どこの街に旅をしても、その地のBARを訪ねるのが楽しみだ。数年前、長崎へ旅することがあった。連れ合いは随分昔に一度訪れたことがあるが、僕は初めての訪問だった。
だから土地勘もないし、長崎に知り合いもいないし、長崎の素敵なBARも知らない。事前にいろいろネットで長崎のBAR情報を調べてはみたが、ネットの情報というのも当たりはずれがあって、さて、どれくらい信用していいものか、自信が持てない。
そこで、大阪の懇意のバーテンダーの何人かに、「長崎で、どこかいいBAR知らない?」と尋ねてみた。すると、何人目かで、「あぁ、大阪出身のバーテンダーだけど、彼が働いているBARはなかなかいいよ」という情報をもらった。
僕らは福岡空港へ着いた後、レンタカーでまず、焼きものの里の有田、唐津を訪ねた。その日は、ハウステンボスすぐそばのホテルで1泊。そして翌日は、ハウステンボスには寄らず、まっすぐ長崎市内へ(写真左=長崎観光と言えば、まず「グラバー邸」。トーマス・グラバー氏は、キリン・ビールの元になった会社を興したってこと知ってました?)。
長崎では昼間、グラバー邸、出島、中華街など定番の観光地はおさえて、夜はホテル(長崎全日空ホテル)内の和食のお店で、念願だった長崎名物の卓袱(しっぽく)料理のコース(写真右下はご参考。実際に食べたものではありません)を堪能した。
卓袱料理と言えば、中国やオランダなど異文化の影響を色濃く受けた長崎独特のもの。「おひれ」という鯛の胸びれを入れた吸い物で始めるのがしきたりだそうだが、それ以外は有名な豚の角煮や、魚介や野菜の蒸し煮、刺し身、天ぷらなど一品ずつみると、そう珍しいものでもない。まぁいちおう話の種にという感じ。コースで約6500円と良心的なお値段も嬉しい。
さて、腹ごしらえもすんで、教えてもらったBARへいざ行かんと、出かける。長崎は路面電車が走っていて、本数も多いので、町中の移動は便利。ホテルの前から市電に乗って10分弱で、思案橋界隈の盛り場らしきところに着く。そして教えて貰った住所を頼りに歩くこと5分余り。
めざすBARはビルの4階にあった。Bar・Waverly。店内はヨーロッパ調の雰囲気で、とても落ち着いた感じだ。前日の夜にホテルから、紹介されたバーテンダーのIさんには電話しておいたので、Iさんがすぐ出てきて。「**さんですね。お待ちしていましたよ!」と、関西から来た僕らを歓迎してくれた。
Waverlyは盛り場の真ん中にあるBARだが、店内はとても静かで、外の喧噪が嘘の様。ちなみに、オーナー・バーテンダーのOさんも店にいらしたが、Oさんは大学の建築科出身で、店内の設計やインテリアも全部自分でされたとか。凄―い!(写真左=Waverlyのオーナー・Oさん=左=と、バーテンダーのIさん。2人とも、とても気さくで素敵な方です)。
Waverlyで、僕らはまず、ジン・リッキーを頼んだ。とてもきりっとした味わいで、旨さが際立つ。そして僕は、2杯目は「フィンラガン」という謎のアイラ・モルト(中身はカリーラかラガヴーリンらしいが…)を頂いた。連れ合いが2杯目に何を飲んだのか、正確には忘れてしまったが、たぶんショート・カクテル。
バーテンダーのIさんは大阪・高槻の出身。長崎に移ってきてもう5、6年経つといい、言葉も、最近では「長崎弁に馴染んでしまって大阪弁もあまり出てこんようになりました。久しぶりに大阪弁で喋れて嬉しいです」と笑っていた。
「いつか大阪へ戻って、店を出そうという夢はあるんですか?」と聞いたが、Iさんは「いやぁ、長崎が気に入ってしまって…。たぶん、こちらに骨をうずめるつもりです」と返した。そうだ、どこで暮らしても、バーテンダーであることには変わりはない。大阪出身のIさんが、長崎でお客さんを楽しませていることを僕らは喜ぼう。
ちなみに、その日はお休みで会えなかったが、Waverlyにいる女性バーテンダーSさんは、大きなコンクールで上位に入選するほどの腕前。去年の神戸で開かれたNBA(日本バーテンダー協会)の全国大会にも出場し、僕は、応援に来ていたオーナーのOさんや、バーテンダーのIさんとも会場で再会することができた。
どこの街を旅しても、馴染みのBARがあるのが理想だけれど、普通の人間にはそれは無理な話。でも、「共通の知人」を持つバーテンダーがその街にいれば、打ち解けるのに時間はかからないし、きっと、より楽しい時間が過ごせる。皆さまも、もし長崎を訪ねる機会があれば、ぜひBar Waverlyへお越しを。このBlogで知りましたと言ってもらえたら、たぶん話は通じると思うけれど…(笑)。
【Bar・Waverly】長崎市船大工町3-18 グレイビル4F 電話095-827-5977 営業時間は午後7時~午前3時 第2&4日曜休 |
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うらんかんろ
大阪・北新地のオーセンティック・バー「Bar UK」の公式HPです。お酒&カクテル、Bar、そして洋楽(JazzやRock)とピアノ演奏が大好きなマスターのBlogも兼ねて、様々な情報を発信しています。
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▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。▼コロナ禍の家飲みには、Bar UKのハウス・ウイスキーでもあるDewar's White Labelはいかが?ハイボールに最も相性が良いウイスキーですよ。▼ワンランク上の家飲みはいかが? Bar UKのおすすめは、”アイラの女王”ボウモア(Bowmore)です。バランスの良さに定評がある、スモーキーなモルト。ぜひストレートかロックでゆっくりと味わってみてください。クールダウンのチェイサー(水)もお忘れなく…。
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