私は先般、禁酒法時代(1920~1933)の米国の「酒場&お酒事情」について、このブログで計9回の連載(「禁酒法時代の米国」) をしましたが、その際、古い時代(とくに1940年代以前)のカクテルについては、国内で出版された参考文献がほとんどなかったため、かなりの部分で洋書のお世話になりました。
連載の際には、最後に書名(参考文献)を掲載しただけだったので、改めてもう少し詳しく紹介したいと思います(Amazonの価格はあくまで参考価格です。とくに古書価格は買うタイミングでかなり幅がありますので、ご了承ください)。
1. Vintage Spirits And Forgotten Cocktails: 100 Rediscovered recipes and the stories behind them (2009年刊、Quary Books)=Amazon等で入手可能(新品での参考価格(円):1400~1600円)
文字通り、20世紀初頭に誕生した主なカクテル約100種類のオリジナル・レシピと、そのカクテル誕生にまつわるストーリーを紹介した本です。
写真や図版をふんだんに使い、見ているだけでも楽しい内容です。とくに、昔の広告や本、ボトルの写真もたくさん紹介されていて、とても中味が濃い文献だと思います。
バー業界のプロの皆さんだけでなく、洋酒好き、カクテル好きの方にもたまらない、充実した内容。加えて350頁もあるぶ厚さで、このお値段。得した気分にもさせてくれる本です。
2. Classic Cocktails of The Prohibition Era (1997年刊、Phillip Collins著)=Amazon等で入手可能(古書での参考価格(円):約2500円~)
米国の禁酒法時代(The Prohibition Era)に絞って、当時よく飲まれていたカクテルをレシピとともに紹介した本です。禁酒法下でも富裕層は「もぐり酒場(Speakeasy)」や非合法のクラブで、当局から隠れてカクテルを楽しみました。
この本には、約100種類のカクテルが、Sam Sargentという写真家のユーモアあふれる凝った写真とともに登場します。そのほとんどが、現代のBarではあまり注文されることのないものですが、消滅した訳ではありません。時代とともに、飲まれなくなり、近年のカクテルブックで取り上げられることが少なくなっただけです。
こうしたクラシック・カクテルを味わいながら、当時の人たちの思いを想像してみるのも一興だと思います。きっと、再発見と驚きが待っています。皆さんも、いきつけのBarで1杯頼んでみてはいかがでしょうか?
3. Speakeasy: Classic Cocktails Reimagined From New York's Employ Only Bar (2010年刊、Jason Kosmas & Dushan Zaric著)=Amazonで入手可能(新品での参考価格(円):約1800円~)
本のタイトルはそのものずばり「もぐり酒場」。当時飲まれていた、あるいは飲まれていたであろう(飲まれていたかもしれない)カクテルが約80種類以上紹介されています。
ただし、内容は本のサブ・タイトルにもあるように、当時のもぐり酒場で飲まれていたクラシック・カクテルだけでなく、著者たちが営むBarでアレンジを加え、創作した(Reimagined)「1920年代風カクテル」も含まれます。
しかし、著者らはそうしたカクテルづくりに、おふざけではなく、真剣に取り組んでいて、それはそれでとても興味深いのです(時には、「ミリオネア」からインスピレーションを得た「ビリオネア」というようなユーモアも忘れません)。写真も美しい約170頁の本。うらんかんろは買って後悔はしませんでした。
<2>へ続く
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Last updated
2021/07/06 10:59:41 AM
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Profile
うらんかんろ
大阪・北新地のオーセンティック・バー「Bar UK」の公式HPです。お酒&カクテル、Bar、そして洋楽(JazzやRock)とピアノ演奏が大好きなマスターのBlogも兼ねて、様々な情報を発信しています。
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▼Bar UKでも愛用のBIRDYのグラスタオル。二度拭き不要でピカピカになる優れものです。値段は少々高めですが、値段に見合う価値有りです(Lサイズもありますが、ご家庭ではこのMサイズが使いやすいでしょう)。 ▼切り絵作家・成田一徹氏にとって「バー空間」と並び終生のテーマだったのは「故郷・神戸」。これはその集大成と言える本です(続編「新・神戸の残り香」もぜひ!)。▼コロナ禍の家飲みには、Bar UKのハウス・ウイスキーでもあるDewar's White Labelはいかが?ハイボールに最も相性が良いウイスキーですよ。▼ワンランク上の家飲みはいかが? Bar UKのおすすめは、”アイラの女王”ボウモア(Bowmore)です。バランスの良さに定評がある、スモーキーなモルト。ぜひストレートかロックでゆっくりと味わってみてください。クールダウンのチェイサー(水)もお忘れなく…。