カテゴリ:旅
先週末(16-17日)、たぶん今年最後となるだろう出張があった。行き先はいつもの東京ではなく、今回は北九州・小倉&博多だが、どちらも訪ねるのはおそらく10数年ぶりだろう。とても懐かしいという感じ。
札幌、東京、名古屋、大阪と4カ所から会議のメンバーは集まる。ある人は飛行機で、それ以外は当然、新幹線で。大阪からは僕以外に2人のメンバーが参加するが、道中は別々。他の2人は「のぞみ」に乗って小倉へやって来たが、僕は山陽新幹線限定の「ひかりレールスター」に乗った。 「ひかりレールスター」は、所要時間は「のぞみ」より20分ほど余計にかかるが、普通車の座席がグリーンと同じ2列、2列で、値段も「のぞみ」の普通車と同じ。スペースが「のぞみ」の普通車(ご存じのように2列、3列)よりゆったりしているのがいい(写真左=小倉駅前は結構立派です)。 午後1時過ぎに小倉に到着。会議の開始は2時。うちの会社の小倉のオフィスまでは徒歩10分ほどだから、若干時間もあるので、早速、お昼ご飯にとんこつラーメンの店にお邪魔(駅前からオフィスに行く途中にあった「めん吉」という店)。450円という、信じられないお値段が嬉しーい!(写真右=「めん吉」のラーメン) 会議は2時から6時近くまで、計11人のメンバーで短い休憩を挟んで4時間近くたっぷりと。会議が終われば、さぁ今年最後の懇親会。この時期に北九州と言えば、何を食べるかはもう決まりという感じで、地元の方がセッティングしてくれた門司のふぐ専門店「はなのつゆ」へ。 てっさ(写真左=九州では「てっさ」と言わず、「ふぐ刺し」というのが一般的らしいです)、湯引き、唐揚げ、白子の吸い物、揚げ出し、ふぐちり、雑炊というフルコースを堪能しながら、ひれ酒も堪能。さらに地元のオフィスの方が持ち込んでくれた焼酎「百年の孤独」と泡盛「幻滴」まで頂いて(写真右下)、もうお腹いっぱいで、「やっぱ、本場のふぐはよかー!」。 さて、今夜の我々のお宿は、小倉ではなく博多なのだが、メンバーはここで小倉でもう1軒はしご組と、博多への移動組に分かれた。僕はもちろん後者に入って、小倉駅へ戻って、ガラガラの新幹線の自由席に乗って博多へ。博多までは20分弱。宴会の余韻でわいわい話をしている間に着いてしまった。 博多到着は午後10時過ぎ。僕は他のメンバーとは別れて、まずホテルにチェック・イン。ホテルは博多駅から歩いて6、7分。博多最大の盛り場、中洲へも徒歩10分以内の位置という絶好のロケーションである。僕は不要な荷物だけを部屋に残して、早速再び、夜の街へ。 まず最初に訪れたのは、博多きっての老舗BARとして知られる「七島」(写真左下)。昭和33年(1958)のオープン以来、博多だけでなく全国のBAR好きに愛されてきたBARだ。 金曜の夜とあって、店はほぼ満席。僕はカウンターの開いていた1席に、運良くすぐ座ることができた。カウンター内には美人の女性バーテンダーが3人。マスターの七島さんは、カウンターの端で客と談笑中。僕はいつものように、BAR巡りのスターター、ジン・リッキーを頼む。 女性バーテンダーの仕事ぶりがきちっとしていて気持ちがいい。仕事中も、客への笑顔を忘れないのでとても気持ちがいい。よほどマスターの教育がいいのだろうなぁと感心していたら、後ほど3人のうち2人(主に僕の接客をしてくれた2人)は、七島さんの娘さんだと知ってびっくり。なるほど、出来のいい姉妹であるはずと納得。 2軒目に訪ねたのは「七島」からも程近い、BAR「H」(写真右下)。オーナー・バーテンダーのHさんは「七島」の出身。大阪のあるバーテンダーからも「博多へ行くなら、ぜひHへも」と言われていた。ここも満員の盛況。ここでもカウンターに空いたばかりの席に案内される。 「H」ではスコッチのハイボールを頂く。オープン3年で、黒を基調とした内装はモダンで、見るからにおしゃれなBARだが、Hさんの所作や、従業員へのてきぱきとした「さばき」を見ていると、老舗の風格すら感じさせる。しばらくすると隣の席が空き、男性の1人客が座った。どこかで見覚えがあるなぁと思って尋ねてみたら、やはり先ほど、「七島」でも隣に座った男性だった。 聞けば、昔、仕事で博多に3年ほど暮らして、現在は名古屋に住むという30代(たぶん)のサラリーマン、Tさん。