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2006年07月06日
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テーマ:本日の1冊(3683)
その日、横須賀基地は桜祭りでにぎわっていた。
基地内が市民に開放され、多くの民間人が訪れていたところに、海の中から現れたのはザリガニに似た巨大甲殻類だった。
突然出現した怪物は人々を襲い、食べはじめる。
機動隊が救助に走り回るが、歯が立たない。
一方、逃げ場をなくし、海上自衛隊の潜水艦「きりしお」に避難した13人の少年少女と2人の若き自衛官は、艦内にたてこもることになる。



ここまで読んで、巨大なザリガニが襲ってくる、なんて荒唐無稽な、と思った方も多いでしょう。
私も友人に薦められた時に「え~っ!?」と思いましたが、それだけの話ではありませんでした。
読み進めるに連れ、ページを繰る手が止まらなくなりました。


ザリガニ(本当はエビ?)が、人を襲うシーンは残酷だしおぞましく苦手でしたが、彼らに立ち向かう、警察や自衛隊の描写にはかなりのリアリティがありました。
日本の政治的要因や、抱える問題点さえ見えてくるので、緊急事態に陥ったときには、本当にきちんと対処ができるのだろうかと、ミサイルが飛んでくるような今だからこそ、切実に心配になりました。

機動隊は頑張りました。
たかが甲殻類とはいえ、とても太刀打ちできないのですが、機動隊員たちは負け戦と承知していながら、作戦を遂行しようとするのです。
人が命を賭けて、人を助けようとする姿にはぐっときます。

平行して進行する、横須賀港に閉じ込められた潜水艦の乗組員と子供たちのことが、この物語の中心といってもいいでしょう。
そこには、自衛官への反発、子供同士の対立、親子の関係や、少年期の心の問題まで、様々なテーマが詰まっています。

作者があとがきで、初めは「潜水艦で十五少年漂流記」というコンセプトのはずだったと明かしています。
結局、漂流はしませんが、互いにぶつかったり協力し合ったりしながら、少年たちの関係が変わっていき、成長していくところには、その面影(?)があります。

作者は男性なのに女性特有のことまで詳しく書かれているな、と思っていましたが、有川浩、という名前は、ありかわひろし、ではなくて、ありかわひろ、という女性(しかも主婦)だったのでした。なるほど……。

ついでに紹介すると、この方は2003年「塩の街」で第10回電撃ゲーム小説大賞を受賞。同年同作にてデビューされています。
他には「空の中」「図書館戦争」という作品があります。


こういう状況の中ですが、青春も、恋もあります。
最後のシーンが、とてもさわやかなんですが、そこは好き嫌いがあると思います。
私は結構好きでした。

これはミステリではありませんが、有川さんの他の作品も読んでみたいと思わせる作品でありました。
薦めてくれた友人に感謝!


海の底 海の底 :有川浩








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最終更新日  2008年12月22日 21時32分59秒
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