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りゅうちゃんミストラル

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2009.01.24
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カテゴリ:読書
矢口敦子「償い」を読んだ。
(この記事は一部ネタばれあり)

     

何故、私がこの本を手にしたか。
それは古本屋でこの本を見つけたから。
その前に、ネットの書評でこの本について書かれたのを読んだ。
どこかに印象として残っていたから読んでみることにした。
50万部以上売れているには何か理由があるはずだ。

将来を嘱望された元脳外科医の日高が主人公。
彼には妻と息子がいた。

しかし、幼い息子はインフルエンザにかかる。
日高が勤務している病院に妻は電話をかける。
息子の様子がおかしいという。
だが彼は患者のことが気がかりで帰れない。
しかもその日は日曜日だった。

妻は息子を車に乗せ、診察してくれる病院を巡る。
そのうちに息子は脳症を起こして死亡。

日高は妻に向かって怒る。
彼の前で妻は13階から飛び降り、自殺する。

悪いことは重なる。
日高は勤務先の病院で他人が起こした医療ミスの責任を取らされて辞職。
生きる希望を失った彼はホームレスになる。

東京近郊のベッドタウンで知り合った中学3年生の真人。
日高は真人をどこかで見たことがあった。
医師としてではなく、その少年の命を救ったことがある。

2歳の時真人は、性的虐待目的の男に誘拐された。
真人が女の子の格好をしていたからだ。

誘拐犯は真人が男だとわかると、彼の首を絞めた。
そこに日高は駆けつけ、真人は救われた。

そんな真人の住む町で、弱者を狙った事件が起きる。
老人と車椅子の女性は殺される。
ホームレスは襲われ死に至る。
日高は真人の関与を疑うようになる。
どことなく、浦沢直樹の「MONSTER」を思い浮かべる話。

全体に、読者にわかりやすく書けている。
だが後半になると読みにくく感じた。
それはテンポが悪いから。

不必要な説明でページ数が増える。
それだけで読む気が失せる。
説明が不執拗に長く回りくどい。
優れた作品とは、説明ではなく表現できていること。
私はそう考えている。

もうひとつ。
一人の作家が多くの人を描こうとするなら。
いろんなキャラクターを描き分ける必要がある。
彼女にその才能がなかったと言うしかない。

私がブログで読みにくい文章を書くのはプロじゃないから仕方ないこと。
しかし、彼女はプロの作家だ。

この世には無理な設定や下手な文章を書いても売れることがある。
この作品も私にはそのひとつに感じる。

ホームレスに事件の内容をペラペラと話す刑事たち。
それだけでもリアリティーがない。
この作品は50万部売れたというが、帯にあるような感動が私にはない。
こうした作品が売れるからこそ、ミステリーは軽んじられる。

この作品には「共感覚」も出てくる。
文字を見て色をイメージする。ある音に絵が浮かぶ。
そうしたもののことだ。

共感覚 - Wikipedia

真人が日高を見て「泣いている」と感じるのは、この一種かもしれない。

この作品の大きなテーマはこれだ。

「人の肉体を殺したら罰せられるのに、人の心を殺しても罰せられないのですか?」

作品の回りくどさがこのテーマの印象を薄くしている。
残念なことに、私にはこの作品を高く評価できない。


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最終更新日  2009.01.26 12:24:10
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