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カテゴリ:映画・TV
先日、惜しまれながらお亡くなりになられた 俳優の児玉清さん。 役者というよりクイズ番組『アタック25』の司会者と いった方がピンとくる方が多いかもしれない。 山田太一脚本のTBSドラマ『想い出づくり。』が 放送されたのが1981年のことだった。 古手川 祐子さんの父親役を好演されたのが とても印象的だった。 高度成長とともに核家族化が進み 日本独特の文化であった卓袱台ドラマが お茶の間から消えたのもちょうどその頃。 卓袱台を囲んだ家族制の崩壊は ホームドラマの概念をも変化させた。 ある種の様式美(卓袱台をひっくり返す威厳ある父権)すら 妙にしらけたものとなったのであった。 山田太一がTBSで『想い出づくり。』を発表した年、 裏番組のフジでは倉本聰の『北の国から』が放送され 両番組が凌ぎを削った。 児玉さんの記憶が鮮明な僕は当然『北の国から』は 存在すら知らなかった。 実は最近、友人からDVDを借り 『北の国から』の一連のシリーズ全てを観終わったのである。 本を読む合間に少しずつ3ヶ月ほどかかったか。 率直な感想は「良かったァ」である。 ファンがいるのが肯けた。 主役の田中邦衛と菅原文太が対峙した 二人の緊張感がテレビの画面を通して伝わってくるようだ。 東映実録ヤクザ路線ファンには堪らないワンシーンだ。 ここで金子信雄がむっつり顔で座っていれば 言うことはなかった(笑)。 室田日出男も出ているのでそちらの方もお楽しみに。 何よりも倉本 聰の日常の切り取り方と 主人公のひとりである吉岡秀隆さん演じる黒板純くんの 独特の呟くような台詞まわしが 逆に物語に軽快なテンポを与えているのがイイ。 極上の完熟マンゴーを一口頬張った時のような・・・、 色んな想いが胸一杯に広がった。 苦しさのなかの希望とか、甘い記憶のなかの切ない思い出とか 父や母のこと、兄弟のこと、友のこと、好きなひとのこと・・・。 云ってみれば、素直にベタ褒めである。 特筆すべきは80年代初頭に倉本聰は 現代を取り巻く物質社会に警鐘を鳴らしていた。 今、問題となっている様々な問題点を提起していた。 作家の目のすごさを改めて感じる作品である。 人間はまったく傲慢である。 この前のテレビで観た『地球が制止する日』でも キアヌ扮するエイリアンが言っていた。 「人間は破壊的で、愚かである」と。 僕らは利己的で傲慢。 政治家ばかりではなくこれだけ自然の破壊力を 目の当たりにしても、原発の問題で 不安や恐れを知っても結局人間は便利を取るのか? 原発問題に揺れる今、某原発アンケートを見ると 完全廃止は半数にも満たない。 存続または現状維持が圧倒的に多いのは やはり物質的世界に囲まれて その恩恵が当たり前となっている人間の愚かしき姿なのかと。 そんな大そうなテーマすら考えさせられてしまった 倉本聡の『北の国から』でした。
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