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2003年06月03日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
以前ちょいと引用した「angels」は篠田真由美の建築探偵シリーズの番外編なんですが、この建築探偵シリーズでミステリィ作家として知られている篠田真由美ってケッコウ伝奇モノや幻想モノとかを書いている。「龍の黙示録」のシリーズも伝奇モノの範疇に入るのかもしれない。

柚ノ木透子は数奇な運命に翻弄されていると言っても良いかもしれない。母親を早くに亡くし、放浪癖の父親代わりに隣家の高階家で育てられたようなもので、五歳年下の高階翠は妹のようなものだった。高校生のとき父が莫大な借金を抱えて失踪し、保証人になっていた翠の父は家や土地を処分して返済した翌年病死した。高階夫人は実家の山形に帰って再婚したが、翠は実父の姓を名乗り続けることを選んで大学入学以来東京で一人暮らしをしている。透子は実の子供のように可愛がってくれた高階家の人たちにどんなに固辞しようと6000万円を返済しようと決意し、大学時代の奨学金を返しながらも懸命にお金を貯めていたが、OLの給与だけではどうしようもなく、副業禁止ではあったものの、新宿のクラブでバーテンのバイトをしていたのがばれて首になってしまった。そんな透子に作家の龍緋比古の秘書と言う仕事が舞い込む。龍緋比古について何も知らない透子は予備知識を得ようとした先輩に変なことを吹き込まれる…100年以上も同じ姿を保っている彼は吸血鬼だ!と。北鎌倉の駅からさほど離れていないのに人の気配もない龍緋比古の家を訪ねると、可愛らしいメイド・スタイルの少女に出迎えられ、龍緋比古の面接を受けたときとんでもないことを言われる…私は秘書を探して欲しいといった依頼をした覚えはないのです、と。それなのに透子は龍に秘書として雇われる。透子を秘書として龍に押し付けたのは誰?押し付けられた透子を秘書として雇ったのはなぜ?こうして透子は龍を巡る不思議な世界に送り込まれたのだった…

この「龍の黙示録」はイエスの慈悲の心を持って与えられた血によってイエスの姿と不老不死を与えられ渇きをも感じなくなったものと、処刑されたイエスの血を掠め取ったことで不老不死を得たものの常に渇きに苛まれるものとの闘いが描かれているんです。渇きに苛まれるものは人の血を啜り、やがては渇きを感じずに済む身体を得るために渇きを感じぬものの血を付け狙う。透子や翠は何も知らぬうちにその闘いのコマとして利用されていたんだけど、透子は自力でどうにかしようと苦闘する。こうした超自然的な存在に「ひ弱な人間が立ち向かう」のはホラーですよね。ところがこの超自然的な存在を当たり前のものとして受け入れてしまったらもはやホラーではなくなってしまうのではないか?二作目の「東日流(つがる)妖異変」では青森でキリストが死んだと言う異説と「御還り様」という恵みをもたらす不死の存在が現存する伝承として当然のものとして捉えられている場所での話であり、三作目の「唯一の神の御名」は古代ローマや飛鳥時代のように神の実在が疑われていないような時代の話だから、人に恐怖を感じさせるような不思議な存在がない、ファンタジーに近いものとなっている。このファンタジーは非科学的なものを当たり前のものとして考えるのが前提であるから、現代を舞台として語るのは非常に難しく、リアリティを失いかねない。「唯一の神の御名」のあとがきで書いているように「魑魅魍魎の跋扈する街」に変容させないと主人公が活躍しようがない気がします。菊池秀行が新宿を魔界都市に変容させたのはこの先駆でしょう。あるいはパラレルワールドなどに飛ばされる異世界ファンタジーの類になってしまうのかしら?ちなみに篠田真由美も「根の国」シリーズ(全四巻)がありますね。

「龍の黙示録」はキリスト教の異聞みたいなもの(?)ですが、篠田真由美には他にも「天使の血脈」シリーズと言うのがあって、ルネサンス時代のイタリアを舞台に人間として産まれてきた天使が出てくるのがあるんですが、堕天使やらなにやらそういう感じのものがケッコウあるんです。篠田真由美唯一の(?)ボーイズラブである「この貧しき地上に」でも実は天使が重要なファクターになっていたりする。ある意味オカルトなのかしら?まぁ、伝奇小説をオカルト小説と呼ぶならオカルトだといっても間違いではない気もしますが、訳の解らない呪文とかは全く出てこない、ちょっと(?)他人よりも並外れたことが出来るだけの人を描いているだけ、って気がしちゃうのは菊池秀行の描く「超人」たちに慣れ親しんでしまったせいかしら?

さて、「この貧しき地上に」は非常にレアであっしも手に入れるのに相当苦労したものですが、この中に非常にアブノーマルな組織が出てきます。よく言えば人格改善、実質は性的奴隷への調教といったことを専門に行う組織に主人公が送り込まれ、「恋人」がそこから救出するために苦闘する様が描かれています。このアブノーマルな組織について抗いようもないマーガレットがどうなっていくかが描かれているのが「レディMの物語」です。「この貧しき地上に」はまだ天使モノの端っこにいますが、「レディMの物語」はこれだけを読むと「何だコリャ!」ってことになります。昨日の「M」と同じポルノでしょうね(^^ゞ SMの真髄は肉体から離れた精神的な繋がりにあるんであり、拘束や苦痛は精神を肉体から解放するための手段に過ぎないってのが許容できない、「SMって変態!」と考えている人には近寄らないほうが良いものでしょう。まぁ、あっしの場合は他人のことには干渉しないで黙認するタイプですから、あっそう、って感じですが…(^^ゞ

一応誤解のないように書いておきますが、篠田真由美でこう言うのは「レディMの物語」だけですし、馳星周では「M」だけみたいですね。まぁ、本と言うのは読んで見なきゃ何も解らないわけで、最初に変なのに当たって止めてしまって、残りの素敵なものを見ずにすましちゃうことってありますよね。そういう意味では一度くらい外れても続けて読んでいるうちに素敵なものに当たるかもしれないから止められないんですよね…





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最終更新日  2003年06月03日 14時13分06秒
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