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テーマ:政治について(19787)
カテゴリ:政治関連
首都圏が大被害にあった時の為に関西圏に副首都を、って構想がニュースで流れてたので、安易だなぁ、と思って記事を書いておきます。
東京が潰れたら一大事、ってそりゃそうだけど、関東大震災とか東京大空襲とか、いずれ復興されるだけの事。 日本沈没的に東京だけ消失するとかしない限り、大阪が首都になる事はあり得ません。東京が核ミサイルの雨にさらされるような時、大阪や他の大都市が狙われないわけもありません。 首都機能なんて大上段なお題目を掲げるから混乱を招くのです。 必要なのは、首都機能が麻痺した際に、一時的に、緊急事態を処理できる機能を代替できる事。それだけです。 例えば、国会議事堂が崩壊しても、国会議員や官僚達が無事なら、別の場所で国会を開けばいいだけです。 電力需要と供給の脆弱性が今回の原発事故騒ぎで露呈しましたが、大阪が東京より優っていると言える面はありませんし、名古屋にしても同じです。 つまり、数百万以上の住民を抱えるような大都市である必要はありません。大都市を維持するのには膨大なインフラと維持コストがかかり、それは脆弱性の裏返しでもあるからです。 必要最低限な、緊急事態処理用機能群を書き出してみましょう。 ・自前の発電インフラを持ち、水、食糧なども自給自足可能(ストックでも可) ※平常時には蓄電施設として稼働させておく ・空港か航空自衛隊の基地がすぐ近くにある(全国どこへでも1-3時間程度で飛べる) ・高速道路網からほど近い ・可能ならば数万人単位の避難住民の仮設住宅をいつでも提供可能な空き地と水回りなどのインフラ ・海岸地帯では無い立地 電気さえ確保できれば、通信手段も確保されるでしょう。 空港か航空自衛隊の基地が近くにあるメリットは、海外からの援助物資や救援部隊を、即座に受け入れておくためです。 現在だと、一日以上経ってから世界各地から飛んできてもらってますから、3日72時間というクリティカルな時間の内、最初の24時間を浪費している事になります。ある程度無駄足になる可能性を踏まえても、発生数時間後までにある程度被害規模を見定めてから、随時飛んできてもらい受け入れていった方が余程救える命の数は増えます。 今回の津波被害の範囲の捕捉や、原発事故の被害状況の把握など、無人機の発着陸施設があってもいいでしょう。マスコミの取材カメラとかに頼っている場合じゃありません。 現地の通信インフラが全滅していても、携帯を含めたアンテナ基地の様なものをすぐに現地に飛ばせるようにすることも重要です。被害状況の把握が出来て初めて、現地で必要とされる援助を到達させられるのですから。 今回の震災でも明らかになった様に、現地の生活インフラはすぐに復旧しません。であればこそ、生活インフラが整った緊急事態施設に、すぐに数千~数万人以上を移送できる体制を構築することの方が、副首都なんていうお題目を実現するよりも遥かに急務です。 大規模な震災は20年に一度、中規模な災害は10年に一度程度は起こるものと最初から織り込んでしまうのです。都度対応しようとする設置コストより、用意しておいて維持する方がコストと安心感が違います。 さらに付け加えるなら、東京の様な一千万人以上が生活しているような大都市圏の内、一割以上が避難を余儀なくされた場合、大阪のどこに収容可能だと言うのでしょうか? 一割ですら小さな県のサイズに匹敵してしまうのに、二、三割が避難を余儀なくされたら? つまり、首都圏が深刻な被害にあった時のことを真剣に想定するなら、その受け入れ先は他の大都市圏では有り得ないのです。 都市をまるごと移すくらいの下準備をしておかないと数百万の避難民なんて受け入れられませんし、そのコストは膨大なものになるでしょう。 ですから中程度のオプション、妥協策として、数万人程度を受け入れられる緊急事態施設を、全国各地に10個程度用意しておき、合計で最大50万~100万人程度まで受け入れられる態勢を築くのが、おそらく限界ではないかと思います。 まぁ、現実的には、3~5個で、最大10万人程度の受け入れ可能にしておく、というところに落ち着きそうですが、例えば福島市程度の数十万人都市住民を避難させなければいけなくなったとしても、すぐにパンクしてしまう事は考慮しておかなければいけません。 平常時のコストはどうするんだという意見も出るかも知れませんが、今回の福島の原発事故で出たような放射能汚染水や汚泥などを地下深くに保存する為の施設(敷地)を兼ねてもいいかも知れません。 自治体によっては受け入れを嫌がるかも知れませんが、廃村なんてこれからも増えていく一方です。地方自治体の統廃合と、人口の半強制的な移住も、これからの日本が向き合わなくてはいけない課題です。 そんな現実を無視して復興の基本方針を定めるのも無意味というより害悪でしかありません。せめて病院や高齢者収容施設は海岸から6km程度内陸になければならないか、高台へ移設しなくてはならないでしょう。そうでないと、今回と同様の悲劇はいずれまた必ず起きます。 大切なのはお題目ではなく、具体的に実施する項目であり準備です。起こらないと思ってれば起こらないなんて事は無い事だけは肝に銘じて、準備を進めていくべきではないでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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