テーマ:本当にうまい焼酎は(44)
カテゴリ:酒
久々に焼酎浸りしました。行きつけの酒場の一つBar「C」は、ウイスキーやワインだけでなく、日本酒や焼酎の品揃えがハンパじゃないのが嬉しい。
![]() そう大きくもない店のどこに隠しているのかと思うほど、次から次へと新しいストックが増えている(しかも、素人が普通じゃ手に入れにくい稀少で、珍しい銘柄が多い!)。 で、この夜は焼酎をメインに酔いを楽しんだ。「一期一会」って言うけれど、焼酎との出会いもそんな気がする。銘柄選びは、いつも「麦で何かおすすめを」とか「芋で最近いいの入った?」とか聞いて、マスターに任せる。 すると、いつも期待を裏切らない面白い焼酎を出してきてくれる。まず最初は「三段じこみは麦味」という手書きラベルの逸品(写真左)。宮崎県の岩倉酒造という家族経営の蔵元が生産者という。 普通、麦焼酎は「米麹→麦」の二段仕込みがほとんどなのだが、これはその名の通り「米麹→麦→米麹」の三段階。しかもそれを3年熟成させるという。これで旨くないはずがない。 ![]() 僕はいつものようにロックでいただく。味わいは麦香も豊かで喉越しもよく、それでいて結構ハードなキレもある。この蔵元からは「月の中」というさらなる逸品が出ているそうだが、こちらは入手超困難なのだとか。残念。 気分を変えて芋に移る。「川越」(写真右)という一本。こちらも宮崎の小さな蔵元(「川越酒造場」)だが、ご夫婦2人だけで営むというから、生産量はたかがしれている。 朝掘りの「黄金千貫」という芋をその日のうちに丹念にかめに仕込む。機械も使わず2人だけで造るので、年に数百本が限度とか。 味わいはまろやかで、優しい。噂が噂を呼んで、マニアの間で評価が広まり、ANAのファーストクラスで採用されたこともあるという。 ![]() この「川越」もネット販売でも高値が付いて、そう簡単には手に入らない。一時はこのご夫婦の代で蔵をたたむという話だったが、息子さんが後を継ぐことになったというニュースを聞いた。とりあえずはひと安心だ。 3杯目、また麦に戻る。プレミアム芋焼酎で有名な「佐藤酒造」がなんと初めて「麦」に挑んだ。でも、名前はやはり「佐藤」(写真左)。 これがひと口飲んで驚く旨さ。麦の素材感を生かし、柔らかく、上品な甘さと麦の香りが口中にふわーっと広がる。 麦香がウリで知られる「兼八」が荒々しい雰囲気が特徴なのに対して、この「佐藤」はどこまでも上品だ。さすが「佐藤酒造」。普通の麦焼酎は造らない。 残念なことに、この「麦の佐藤」は、蔵元も含めてほとんどの酒屋で品切れ状態で、マスターも「この1本が最後。もう当分手に入らないでしょうねぇ」と言う。 ![]() こうした上質の焼酎が普通に供給される時代が来ることを心から願う。そうなれば、ネット・オークションで高く売って儲けようという不届きな輩は駆逐されるだろう。 さて、最後にもう1杯と思って、再び芋を頼んだ。鹿児島の桜井酒造の「造り酒屋 桜井」という銘柄(写真右=これだけ撮り忘れたので画像は借用です。多謝!)。こちらも飲んでびっくり。「ほんとに芋なの?」と思うくらい、クセのない味わい。 聞けば、醸造過程で徹底的に雑味をそぎ落とす作業を重ねて、このようななめらかで、芳醇な甘さを生み出したのだという。 桜井酒造は1905年(明治38年)の創業というから、もう百年以上の老舗と言っていい。だが、ここも規模は若干大きいけれど、家族経営。旨くて上質の焼酎は、なぜか小規模の家族経営の蔵元産のものが多い。 「ものを丁寧に、大切に造る」という当たり前のことを、我々は忘れてはいないかどうか。上質の焼酎を堪能しながら、そんなことを思った夜だった。 こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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