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カテゴリ:日記のようなもの
幸せという行き止まり。
これ以上何も望むものがないという絶望。 満たされているが故の閉塞感。 解き放たれたいという願望。 ただ失うにはあまりにも重すぎる幸せ。 そんな贅沢な矛盾した感情を 主人公がとつとつと語っていくエッセイのような小説。 過去と現在のエピソードを行き来しつつ 主人公は迷う。 堂堂巡りする。 自分を閉じ込めた幸せから抜け出す為に 恋人と別れるべきかどうか、 死を選ぶべきかどうか、 と。 『紅茶に添えられた角砂糖でいるのが、たぶん性に合っていたのだろう。 役に立たない、でもそこにあることを望まれている角砂糖でいるのが。』 子供の頃から人生をそう捉えてきた主人公が、 恋人に別れを告げて無理に自然死しようとして、 その恋人に死ぬことを中断させられ、 お互いに同じ絶望を共有していたのだと気が付いて、 物語は終わる。 私は先が全く見えなくなるほど 誰かと深い関係になったことはない。 それは体を重ね合わすことだけでも、 結婚の約束を取り交わすことだけでもない。 好きなように生きて、 その結果として幸せになっている筈なのに その幸せに生が逆に押し潰されそうになるような そんな体験はあまり羨ましいとは思わない。 ただ、そうなってしまったらなってしまったで、 やはりその絶望という名の幸せを お互いに抱えて生きていくしかないのだとは思う。 おまけ:故途乃葉(コトノハ) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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わざわざ書き込んでいただいてありがとうございました。
僕は、江くにになんの感情も抱けないのであまり反応はできないのですが・・ただ、げんなりするような作品もあるものの、同世代の女作家とは確かに一線を画すようにもおもいます。とはいえ、冷静と情熱がどうとかとかいうようなゴミを世の中に出そうとする神経が謎です。いくら出版社ありきでも。 って、別に読むことを批判しているわけじゃないからお気を悪くなさらないで下さいね。趣味の問題です。 (2004.12.02 09:32:51)
僭越さん
>わざわざ書き込んでいただいてありがとうございました。 いえいえ、こちらこそありがとうございます。 >僕は、江くにになんの感情も抱けないのであまり >反応はできないのですが・・ただ、げんなりする >ような作品もあるものの、同世代の女作家とは確 >かに一線を画すようにもおもいます。 私、最近の作家って意識して読もうと思わないのです。 流行の兆児として扱われているような間は特に。 ただ、それから何年も経っても生き残ってるようであれば 「ちょうど枯れ時」かな、と読むことはあります。 この『ウエハースの椅子』も、どうなのかな、と思う部分はありましたが、 読める部分もけっこうありましたし。 >とはいえ、冷静と情熱がどうとかとかいうような >ゴミを世の中に出そうとする神経が謎です。いく >ら出版社ありきでも。 これも本屋に平積みされてる時は気になっても手出さないでおいたものですが、 先日古本屋で文庫版見つけて買って、今朝読み始めた所です。笑 >って、別に読むことを批判しているわけじゃない >からお気を悪くなさらないで下さいね。趣味の問題です。 全然。私も人に勧められて実際に手に取って読んでみても やはりダメなものはダメだし、好きな作家のものでも 駄作はやっぱり駄作ですしね。 でも、売れて生き残り続けてる作家の著作は、機会があれば 手に取って読んでみるようにしてます。 本屋で数ページでめくっただけで棚に戻すものの方が 遥かに多いですが。笑 (2004.12.02 15:17:06)
>私は先が全く見えなくなるほど
>誰かと深い関係になったことはない。 私は、 いろんな恋をしてきたものの、 そこまでは。。。無いです。 そういう経験もしてみたいような・・・ でも、 自分自身を冷静にながめることができるくらいが ちょうどよいのかもしれません (´・ω・‘)? 故途乃葉を拝見して PCの前でひとり、 微笑んでしまいました~ (〃ー〃)エヘ (2004.12.03 14:56:50)
ひとみいごさん
>そういう経験もしてみたいような・・・ >でも、 >自分自身を冷静にながめることができるくらいが >ちょうどよいのかもしれません >(´・ω・‘)? 私もそんな風に思いますが、 この作家はどうやらそんな関係とかお話が好きみたいですね。 (まだ3つくらいしか読んでませんが) >故途乃葉を拝見して > >PCの前でひとり、 >微笑んでしまいました~ >(〃ー〃)エヘ 私も実際の光景を見にする度に微笑んでますよ。 人によってはただの寒々しい風景かも知れませんが。 (2004.12.03 15:27:24) |
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