僕と同じようにBAR好きで、きょうは名古屋から遊びに来て、昔の馴染みのBARを回っているんだという。僕と似たような人はやはりいるもんだ。 旅先のBARで、2軒続けて隣同士の席に座るなんて、「ほんとに奇遇ですねー」とお互い驚いて、これも何かのご縁と名詞を交換した。「大阪のBARはほとんど知らないんですよ」とTさん。「大阪へ来たらぜひ連絡を。BARをご案内しますよー」と僕は応えて、次なる予定のBARを目指すため、お先に失礼した。 さて、3軒目は「H」から歩いて5分ほどのところにある、「G」というレストランBAR。ここには、「A」という大阪のBARでバーテンダーをしていたK君が、故郷の博多に戻って、この店のBARコーナーにいると聞いていた。博多に来たからには、ぜひとも顔を見て帰りたいと思った(写真左上=バック・バーを背にK君を1枚。バック・バーの壁には滝のように水が流れてます。なんて個性的!)。 K君とは3年ぶりくらいだったので、一瞬戸惑った顔をしていたが、博多での再会を歓迎してくれた。「せっかくだから、おすすめカクテルを」とお願いして作ってもらったのが、イチゴのシャンパン・カクテル「レオナルド」(写真右=美味しかったよー!)。まだ30歳のK君。「いずれ博多で自分のBARを持ちたい」と熱く語ってくれた。元気そうな姿を見て、ひと安心。独立の折にはぜひ再訪したい。 さて、この夜、最後に訪れたのはBAR「O」(写真左)。中洲からタクシーで5分ほど行った大名(だいみょう)というところにある。BAR「O」と言えば、銀座のと言うより、日本を代表するバーテンダーUさんの愛弟子のNさんが9年前、故郷に帰って開いたBAR。そして、今や博多と言えば「O」とまで言われる、押しも押されぬ人気のBARとなった。 僕は、10数年前、今はもうない銀座の「ロオジエ」というBARで、Uさんの下で働いていた頃のNさんとお会いした。店には友人と一緒に行ったが、もちろんそんな昔のことをNさんが覚えているはずもない。でも、「いやー、その節は有難うございました」と本当に気さくで、礼儀正しい人柄に改めて、この「O」の人気もNさんの人柄に負うところが大きいと感じる。 僕は、ここでも「せっかくだから」と師匠のUさん譲りのハード・シェイクのショート・カクテルが飲みたくて、1杯目はギムレットを注文。ハード・シェイクで削られた細かい氷が表面に美しく浮かび、味わいもさすがに引き締まって、美味い! 2杯目は、Nさんのオリジナル「M-30レイン」というカクテル(写真右)を頼む。 「M-30レイン」は、あの坂本龍一氏に捧げたカクテル。「レイン」は映画「ラスト・エンペラー」のサントラの30曲目に入っている曲という。「30番目のMUSIC」ということで「M-30」なんだとか。 ウオッカ・ベースで、パンペルムーゼ(グレープ・フルーツのリキュール)、ブルー・キュラソー、ライム・ジュースが加わる。爽やかでキリッとして、博多の夜を締めるにはちょうどいい。至福の一瞬とはこんな瞬間を言うのかなぁ…(写真左=今回の博多土産。とんこつラーメン、ふぐの明太子和え、ダイダイ、カボス)。 今年は、北海道(余市、小樽、函館)、本州=東京、四国=徳島、九州=博多&小倉、沖縄(那覇)と、1年間で日本列島を全制覇した。こんな年って、もうおそらく死ぬまでないだろうなぁ…、そういう意味(って、どういう意味?)でも、今年は忘れられない年になりそうだ。なんて考えながら、ホテルへたどり着いた。博多の夜はほんとに、よか、よかー。 人気ブログランキングへGO!→【人気ブログランキング】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[旅] カテゴリの最新記事
パンプルムースとブルーキュラソーというからには、薄い青緑色なんですか? 写真では
よく分からなくて。(それにしても、うらんかんろさん、ひと晩で何杯飲んでおられるのか、 読んでいてびっくりします(^o^;)。 (2005/12/19 01:57:28 AM)
北から南まで、一年で沢山の名店を巡られたのですね。すごーい。。
うらんかんろさんと一緒に、私も福岡のBARのカウンターに座ったような良い気分になりました。 通過したことしかない福岡の町。いつか、その夜の街を訪れたいと思います。 (2005/12/19 03:08:03 AM)
