現代の標準的なレシピは、「スコッチ・ウイスキー3分の2(または2分の1)、スイート・ベルモット3分の1(または2分の1)、アンゴスチュラ・ビターズ1dash、飾り=マラスキーノ・チェリー」(ステア・スタイル)というところでしょうか。「ロブ・ロイ」とは18世紀のスコットランドの有名な義賊、ロバート・ロイ・マクレガー(Robert Roy MacGregor)のニックネームです。
しかし近年になって、Wikipedia英語版が「1894年、ニューヨークのウォルドルフ・アストリア・ホテルのバーテンダー(名前は不明)が、オペレッタ「ロブ・ロイ」のプレミアを記念して考案した」という別の説を紹介しています(根拠資料は「Sudhir Andrews:Textbook Of Food & Beverage Management」とのこと。しかし、末尾にも登場する「The Old Waldorf-Astoria Bar Book」上ではこの説についての言及はなかったので、真偽の程は定かではありません)。
ハリー・マッケルホーン(Harry MacElhone)の「Harry's ABC of Mixing Cocktails」の初版(1919年刊)には(もちろん)「ロブ・ロイ」は掲載されています。そのレシピは、「スコッチ・ウイスキー3分の2、イタリアン(スイート)・ベルモット3分の1、アンゴスチュラ・ビターズ1dash、飾り=チェリー、シェイク・スタイル」です。レシピは現代とほぼ同じで、シェイクかステアの違いくらいです(写真=Rob Roy@Bar Cadboll, Osaka)。
では、1880~1950年代の主なカクテルブック(「Harry's ABC Of …」以外)は「ロブ・ロイ」をどう取り扱っていたのか、どういうレシピだったのか、ひと通りみておきましょう(なお、現代ではステアでつくるのが一般的かと思いますが、1934年刊の「The Artistry Of Mixing Drinks」より前は、すべてシェイクです)。
・「Bartender’s Manual」(ハリー・ジョンソン著、1882年刊)米、「American Bartender」(ウィリアム・T・ブースビー著、1891年刊)米、「Modern American Drinks」(ジョージ・J ・カペラー著、1895年刊)米、「Dary's Bartenders' Encyclopedia」(ティム・ダリー著、1903年刊)米、「Bartenders Guide: How To Mix Drinks」(ウェーマン・ブラザース編、1912年刊)米、「173 Pre-Prohibition Cocktails)」 & 「The Ideal Bartender」(トム・ブロック著、1917年刊)米 いずれも掲載なし