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2006.03.27
カテゴリ：市原市 蕎麦
問い合わせの電話をしたときはすでに閉店時間に近かった。「これからいらっしゃいますか」もしそうなら延長して開けておくという。さすがにそれは申し訳なくて、「いいえ、また別の日に」と答えた。サービス精神が横溢する電話応対だった。
別の日の夕方、ちょうど近くを通りかかったので、場所だけでも確かめておこうと、店の前まで行った。駐車場入口の手作りの棚に店の名刺が置いてあったので、手を伸ばす。と、店の中から女性が出てきた。頭を下げてくる。「申し訳ありません、昼だけの営業なもので。ご来店をお待ちしております」好感度満点の応対だった。 そういう前ふりがあって３度目の正直、やっとこの店に入ることができた。テーブル席、その奥に小上がりがある。くだんの女性がお茶をもってくる。もりそばを頼んだ。どうやら、夫婦二人だけできりもりしているらしい。 大きな窓の外には田園風景が広がる。その向こうにフットパークが見え、右手先にサッカーの絵を描いたタンクの球形が見える。「田（でん）」と名づけたのもなるほど納得できる。気持ちいい。ここに来た目的も忘れて、しばらく安楽な日なたぼっこでもしていたくなる。 但書が目にとまった。（禁煙）（当店のつゆは、三河みりん、有機大豆の醤油を使用）（国産のそば粉を厳選し、石臼で挽いております） 背後から音がたって、膳ごと目の前におかれた。富士山状に上品に盛られている。四方八方に曲折しながら形を整えるさまは、書家のシンプルな墨筆を連想させた。目を細めると、モンブラン模様のようにも見え、もっと目を細めると、カップ抜きした炒飯のようにも見えた。崩すのがもったいないくらいだ。 山をくずす。そばの中に黒い粒がのぞく。そばもつゆもキリッと冷え渡っている。生真面目で硬質なコシを感じる。十割だなと思った。濃厚なつゆがまとわりつく。のどごしが最高に心地良い。ネギをからませて一口、おろしをからませてまた一口。大盛りにしなかったことを後悔した。  会計のとき、ご主人に話を聞くことができた。「普通の打ち方ならじゅうぶん十割は出来ます。でも田舎そばで殻も混ぜるので、どうしてもボソボソしてしまいます」「申し訳ないけれどほんの少しだけつなぎを入れています」「１９対１くらいですか」ときくと。基本的にはそれくらいの比率だけれど、気温とか湿度の加減でも変えているという。 店を出るとき、お二人の「ありがとうございました」のそろった声がやってきた。 もう少し安くしてくれたら助かるし、セットメニューがあると嬉しいだろう。あと、夜時間もあけてくれたら利用しやすくなると思うのだが。それはそれでこの店の持ち味なのかと思う。変に媚びずにこのままわが道を突き進んでほしい。もちろん、今の接客精神と味へのこだわりは忘れずに。 「田舎そば 田」 住 所：市原市八幡１７７９ アクセス：平成通 なかじまコンビニより少し千葉寄り １本入る Ｐ有 電話番号：０４３６－４３－２３２８ 営業時間：１１：００－１５：００ 定 休：火曜日 メニュー：せいろ７５０/追加せいろ４５０/大盛１５０/天せいろ１２５０/ かけ７５０/天ぷらそば１０００/天丼１２５０/天ぷら１０００ 評 価：☆☆☆☆☆ お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
Last updated
2006.03.29 02:30:46
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