|
テーマ:DVD映画鑑賞(13977)
カテゴリ:Movie
(画像追加) ダリオ・アルジェントが『サスペリア』の大ヒットによりアメリカに招かれて製作した。『サスペリア』の続編的な作品。 ニューヨーク・・・ある古い館は持ち主がいなくなってから高級賃貸マンションになっており、女流詩人ローズ(アイリーン・ミラクル)たちが住んでいる。彼女は隣の骨董店で買った古書「Three Mothers(三母神)」を読むうちに、このこの館がその棲家なのではないかと思うようになる。三母神とはメイター・サスピリオールム(嘆きの母)、メイター・ラクリオールム(涙の母)、メイター・テネブラルム(暗闇の母)という、3人の魔女で、ニューヨーク、ローマ、フライブルグ(ドイツ)に住むという。いても立ってもいられないローズは館の地下に水没した部屋を見つけ、恐ろしい目に遭う。 ローマ・・・姉のローズから助けを求める手紙を受け取ったマーク(リー・マクロスキー)は音楽学校で音楽理論を勉強中。その手紙を偶然読んでしまったマークのガールフレンドのサラ(エレオノラ・ジョルジ)は好奇心から古文書館で「Three Mothers」を見つけ出してしまい、惨殺されてしまう。 ニューヨーク・・・サラの死により何かが起こっていることを感じたマークは姉のもとへ急ぐ。しかしローズの姿はなかった・・・ 前作『サスペリア』はフライブルグが舞台。そして本作ではニューヨークとローマが舞台であり、三母神の話はこの2作品を結びつけるものだ。本作の中で「三人は一体で、恐ろしい別名を持っている」と明かされている。あくまでこじ付けだが、一応これで一区切りのつもりだったのだろうか。 しかし、ストーリーは完璧ではない。サラがマークの手紙に興味を持ったとしても何故わざわざ土砂降りの夜に古文書館に行ったのか、とか何故犯人(?)はマークを昏睡させておきながら殺さなかったのか、など弱いところがある。またショックシーンもさほどでもない。そのため評価は低いのだが、実はそんなところはどうでもいいのである。本作は何よりもアルジェント流の映像美を堪能すべき作品なのだ。 ローズが水没した部屋に潜る時の水中撮影や、夜の館の赤と青の陰影、月食のセントラルパーク、ローマのサラの家などアルジェントらしい美学が感じられる場面が一杯だ。『サスペリア2』ではアール・ヌーボーの屋敷が効果的だったが、本作ではアール・デコ調の館やローマの古文書館、音楽学校の講堂などが出てくる。建築物好きな私には嬉しいところ。 出演者は『サスペリア』のアリダ・ヴァリ、『サスペリア2』のダリア・ニコロディとガブリエレ・ラヴィアが参加。リー・マクロスキーは当時新星と期待されたそうだが、その後主演作はあるのだろうか。『ミッドナイト・エクスプレス』で注目されたアイリーン・ミラクルもその後目立った作品はない。忘れてはいけないのが骨董品店主カザニアン役のサッシャ・ピトエフ。『去年マリエンバードで』の主演3人の一人で、久々の映画出演。なかなか存在感がある。 ダリオ・アルジェント作品といえば音楽はゴブリンだが本作はキース・エマーソンが担当。オーケストラをバックにしたピアノが冴え、夜のセントラルパークでの惨事(不条理!)のシーンなどナカナカなもの。しかしもっと印象深いのはローマの音楽学校のシーンとサラの家のシーンで使われたヴェルディのオペラ「ナブッコ」。とても恐ろしく聞こえる。 振り返ると、結構見所は多い。しかしあくまでも『サスペリア2』『サスペリア』の延長線上の作品であり、この後の『シャドー』『フェノミナ』とはスタイルが全く異なる。その意味ではアルジェント中期作品群の締めくくりとして記念碑的価値がある作品だろう。(過去の記事をリニューアルしたものです) 1980年・アメリカ / 107分 / 評価:4.5点 / 子供:× お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[Movie] カテゴリの最新記事
|