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カテゴリ:Movie
いまや世界的に有名となったロック・ミュージカル(ロック・オペラという)の名作。舞台が先行し、映画化にあたっては主演3人は舞台のメンバーをそのまま抜擢。その3人、テッド・ニーリー、カール・アンダーソン、イボンヌ・エリマンはいずれも素晴らしい熱演で3人ともゴールデングローブ賞にノミネートされた(作品自体もノミネート)。ロック・オペラによる表現は異色ではあるが、ストーリー、テーマ自体は非常にオーソドックスで、それほど奇異な感じは受けない。 音量にご注意ください ネゲブ砂漠の真ん中に1台のバスがやってくる。乗っているのは数十人の若者。ここでイエス・キリストの劇を演じるのだ。古代遺跡のような土台のまわりに工事現場の足場を組みたてただけの簡素なセットで、ドラマは始まる・・・ ストーリーはよく知られているので割愛するが、キリストの最後の7日間を中心に、ほぼ聖書に忠実である。キャストは次の通り。 イエス・キリスト:テッド・ニーリー/マグダラのマリア:イボンヌ・エリマン/イスカリオテのユダ:カール・アンダーソン シモン:ローレンス・マーシャル/ペテロ:フィリップ・トウバス カヤパ:ロバート・ビンガム/ヘロデ:ジョシュ・モステル/ピラト:バリー・デネン 当然ながら、何といっても音楽が素晴らしい。作曲はアンドリュー・ロイド・ウェバーで、映画版は一部アンドレ・プレヴィンが編曲。作詞はティム・ライス。全編ロックなのだが、1ヵ所、猥雑なヘロデ王のシーンだけはジャズ調。うーん、ジャズってそういうイメージなのかなあ。ダンスも曲によって様々に変化。凄まじい熱気が感じられる。 主題曲「Superstar」は一度聴いたら忘れられない名曲で、本作以降、ロックのみならずジャズなど様々なミュージシャンに演奏された。本編では死んだユダがこれから処刑されるキリストに問い掛けるシーンで使われる。公開時は中東戦争・ベトナム戦争の真っ最中。「仲間たち(仏陀など他宗教の開祖を指す)とは上手くやっているのか?」との問いが重く響く。 監督は『夜の大捜査線』が有名なノーマン・ジュイソンで、ミュージカル作品としては既に『屋根の上のバイオリン弾き』があるが、本作も好評だった。現在、なかなか鑑賞できないかもしれないが、チャンスがあれば是非観て頂きたい作品だ。日本では劇団四季がたまに取り上げているが、まだ観たことがない。「砂漠バージョン」「歌舞伎バージョン」などがあるそうで、一度観てみたいものだ。 あまり知られていないようなので、最後に主演者について、少しだけ。 ◇テッド・ニーリーは1960年代から活躍しているロック・ミュージシャンで当時30才。1972年、舞台「ジーザス・クライスト・スーパースター」で主役を務め、そのまま映画に抜擢された。本作の好演でゴールデングローブ賞にノミネートされている。その後は映画出演はなく演奏活動(RCAなどに結構な数の作品がある)やロック・オペラへの出演が続いている。1992年以降は「ジーザス・クライスト・スーパースター」の再演で再びジーザス役を務め、62才となった昨年(2005年)にはヴァチカンでも公演を行なった。 ◇カール・アンダーソンは1945年の生まれ。ワシントンDCでジャズロックのバンドを率い、ヴォーカルを担当していたが、教会で歌っているところを見出され、舞台版に抜擢。この難しい役を熱演し有名になった。その後はソロアルバムを出したりしていたが、1983年、ウエザー・リポートに加入(この時は驚いた)。「Domino Theory(1983)」「Sportin' Life(1984)」の2作に登場している。その後はナンシー・ウイルソンはじめ様々なミュージシャンと共演したり、映画に出たり(『カラー・パープル』が有名)していたが、 2004年、白血病で死亡。まだ59才だった。 ◇イボンヌ・エリマンはハワイ出身のシンガー。1970年代にロンドンに移住、エリック・クラプトンのバック・ヴォーカルを務めるなど下積みを経て、舞台版の"マグダラのマリア"役に大抜擢された。映画版においても、歌唱力のみならず演技力も評価された。その後も歌手活動を続けており、現在まで7枚ほどのアルバムを出している。 監督:ノーマン・ジュイソン 製作:ノーマン・ジュイソン / ロバート・スティグウッド 原作:ティム・ライス 脚本:ノーマン・ジュイソン / メルヴィン・ブラッグ 撮影:ダグラス・スローカム 音楽:アンドリュー・ロイド・ウェバー 編集:アントニー・ギブス 振付:ロブ・イスコーブ 1973年・アメリカ / 106分 / 評価:4.5点 / 子供:○ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Mar 31, 2006 09:49:59 PM
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