●「同性愛者が働くこと」
「自分の交際費くらいは稼がなければ」という感覚は、
日増しに強くなった。
ゲイと自覚してからの初バイトは、
テレフォンアポインターだった。
「自給もよい。電話の掛け方の勉強もできて、最高の選択だな!」
という感じだった。
しかし実際に始めてみると
甘くなかった。
「もしもし、○○さんのお宅でしょうか?」
「なんで番号知っているの?迷惑なんだけれど!!」
「…」
「ガチャ…」
ということもある。仕事だけならまだ割り切ることが出来た。
働くという事は仕事をすることなんだけれど、
ただ機械的にこなすことではなかった。
人間が仕事をする以上、
人間関係という問題があったのだ。
僕はそのことを特に意識していなかった。
男の社員さんは女の人には特に優しかった。
男の社員さんは、僕に対しては、
他の男の人に対してよりは僕に優しくしてくれた。
けれどその優しさは、
僕がゲイであるから、
僕をもどかしくさせるものだった。
また、休み時間に他のバイトの人と話しても彼女や異性の話ばかりだった。
「電話をかける仕事をしているのに、
なんで他のヘテロの人に合わせる仕事をしなければならないのだろう…」
と思った。
まだ、お金を稼ぐことに切実感をもつ必要がなかった僕は、
バイトを変えることにした。
(続く)
(しんご)
■Youthライフヒストリー・スナップ ■
~◎「仕事」編~しんご(その2)
■ 【ライフヒストリー・スナップとは?】誕生日が一日違い、同い年21歳のレズビアン・ユース(みかこ)とゲイ・ユース(しんご)がいろいろなテーマについて書くライフヒストリー。『QM』誌のレギュラー連載です。今回のテーマは『仕事』です。
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