歌がうまくなりたい2:レッスン前に大事なこと
次にすべき事、それは「課題練習曲の決定」で、これはカンタンに決めるべきでない。なぜならこの選曲如何によってこのプロジェクト、てのは大げさだけども(笑)実際、いい結果が出るかでないかに大きく関わるので。よく生徒さんで「この歌が好きだから」「前からいつかこの曲が歌えるようになりたいと思っていたので」という具合にして決めてしまいがちだけども、まぁそれでもいいけど本気で結果出したい場合はここは相当に悩むべき。なぜなら、ここにはある決定的な理由が関わっているから。----------------------------------自分 as No1!!----------------------------------歌い手にとって、とても大事な考え方、それは「自分は最高だ、世界一だ」と思う事。音楽にはいろんなジャンルがあるしスタイルだって人それぞれ、その個性のありように絶対の正解なんてない。だから誰と比べて、ではなく自分の個性をスタイルとして貫き通し自分は最高でナンバー1だ!この考え方はとてもとても重要、しかし!!じゃぁ音程めちゃくちゃリズム狂いまくりでもいいのか?と言えばそんなことはない。多くの方の考える「これが私の個性」というのはたいがい本当にやろうとしてる事がちゃんと出来てない、または勝手にやりやすく変えてしまっている、ズレているそれらを「これが私らしい私の個性」などと言う。ただこれは難しい問題で、リズムも機械のように正確が最高では全然ないし、グルーブ、フィール(ノリ)は微妙な揺れこそが魅力だったりする、が明らかにズレてんだろ、というのは個性の前に気持ち悪いか笑われる。歌なんて自分らしくていい。しかしめちゃくちゃでいいわけでもない。この両面があるからどこまで自由でいいのか、の線引きが非常に難しいのだけど実は、プロはまったく違う視点がある。それが「セルフステータス」言葉を変えると「自分ブランド」例えば車のデザイン、性能と言うのもそれぞれあるけど日産らしさ、トヨタらしさ、みたくそれぞれの「ブランドステータス」があってどんなに技術内容が素晴らしくてもホンダならホンダらしさの上で成り立とうする、だからホンダらしくない、という車は普通出さない。iphoneのアップルらしさ深夜番組のテレビ朝日らしさなどなど企業はみなこのブランドイメージが基本にあるし近所のレストラン、いやスーパーにだってそれぞれ「うちらしさ」というのがある、そしてそれは一番重要な核。歌い手にとっても、その人らしさこれが一番大事。仮にこの設定を間違えるとどうなるか?安さを売りにしている中華料理やさんが超一流高級店の真似をしはじめたら潰れる。ミッキーマウスが近所の商店街でティッシュを配りながらパークの宣伝をしていたら悲しい(やって欲しくない)高級料理店も激安料理店も、どっちも正解でどのスタイルであっても間違いなんてない、がその人にふさわしい適切なスタイル、がありそれこそが個性。ミッキーマウスはディズニーブランドにふさわしくない事はしないしいつだってディズニーらしさの上にある。何やら話しがごちゃごちゃしてしまったがようするに歌がうまくなるための練習曲とは歌い手としてのブランド力を高めると言う意味がある、だからカラオケの選曲のように「次はこれにしよっかな」ではだめで、もっときちんと「自分はどういう歌い手になりたいのか」その求めるイメージにもっともふさわしいものであるべき。そこには・高音をきれいに出したい・英語の発音を良くする・声に深みと説得力を持たせたいなどなどいろんな理由があっていい。が、まず最初に自分は歌い手として「どういう存在になりたいのか」「どういう風に思われたいのか」このイメージが重要。声がぐしゃぐしゃでとてもノイジーだとしてオペラ、ミュージカルには向いていなくてもメタルのシャウトには素晴らしい。声量がある人に向くスタイルもあれば声量がないからこそ活きる歌もある。自分には何が出来るか、向いているかどういう状態をゴールにしたいのかそれがあって、そのために必要な道のりとしてゴールを現実にするための方法として課題練習曲がある。だから「ちょっとやってみたいから」程度の希望だと単なるお遊びにしかならない。遊びのカラオケや自己流ボイトレと本気の専門的なトレーニングの違いは歌がうまくなる事がただ楽しい、満足、だけなのか自分の個性を磨いて活かし、それがやがて自分のブランドになりステータスを高める事に繋がるかここにある。そして本気で上手くなりたいと思っても、この自分ブランドの設定を間違えたりいい加減だと自分ではかなりレベルが上がった、と思っても周りからはそう思われないどころか、笑われる、まるでそれは「裸の王様」自分は素晴らしいドレスを着ているつもり、しかし子供は「あの人、裸だ!かっこ悪い!」と指差されバカにもされる。----------------------------------多くの人が歌がうまくなりたいと言う、がその根底には歌が上手い、声が良い、凄い、素敵!などなど、ようするに「褒められたい」という気持ちも深く関係してる。そして実際、歌がうまくなる、ということは自分本来の、無二の個性を形にし、それを活かしステータスを高めることと全く同じ、と言っていい。個性も音楽スタイルも、そこには数え切れないほどのたくさんの姿がある、そのすべては正しい、だがその中で自分にふさわしい、という適切なスタイルを明確にする事はとても大切、だから決してなんでもいい、というわけじゃない。歌がうまくなる、それは自分の個性を活かしステータスを高める事。そう考えれば歌がうまくなると言う事は人生において非常に大きな意味を持っている、と言ってもいいと思うのだ。