アダムス家の日常とごはん　～青嵐のブログ

ここ数年間のうちに認知されてきた病気の一つに

「パニック障害」という症状がある。

突然、動悸やめまいがしたり、

手足のしびれや吐き気、過呼吸などを引き起こす。

何がきっかけになるのかは人によっても違うようだが、

はっきりとしない不安や、

発作がひどくなり、このまま死んでしまうのではないか、

という恐怖感が出てくる。

そして次には、

つらい発作をまた起こしてしまうのではないかと不安になり、

つねに神経質になり、その精神的な緊張の高まりが、

再びパニック発作をひきおこしてしまう。


なんとも悪循環に陥ってしまうのだ。



今まで保育園で会っても、

お互いに挨拶程度しかしなかったお母さんがいた。

ここの所ずっと顔を合わせなかったのだが、

久しぶりに会ったので、

「なんか久しぶりね～。送る時間帯がずれていたのかな～。」と

声をかけた。

すると、このお母さんは

「実はね、私、パニック障害になっちゃって～」と、

周りに聞かれてもいいの？というくらい大きな声で、

ほがらかに答えた。


女性なら分かると思うが、「今、私、生理中で・・」と、

男性には聞かせたくはないが、

女性同士なら分かるよね？
　
という妙な連帯感というものがある。

「みんなに言うのは、人目をはばかってしまうけれど、

ここだけの話、あなたなら分かるよね」という感じ。


そんな感じであっけらかんと話されたものだから

あたしのほうが面食らってしまった。　


このお母さんの場合は、

実父の死や、上の子の進学問題、

考えなければならないことが目まぐるしく過ぎて行き、

ハッと、気づいたときに症状が出てきたようだ。

今は、普通に車の運転もできるし、

一人で何でもできるようになったが、

ひどいときには、ベッドから出ることすらできなかったという。



もともと、大雑把で細かいことは気にしない性格、

おほほ、というよりもわはは、と

笑うようなお母さんだったのだが。


この症状には、「完治」はない。

「寛解」という、ほぼ消失している状態だが、

いつ、再発するか分からないという状態を

爆弾のように持ち歩かなくてはならない。



こんな話を聞きながら、自分に当てはめてみると、


あたし・・

いつなってもおかしくないじゃん！

特別なことではない、

本当にきっかけなんだろうな、と思った。




この日は、久々に、旦那の後輩が遊びに来た。

旦那がかわいがっている後輩のうちの一人なのだが、

まだ独身なので、何か食べたくなったら電話をしてきて

一緒にごはんを食べる。


うちも夜は龍一のことや従業員のことなので

慌しくしていたうえ、これからも連絡が来なかったので、

「久しぶりにおいでよ。」と誘った。

そんな夕食は

●揚げだし豆腐

　豆腐はよく水を切り、片栗粉をまぶすし、油で揚げる。

　だし汁になめこを入れて、沸騰しないように火を通し、

　揚げたての豆腐にかける。

　大根おろしと三つ葉を添えて。

●刺身２種

　マルチ屋のブツとしめさば。

　大体、来客があるときには、ここのブツを買う。



●鶏モツ

　この日は鶏レバーと砂肝・鶏皮・胸肉。

　本当はキンカンとかあれば良かったのだが、

　急だったので、買い物もおろそかになってしまった。

　鶏肉は脂や血の塊を掃除してから、１口大に切り、

　牛乳に漬けて、軽く揉む。

　水で洗い流してから、湯通しをする。

　その間に、醤油・砂糖・ミリンを煮詰めたタレを作り、

　モツとピーマンを入れて煮る。

　モツに火が通ったら引き上げて、

　タレにとろみがつくまで煮詰めたら、

　仕上げに絡めて出来上がり。

　山椒か七味をかけて。

●ブロッコリーとベーコンのチーズ焼き

　ブロッコリーは茹でてから、ベーコンと一緒に軽く炒め合わせる。

　耐熱皿（うちはいつもの土鍋）に入れてから

　チーズをかけて、こんがりするまで焼く。

他には漬物や珍味類。

子供にはおにぎり。






久しぶりに来た後輩の顔を見て驚いた。

もともと細い体躯が、また痩せていた。

「そんなに痩せちゃってどうしたの？」と聞くと、

春先に、めまいがひどくなり、

原因が分からないので、あらゆる病院に行き、

最後の病院では、入院していたらしいのだ。


まあ、彼も苦労人なので、嫌な思いもしているし、

精神的に追い詰められたり、人恋しくなるときもあるだろう。

そんなことが彼を追い詰めたのか、

一種のパニック障害になってしまい、

めまいや不眠、という形で体のほうにも影響が出てきたようだ。

薬のせいなのか、顔つきまで変わってしまった。

まるで別人が、彼のマスクをかぶっているかのようだった。

話す内容は、今までとは変わっていない。

性格や考え方が変わったわけでもない。

何が違うのか、うまくいえない。

だが、子犬のような無邪気なまなざしを、

この日は一度も見ることが出来なかった。

薬のせいで、あまりお酒が飲めなくなった、

という彼は、早々に帰ってしまったが、

あたしたちも彼の現在の闘病体験を聞くのが辛かったこともあり、

ある意味、どこかでホッとした部分もあった。

あたしは玄関で

「気をつけてね。また来るんだよ。」と別れたが、

外まで見送りに行った旦那が、

玄関を閉めた刹那、

涙がこぼれてきた。




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