ひょんな事からListeningさんのICF-SW77を整備する事になりました。
まず裏ぶたを開けたところですが、なんというか調整箇所がありません。要するに動作させながら基板をひっくり返して調整するわけで、正直言って整備性は悪いです。その分調整のやりがいがありますが、何と言っても人様からお預かりした機材なので、緊張します。 まず初期状態を記録するために、基板の状態を撮影するのが大事です。 画面の上の方に金尺を当てていますが、判りにくいので拡大しました。 フェライトバーアンテナの長さを測っているところで、約18cmありますので長波は兎も角として中波帯では高感度が期待出来ます。 つづいてメイン基板を取り出して、部品の配置と調整箇所をサービスマニュアルと照合します。ここで気になったのは三つ並んでいる表面実装型のケミコンが、ちょっと脹らんでいるように見える事です。 拡大するとこの3つ以外のケミコンも少し脹らんでいるような気がしましたので、まずは交換ですね。 まずは小容量のケミコンから交換を始めました。下の画像で赤丸部分の上に付いているのはニチコンのmuseF95で、高音質型のタンタルコンデンサです。問題は赤丸の部分で、上の画像に写っている10V100μFを外した跡ですが腐食の形跡がありました。 電解液漏れが疑われるので、この部分をアルコールで良く拭き取ってから残っている脚をコテで外したら、アミン臭がしましたので、間違いなくケミコンの液漏れだと思います。<ソニー ケミコン 液漏れ>というキーワードで検索すれば判りますが、これは悪名高い不具合事例で拙宅のDATデッキもメカデッキ部分が犠牲になり、今でも動作しません。 と言うわけで、問答無用にケミコンは全取っ替えします。使ったパーツは、タンタルコンデンサ:museF95、F95、F93、大型のケミコンはトーシンのオーディオ用などを使いました。交換後の画像がこちらです。 音質に配慮して一部のセラミックコンデンサをポリエステルフィルムコンデンサへ交換してあります。以下4枚はコンデンサ交換した部分を拡大した物です。 下の画像はFMの中間周波回路、検波回路周辺です。 他に半導体も少し交換しました。まずはFMのフロントエンドを2SK238 → 2SK544へ交換。 他に検波後の低周波増幅初段のトランジスタも、 現時点の部品交換はここまでで、今はFMをモニターしています。Listeningさんから指摘のあったFMのスピーカー再生音歪みは、FMバンドの感度低下だと推測しています。信じがたいほど調整がずれていましたので。他にも電子チューナー式の要であるVCO(電圧制御発信器)の周波数がずれていました。 もう少し聴き込んでから再調整し、必要があれば更に部品交換の予定です。まずは第一報でした。 ※以下は追加画像です。 表面実装型のタンタルコンデンサ1つの向きが、逆になっていますので気をつけてください。この後で誤りに気づき、部品を交換して付け直しました。 キーパッド下のゴムシートはホコリだらけでした。分解する機会があれば清掃をお勧めします。水洗いして完全に乾かせばOKです。 下の画像はFMの受信動作確認中です。バックライトLEDは高輝度の橙色と交換済みですが、当時は拡散キャップを持っていなかったため、照度ムラが出てしまいました。 追加画像と説明は以上です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[ICF-5600/ICF-SW77,SW22/ICF-7500/SRS-F10] カテゴリの最新記事
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