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カテゴリ:市原市 和食
場所は、駅のほうから市役所通りを上がっていき、市役所すぎのケンタのところを曲がってすぐのところにあった。1本だけ奥まっているのが、この市原という土地でどう評価されるのか。微妙な感じがする。風情というか風格のようなものはないが、真新しい清潔感と清冽感は、さすがに新築ならでは。まだ何日もたっていないのだろう、玄関口に花輪が並んでいる。 今のところ目印がないので、どちらを空けていいか分からない引きちがいの玄関戸は、どうか左のほうを開けていただきたい。思ったよりこじんまりとした店内で、客席はテーブル2卓と小上がりしかない。先客の女性2人がメニューを見ていた。入ってすぐのテーブルにつく。 さっそくお茶がやってきたのはいいが、メニューは(ちょっとお待ちください)と言ったまま放置される。ちゃんとした仕立てのメニューは、隣席が見ている1部しか用意してないらしい。厨房の前のところで、係の女性が紙片を持ち、四隅についたセロテープを剥がしていた。それが私のところにやってくる。どこかに壁貼りしてあったメニューを剥がして持ってきたらしい。 鰻重としては、このあたりの相場そのままの設定だろう。鰻重の並をたのむ。 私のすわった右後ろの玄関戸が何度か開いた。開くとすぐに、内側の網戸に気づいて、それが間違いだと気づくのだが、来る客みながそうやっている。どうやら早くも宴席があるらしく、入ってきた人はそろって奥に入っていく。 25分見当待たされた。もちろん鰻を食べにきたのだから、これくらいの待ち時間は折りこみ済みである。むしろすぐに出されるほうが気色悪い。 目の前にやってきたそのありがたい重箱を一度手元に引き寄せる。この重箱の威力というのはまさに絶大なものがあって、これが登場してくると、こちらのほうまで四角っぽいスクエアな動線で応じるようになる。さっそくふたを真上にあげ、その平行を崩さぬようにわきに置く。ありがたさが、私の腕に機械じかけのような動きを起こさせている。別に几帳面な性格ではないが、そのふたが、自分や重箱下と平行・直角の位置にないとどうも落ち着かない。 少し意外だったのは、蒲焼の色目が薄いこと。宮川亭というと、濃くまったりしたタレのイメージが強烈に残っていた。それが、ほとんど普通っぽい色目になっていたので、正直驚いてしまったのだ。 左下隅から、箸で四角く切りとる。食してみると、その色の濃さのとおり。そのへんにある普通の蒲焼に落ち着いている。強イメージで臨んだだけに、その分のマイナスがあるのだろう。むしろ、マイルドな味わいすら感じてしまう。これはこれでもちろん、十分な美味しさを実現している。 十二分な蒸しが入って、十二分に柔らかい。これを関西の人が食べたら、たぶんやわすぎて物足りないのではないか。そんな気がするほど、極限に近くほわほわ柔らかい。次の一口分の鰻の表面に山椒を振りかける。そのキューブをきっちり切り取って、口に持っていく。ご飯は、男性でも満足できるくらいの量が盛られてくる。 たしかに五井東の「宮川亭」で食べた直近から、かなり時間がたっている。その間に世間は様変わりし、人々の味嗜好も激変している。たぶん方向としては間違っていないと思うが。少しさびしい気がするのも、また事実なのだった。 「宮川亭」 住 所:市原市東国分寺台1-1-1 アクセス:市役所通り ケンタッキーの脇を入り、すぐ右側角 P(3台) 電話番号:0436-22-3366 営業時間:11:00-21:00/ 定 休:日曜日/祝祭日/ 客 席:テーブル2卓小上がり2卓(可変)/座敷(40人対応)/ 利用種別:個人向き/少人数向き/家族向き/宴会向き/ メニュー:鰻重(並)1780/(上)2100/(特)2800/ 蒲焼1995/天重1250/鶏かつ重940/親子重940/ きじ重840/うな玉重1260/かき重1000/ 蒲焼ライス2100/天ぷらライス1250/ 海老フライライス1200/柳川ライス1200/ 鶏の唐揚1200/肝焼(1本)300/焼とり120/ 新香400/茶碗蒸し400/う巻き2500/ 評 価:☆☆☆☆ (味4/量4/サービス3.5/雰囲気3.5/CP4/駐車場3) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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