カテゴリ:ガンダム00(感想・SS)
スメラギさんが出て行って。
何かごそごそやってたミレイナが、小さなものを投げて寄越した。 「グレイスさん、ちょっと預かっていて欲しいですぅ」 「え?……口紅?」 それは、正直彼女にはあまり似合いそうにない、真紅のルージュだった。 「アーデさんに貰ったですぅ」 「何時の間に!」 「さっきグレイスさんがお花を摘みに行ったときですぅ」 ゔっ。 思わず目を逸らす。 「アーデさんが女装したとき使ったものですぅ。大人になったら使いなさいって言われたですぅ」 「……それって」 「いわゆる形見分けというやつですぅ」 二人きりのブリッジに、ミレイナの声が淡々と響いた。 「今、ちょっとだけ、使っちゃおうかと思ったですぅ。だからグレイスさんに預けておきます」 「でも……」 言いたくないが、私たちがここから生還する可能性は殆どないだろう。 それならば。 「アーデさんは、「将来」使えるものをくれたですよ。今使うのは、失礼ってものですぅ」 「……後悔しない?」 次の瞬間に死んだとしても。 私達に「将来」がないとしても。 「それを使ったら、間接……」 「うっ、そっち方面から攻めるのは卑怯ですぅ!」 何が起きても決して後悔しない、私達にはそれしか許されていないだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年03月15日 19時21分00秒
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