北海道から沖縄まで、良い一年でしたね。
たしか海外もあったんでは。。 人生を思いっきり楽しんでいる姿に、好感を持つと同時に羨まく思います。小生、小市民のままで終わりそう。いやいや人生これからです!! (2005/12/19 09:27:06 PM)
今日はありがとぉございました。
小倉に友達がいて一度九州に行ったことあります。 また行ってみたいところですが 今年1年でけっこうBARめぐりもしてますよね。 延べ何軒でしょうか? 行くところ行くところお知り合いが出来て、居て 楽しみでもありますよね。 いいたびの1年でしたね。 (2005/12/20 12:01:39 AM)
はなだんなさん、こんばんはー。
>パンプルムースとブルーキュラソーというからには、薄い青緑色なんですか? 写真ではよく分からなくて…。 「M-30レイン」の色は店の照明が暗かったのですが、お察しの通り、 薄い青緑色だったと記憶しています。 >それにしても、うらんかんろさん、ひと晩で何杯飲んでおられるのか、読んでいてびっくりします(^o^;)。 1次会は、博多の夜に備えて、結構セーブして飲んでいました。 ビールコップ1杯にひれ酒、それに焼酎と泡盛を少々。だから、余力(?)を残して、 博多のBAR巡りができましたー(^_^;) (2005/12/20 12:21:22 AM)
ayakhさん、こんばんはー。
>北から南まで、一年で沢山の名店を巡られたのですね。すごーい。うらんかんろさんと一緒に、私も福岡のBARのカウンターに座ったような良い気分になりました。通過したことしかない福岡の町。いつか、その夜の街を訪れたいと思います。 今年のBAR巡りは確かに充実していたなぁと、自分でも思います。 何年も念願だった老舗BARも、何軒も訪れることができました。 来年は、ことしの反動が来るんじゃないかと思うと怖いでーす(笑)。 博多、よか街ですよー。ぜひ一度訪れてみてください。 (2005/12/20 12:24:55 AM)
きんちゃん、こんばんはー。
>北海道から沖縄まで、良い一年でしたね。たしか海外もあったんでは。。人生を思いっきり楽しんでいる姿に、好感を持つと同時に羨ましく思います。小生、小市民のままで終わりそう。いやいや人生これからです!! そうですね。海外もありましたねー。来年はきっとこういう訳にはいかないでしょう(笑)。 「人生を楽しむ」というか、ほんとは沖縄も博多も東京も、仕事の出張のついでなんで、 仕事を忘れて、心から楽しむという余裕はないんですが、 好奇心と行動する意欲が衰えない自分に、ただ感謝するだけです。 そういう気力、意欲が無くなったら、生きている意味もほとんど失うと思っています。 お互い、まだまだ頑張りましょうねー! (2005/12/20 12:31:59 AM)
ちあきさん、こんばんはー。
>小倉に友達がいて、一度九州に行ったことあります。また行ってみたいところですが…。 小倉は、いつもちょっと寄るだけで、夜の街はほとんど知りません。 いつも博多ばかりなもんで…。次回は小倉のBAR巡りもしたいなと思います。 >今年1年でけっこうBARめぐりもしてますよね。延べ何軒でしょうか? 行くところ行くところお知り合いが出来て、居て楽しみでもありますよね。いい旅の1年でしたね。 さぁ、数えたことはありませんが、今年も、BARやバーテンダーとの新しい出会いが、 数多くありました。「**へ行くんだけど、知り合いのバーテンダーいますか?」と、 何軒かで尋ねると、必ず1人や2人は、知り合いのいる人がいます。 紹介されて、旅先で店を訪れると、共通の友人がいる訳だから、話もはずみます。 旅先での僕のBAR開拓は、本からの情報もありますが、 基本は、人からの紹介、クチコミでの情報です。こんなことばかり繰り返してます。 「友達の友達はみな友達だ」なんて感じで、輪が広がっていくのは大きな喜びですよ。 (2005/12/20 12:42:11 AM)
仕事で、あちこち出張があるのは酒場好きには良い環境のようですね。私の勤める地元限定企業にはあまり出張がなく、十二年の間に一回だけ。しかも業界団体の視察だったので、自由なバーめぐりも出来ませんでした。
