の教育。 子どもが民主的な感性を育て磨き、社会のなかで、 自立して生ききる人格を育てる養育や教育は否定されてきた。 人格の尊厳を否定する教育や子育てが行なわれてきた。 このような状態で、場当たり的に子育てにお金をばら撒かれても 子供たちの未来は開けない。 子供たちの置かれている現状は かなり深刻で問題の根が深い 社会の根底のところで変わらなければ 子供たちの未来は開けない 大人一人ひとりの
生きざまが 厳しく問われるとき それが 今回の総選挙ではないか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[本の紹介] カテゴリの最新記事
|
|