でも「H」「七島」の件、こういうのって酒飲み独特の出合いですよね。こういう損得抜きの出合いがあるから酒場通いは止められません。ま、止めてはないですが、なかなか行けない状況ではありますが。 昔米朝さんの落語の「酒のかす」のまくらでこういうがありました。 >酒飲みというものは独りでも飲みに行くが、独りというものは寂しいもので、つい隣の人に「あんさん、お独りでッか。私も独りでんねん。なんか独りで飲んでるというのも心もとないもんでんな。ま、お近づきの印に一杯どうでっか。」と、お銚子を差し出してしまいます。 しかし甘党はこうはいきまへんな。しるこを食べながら「ま、おしるこの餅でも一つどうでっか。」とはいきまへん。 と、こんな内容でした。正しくそうでしょう。 (2005/12/21 01:05:39 AM)
カピタンさん、おはようございまーす。
>仕事で、あちこち出張があるのは酒場好きには良い環境のようですね。 はい、とても良い環境です(笑)。やってる仕事は、好きなものばかりではありませんが、拠点都市への出張があるというのは、BAR好きには嬉しいことで、少々嫌な仕事も我慢して、頑張れます。 >でも「H」「七島」の件、こういうのって酒飲み独特の出合いですよね。こういう損得抜きの出合いがあるから酒場通いは止められません。 そうそう、肩書きを外した、損得抜きの出会いというのが、大切なんです。酒場では、社長もヒラ社員も同じ。酒場の管理職はオーナー・バーテンダーだけです。 >酒飲みというものは独りでも飲みに行くが、独りというものは寂しいもので、つい隣の人に「あんさん、お独りでッか。私も独りでんねん。なんか独りで飲んでるというのも心もとないもんでんな。ま、お近づきの印に一杯どうでっか。」と、お銚子を差し出してしまいます。しかし甘党はこうはいきまへんな。 複数で飲みに行くのも、独りで飲みに行くのも、僕は好きです。唯一嫌いなのは、 大人数(5人以上)で飲みに行くこと。グループ内の話題が必ず2つ以上に分かれてしまい、 声も大きくなるから、他のお客さんに迷惑をかけてしまうことが多いです。 自分自身が、そういう騒がしいグループ客が嫌いなので、基本的に、BARへは5人以上では、 行かないようにしています。 独りで飲みに行くのは、僕はそんなに寂しくありません。行く先々で、 いろんなバーテンダーやお客さんやと出逢えますし。複数で行った場合は、なかには、 「飲むスタイル」が合わない人もいます。次の店へどのタイミングで移動するかについても、 制約されることが多いので、必ずしも複数がいいとは限りません。 そういう意味でも、独りでのBAR巡りは全く自分のペースで飲めますから、楽しいですよ。 (2005/12/21 08:31:54 AM)
>そういう意味でも、独りでのBAR巡りは全く自分のペースで飲めますから、楽しいですよ。 嗚呼そう意味では無くて、甘味所とは違って酒場では一人で行っても知らない人とお近づきになれるという事を言いたかった訳です。 (2005/12/22 02:04:23 AM)
カピタンさん、こんばんはー。
>嗚呼そう意味では無くて、甘味所とは違って酒場では一人で行っても知らない人とお近づきになれるという事を言いたかった訳です。 すみませーん。誤解を与えるような書き方でしたねー。 酒場は、1人でも楽しめて、思わぬ出会いが生まれる素晴らしい空間ですよね。 (2005/12/22 11:38:22 PM)
とても素敵な、旅行ですね!この前僕も、福岡行った時、(はっちゃんラーメン)ってとこ、いきまして、とても衝撃受けました!(すごいとんこつです)また行かれた時には、是非!
(2005/12/26 01:19:34 PM)
カド リンさん、こんばんはー。書き込み、有難うございましたー!
>とても素敵な、旅行ですね!この前僕も、福岡行った時、(はっちゃんラーメン)ってとこ、いきまして、とても衝撃受けました!(すごいとんこつです)また行かれた時には、是非! はっちゃんラーメンですねー。わかりました。次回の博多行きの折には、 万難を排して、その衝撃のとんこつに挑戦してみたいと思います。 貴重な情報に、感謝でーーす。 (2005/12/27 01:48:57 AM) |
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